長持ちし、使い込むほどに味わいが出てくる革製品。もしも自分の好きな小物をハンドメイドできるのなら、革を素材に作りたいと思いませんか? 今回はそんな手作りの革製品を手掛ける達人による職人芸とともに、革製品の製作工程もお届けします。
クロスバイク専用のレザーポーチを制作
今回制作するのは、クロスバイクのフレームに取り付けるポーチ。取り出し口をフレームと平行にするのではなく、地面と平行とするために少々いびつな姿になってしまいます。こうした特殊形状なものは既製品にはなかなかないので、ハンドメイドをする醍醐味と言えそうです。
イメージスケッチを描く
まずは寸法を測ってイメージスケッチを描きます。今回はポーチだけでなくスマホをいれるポケットも追加しています。
使う革選び
本体のポケットに色と質感の違う2つの牛革を使用します。本体には化学薬品でなめしたクロームなめしを使います。水を弾きやすく耐久性にも優れています。スマホポケットにはタンニンなめしのものを使用。使い込むほどに良い色合いへと変化します。
部位によって名前と用途の異なる牛革
- ヘッド……首の部分。強度が弱くあまり製品では使われない
- ショルダー……肩の部分。強度が高く、シワが多い
- ベリー……お腹の部分。柔らかくよく伸びる
- ベンズ……背中の革。繊維が細かく、加工しやすい。今回のポーチに使用
その他の革について
ピッグスキン……毛穴が多く、通気性に優れているため、靴の中敷きなどに使われています
ゴートスキン……山羊革。薄くて柔らかいのに強度がある。高級靴や手袋などに使用
クロコダイルレザー………独特の光沢や質感で高級バッグやベルトなどでよく見かけます
仕上がりを左右する試作品づくり
設計図だけではイメージと違うものが出来上がる可能性が十分にあるため、試作品を作って一度形にしてみます。合皮からパーツを切り出し、簡易的に組み立てていきます。
実際に作ってみると、スマホ用のポケットを設けるには高さが足りないことに気づいたため、本体の天地の長さを若干延長することに。
もう一度試作品を制作して確認します。
天地を延長したことでポケットがしっかり収まりました。スマホとのクリアランスもバッチリです。ただ、ポケットの角度がイメージと違う仕上がりだったので、本番で調整することとしました。
革製品をハンドメイド
素材の切り出し
革の切り出しは一発勝負。描いた型に沿って革包丁を使って切り出します。
縫穴を開けて縫っていく
革は滑りにくいので、糸にはあらかじめろうを塗っておきます。
布などと違い、2本の針を使って上下交互に2本の糸で縫っていきます。手で縫うと締め具合などで仕上がりの違いが出て、それが個性となります。
主要部分の縫い付けにはミシンを使用。
縫い付けは完成。あとは表面にして仕上がりを確認するのみ。革製品作りにおいて一番緊張する瞬間であり、達成感を得られる醍醐味でもあります。
完成
イメージ通りの仕上がり。取り付けるクロスバイクとのフィッティングも良い感じです。
世界に1つだけしかないハンドメイド製品。それが革製品となると、使い込むことで味わい深くなり、オンリーワンらしさが際立ちます。革を扱うための特殊な道具は必要ですが、多くは裁縫と同じ工程を踏むため、非常に敷居の高い趣味というわけではなさそうです。初心者用のクラフトキットなどもあるので、挑戦してみてはいかがでしょうか。
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