甘い、うまい、粒立ちを追求し、大ヒットしているタイガー魔法瓶の「土鍋ご泡火炊き」。
土鍋ならではの最高温度約300℃の高温炊き上げと遠赤外線で米の甘みとうまみを凝縮させ、かめばかむほど“おいしさが広がるごはん”を炊き上げる。
そしておいしいごはんの秘密は、検査に検査を重ねる徹底した製造工程にあった。
前回に続き、「土鍋ご泡火炊き」の土鍋をつくる老舗工場「ミヤオカンパニーリミテド」(三重・四日市市)に潜入。同社のプライドをかけた土鍋づくりに密着した。
激撮!土鍋炊飯器 灼熱の長旅
さまざまなマシンを駆使し、長時間の工程を経て、美しく出来上がった土鍋の原型。ここからは、高温で焼き固める「焼締め」に入る。通常800℃程度のところを、1200~1300℃の高温に設定することで、土鍋の形が変わらないよう、しっかりと焼き固めていく。
驚くのは、50メートルという窯の長さだ。灼熱の長い窯に入ってから出るまで、約12時間。高温でじっくり火を通すことで形が決まる。とてつもなく手間がかかるのだ。
激撮!土鍋炊飯器 超精密検査で1割脱落!?
焼かれた土鍋を目視や手触りでくまなく調べ、表面にある欠損や汚れを見つける。
残念ながら、これらは不良品。
続いて寸法に狂いがないか、さまざまな器具を使って事細かにチェックする。
今度は土鍋にレーザーを当てて、底の厚みを計る。測定器の精度は、なんと0.01ミリ! こちらの土鍋は“基準値よりも0.3ミリ以上薄い”という規定にひっかかり、不合格になってしまった。
土鍋の底面の厚みは“炊飯性能”に大きな影響を与えるとのことで、合格基準は±0.3ミリ。桁違いの精度が必要となる。
精密機器を使った測定を含め、次のステージに進むためには約20のチェック項目を全てクリアしなければならない。
不適合品の保管場所には、土鍋が山積み。ここで全体の約1割が脱落する。
検査をクリアした土鍋は、釉薬をまとい、再び1100~1200℃の窯の中へ。こうすることで釉薬がガラス質に変化し、表面をコーティング。土鍋の重厚感が出て、強度がぐんと高まる。
今度は、たたいた時の音で“ヒビの有無”をチェックする検査。音の違いを聞き比べてみると、不良品は若干低音。目を凝らさないと分からないが、鍋底にうっすらと細いヒビが入っていた。
ヒビの検査に合格した土鍋は、再び窯の中へ。今度は800~900℃で焼き、発熱体(電気を熱へ変換する物質)を定着させる。焼きは実に3回目。やっと焼き上がり、ようやく土鍋が完成した。
炊飯器にもおいしさの秘密が!
一方、「タイガー魔法瓶 本社工場」(大阪・門真市)では、炊飯器本体の組み立てが行われていた。電子基板などの細かいパーツを、一つ一つ手作業で取り付けていく。
銅線をグルグルと巻き付けたIHコイルは、まさに“炊飯器の心臓”。おいしいごはんを炊くための超重要なパーツだ。このIHコイルにも、ごはんをおいしく炊くための工夫が施されている。
こちらは新旧のIHコイルだが、その違いは一目瞭然。右の最新IHコイルは、土鍋に触れるコイルの面積が広い。こうすることで直火のような強い火力を再現。お米のおいしさがより引き出されるそうだ。
土鍋ごはんのおいしさの秘密は他にも。鉄の内釜と比べて、土鍋は表面に小さな凹凸があるため、ごはんを炊く時に大量の細かい泡が発生。それがクッションとなり、お米の表面を守ることで粒立ちがよく、しっかりとした食感になるのだ。この細かい泡が、極上ごはんの秘密だった。
次々と部品が取り付けられ、炊飯器本体が完成! 「ミヤオカンパニーリミテド」で作られた土鍋と対面し、炊飯器に土鍋をセットする。
そして最後に水を入れ、全ての製品を一つ一つ加熱し、問題なく動くか最終確認。
厳重な検査を乗り越え、やっとたどり着いた精鋭たち。「うまいご飯」へのあくなき追求が生んだ土鍋炊飯器は、シリーズ累計年間10万台以上(※内釜が土鍋・土鍋コーティングを含む)売れる大ヒット商品へと成長した。
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