全国で増加する「厄介者の放置竹林」 畜産飼料に生まれ変わり 乳量や肉量が増加したという声も

LBS ローカルビジネスサテライト

  • 放置竹林

    放置竹林

放置された竹林が周囲の森林や農地へ拡大、災害リスクを高めたり、環境や景観を破壊したりと問題を引き起こしています。宮崎県 都城市は放置竹林を無償で伐採、その竹を発酵させて「笹サイレージ」という飼料を作っていました。

目次

  • 土砂災害

    土砂災害

今、日本各地で増え続けているのが放置された竹林です。根の張りが浅い竹は土砂災害のリスクを高める要因となるなど、深刻な問題となっています。その背景にあるのが、所有者の高齢化や伐採にかかる費用です。

  • 岩元雅則さん

    岩元雅則さん

竹林の所有者 岩元雅則さん:
「竹が家の方から離れるように切ってきました。でも、もう手に負えません」

  • 竹林の処理費用

    竹林の処理費用

業者に依頼すると100坪で約80万円かかるといいます。

  • 大和フロンティア

    大和フロンティア

その放置竹林に新たな価値を見出したのが、宮崎県 都城市の「大和フロンティア」です。杉のおがくずを原料に家畜用の床材を製造していましたが、木材の調達が困難になったことをきっかけに竹林に目をつけました。

  • 田中裕一郎専務

    田中裕一郎専務

大和フロンティア 田中裕一郎専務:
「所有者の方が困られているということが一番の問題だと思います。現在、飼料や肥料が高騰しているので、その原材料となる竹を無償でいただけるのはありがたいです」

【厄介者を資源へ】放置竹林を無償伐採して家畜飼料に 大和フロンティアが挑む循環型ビジネス

  • 16の自治体と連携

    16の自治体と連携

これまで厄介者とされてきた放置竹林を家畜用の飼料として再生しました。また、16の自治体と連携し、無償で伐採しています。

  • 竹林面積トップ10のうち5県が九州

    竹林面積トップ10のうち5県が九州

九州は竹が豊富で、竹林面積トップ10のうち5県を同地方が占めています。

  • 笹サイレージ

    笹サイレージ

「大和フロンティア」の工場で作っているのは笹サイレージと呼ばれる家畜の飼料です。宮崎県畜産試験場が開発したものを2016年から事業化しました。

  • 粉砕した竹

    粉砕した竹

まずは伐採した竹をそのまま粉砕機へ入れて、家畜が消化吸収しやすいよう細かくします。そこに独自に配合した乳酸菌や糖蜜などを加えて混ぜ合わせます。

  • 田中専務

    田中専務

大和フロンティア 田中専務:
「竹は日ごとに水分量が変わるので、乳酸菌や糖蜜の量を日によって変えています」

  • 年間生産量3600トン

    年間生産量3600トン

そして加工した笹サイレージを圧縮してロール状にします。さらに乳酸菌の量や保存性を高めるため、密封した状態で40日間発酵させます。

現在では、年間3600トンを生産しています。

  • 田中真志さん

    田中真志さん

その笹サイレージを導入しているのが、地元の畜産農家です。ここ数年、輸入飼料の価格が高騰していて経営は苦しいといいます。

生産者 田中真志さん:
「採算が取れなくなるぐらいまで(飼料代が)上がっている。厳しい」

【輸入飼料の3分の1】安価な「笹サイレージ」で飼料費300万円削減 乳量増や肉質向上・作物収量UPも

  • 年間約300万円の飼料代削減

    年間約300万円の飼料代削減

笹サイレージは原料を無償で調達できるため、価格は一般的な輸入飼料の約3分の1です。そうすることで、年間300万円ほど飼料代を削減できました。

  • 田中由美子さん

    田中由美子さん

そして乳牛にも変化が現れました。

生産者 田中由美子さん:
「年間を通じて安定した乳量が出るようになりました。牛が健康になったから乳量が伸びてきた感じですね」

  • 乳量が9%増加

    乳量が9%増加

乳酸菌や繊維質などが腸内環境を整え、1頭あたり約9%の乳量増加につながったといいます。

  • 肥育牛では霜降り度が向上

    肥育牛では霜降り度が向上

さらに肉牛では霜降り度が向上し、枝肉の重量も平均より30キロ増えるなどの効果も報告されています。

  • 笹サイレージに置き換える

    笹サイレージに置き換える

その笹サイレージは堆肥としても使われています。こちらの農家では牛糞などの肥料から置き換えたところ、作物に変化が現れたといいます。

  • 福山三義さん

    福山三義さん

生産者 福山三義さん:
「ピーマンの果肉が厚くなり、収量は大体2割ぐらいアップする」

  • 乳酸菌などが土壌を改善

    乳酸菌などが土壌を改善

県の研究機関によると、乳酸菌などが土壌を改善し、根の成長や養分の吸収を促すといいます。

【2027年に新工場】福岡県に一貫体制の拠点を整備 生産量3倍と全国展開を目指す

  • 鈴木見優記者

    鈴木見優記者

日本経済新聞社 西部支社 鈴木見優記者:
「2027年に福岡県内で原料加工から出荷までを一貫して手掛ける中核工場を稼働させる予定です。周辺地域に複数の工場を整備することも計画し、生産量3倍を目指します。『佐賀牛』やイチゴの『あまおう』など、全国的に知名度の高い産品も多い九州を足がかりに、全国へ事業を拡大する可能性も秘めています」

「LBS ローカル ビジネス サテライト」番組概要

Local_Business_Satellite_ Logo_Horizontal.png

日本経済新聞社とTXN系列テレビ5局が共同で企画・取材する動画コンテンツ。躍動する地域経済と企業の取れたてニュースやトレンドを各地のリレー方式で全国に向けて発信しています。テレビ愛知では中部圏の企業のユニークな取り組みを取材し、日経名古屋支社記者のコメントを交えて紹介します。

放送日時:
平日17:00~報道番組「5時スタ」内コーナー
LBSclub中部 詳細はこちら!

この記事をシェアする

  • X
  • Facebook
  • Instagram

関連記事