食欲の秋、到来! 家庭の食卓に欠かせないのが、おいしいご飯だ。特に土鍋で炊くと、粒が立ったうまみ十分のごはんに仕上がる。そんな「土鍋ごはん」を自宅で簡単に再現できるのが、タイガー魔法瓶の「土鍋ご泡火炊き」。
内釜が土鍋になっており、シリーズ累計年間10万台以上も売れているヒット商品(※内釜が土鍋・土鍋コーティングを含む)で、その製造現場には、驚きのこだわりがあった。
今回は、老舗工場「ミヤオカンパニーリミテド」のプライドをかけた土鍋づくりに密着する。
三重・四日市市。四日市市は伝統工芸品「萬古焼」の産地で、土鍋の生産量は日本一。
1931年創業の「ミヤオカンパニーリミテド」はセラミック製の食器などを手掛け、オシャレな土鍋も作っている。タイガー魔法瓶の土鍋は1日に2~300個製造しているが、社員は「弊社の歴史の中でも、過去一番難しい」と話す。
焼くと縮んでしまう土鍋は、寸法にバラツキが出やすく、炊飯器のサイズにピッタリ合わせるのは至難の業。一体どうやって作るのか? 早速見ていこう。
こちらが土鍋の原料となる「陶石」。萬古焼にも使われる陶石は、高い温度に耐える能力・耐火度に優れている。さらに強度や熱伝導率を高めるため、ベトナムや中国、イギリスなど、世界各国から集めた石や土を10種類以上ブレンドしたものを材料にしている。
まずは陶石をシャベルですくって台車へ。エレベーターで2階へと運び、工場の奥にある穴の中へ陶石を落とす。穴の先にあるのは…
巨大な粉砕機だ。陶石は、水を加えながら硬い石と一緒にかき混ぜることで粉砕される。砕かれた材料は地下を通って移動するが、今回は特別に許可を得て、内部にカメラを入れさせてもらった。
中を見ると、材料が完全に水と混ざり合って、ミルクティーのようになっている。成分が沈殿しないよう、常にかき混ぜているのだ。この状態を「泥漿(でいしょう)」と呼ぶ。
お次は、泥漿を圧縮する「フィルタープレス」に充填し、5時間かけて脱水する。
脱水作業が終わって取り出すと、なんとパンケーキのような個体に。
完成した粘土は、大砲のような形をした「真空土練機」へ。するとマシンの先端から、“魚肉ソーセージ”のような粘土が出てきた。マシンの中で粘土は空気が入らないように練り上げられている。焼き上げた際の「ひび割れ」を防ぐためだ。
出てきた粘土をよく見ると、指の痕が。実は粘土は、気温や湿度によって硬さが異なるため、最後は人の手で押した感触で“硬さや状態”を確かめている。指先に神経を集中させて、粘土の状態をチェックしているのだ。長年の経験がモノをいう、これぞ職人技! チェックをクリアした粘土を、いよいよ土鍋の形にしていく。
激撮!土鍋炊飯器 抜き打ちで“真っ二つ”に
チェックをクリアし、マシンで輪切りにされた粘土は土鍋の型へ。
粘土を入れた型に回転アームが入りグーっと押し付けると、粘土は底から型全体に広がり、ピッタリとくっついた。すると別のアームが飛び出し、はみ出た粘土をカット。淵をキレイに整える。
美しい土鍋の原型が出来上がった。
職人はこの段階で寸法をチェックするが、せっかく出来上がった原型をくしゃくしゃにし、真っ二つにカットしてしまった。実はこれ、規定通りに作られているかどうかを調べる抜き打ちテストで、100個に1個の頻度で行っている。
普通の土鍋ならこの工程でのチェックはあり得ないというが、家電製品とマッチングさせるには、寸法が重要。そもそも土鍋は10パーセント以上サイズが変化してしまうため、0.数パーセントにまでコントロールするのは至難の業。
「工場史上、最高の難易度」をクリアするためには、欠かせないテストなのだ。
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