鮮やかな彼岸花とマツダ・キャロルで表現されたジオラマ 既視感のある風景を見事に再現!<半田モデラーミーティング>

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  • 鮮やかな彼岸花と灯籠がレイアウトされたマツダ・キャロル

    鮮やかな彼岸花と灯籠がレイアウトされたマツダ・キャロル

模型愛好家たちが自慢の造形を披露する「半田モデラーミーティング」。会場には、かつて「ガンプラ王選手権」でその腕を認められ、プロの世界へと足を踏み入れた重鎮、takaさんの姿がありました。

20年以上のキャリアを持つtakaさんですが、現在その情熱を注いでいるのはガンプラだけではありません。10センチ四方の小さなベースの上に、誰もが一度は目にしたことがあり、思わず共感してしまうような日本の原風景を再現しています。その緻密な世界観の裏側には、プロならではの不自由を楽しむ美学がありました。

電話一本でプロへ。伝説の「ガンプラ王選手権」デビュー

  • ダッジ・チャージャー・パスートとミニクーパー

    ダッジ・チャージャー・パスートとミニクーパー

――takaさんはプロモデラーとして、30代の頃から20年以上という非常に長いキャリアをお持ちですね。

「振り返ると長くなりました。きっかけは、かつて雑誌『電撃ホビーマガジン』で開催されていた『ガンプラ王選手権』でした。最終審査まで残ったものの、結果は惜しくも入賞を逃したんです。でも、驚いたのはその発表の翌日でした。 編集部から直接電話がかかってきて、『ライターをやりませんか?』とスカウトされたんです。そこから『やらせてください』と即答し、ガンダムの作例などをメインとしたプロの道が始まりました」

――今でこそ多ジャンルの作品を手掛けられていますが、原点はガンプラの徹底的な作り込みだったのですね。

「当時はガンプラの作例をメインに、プロライターとして誌面を飾っていました。今ではガンプラ出身だと知る人も少なくなってきましたが、あの頃に培った理想の形を追求する技術が、今の全ての作品の土台になっています。今も作りますが、活動の割合としては当時より減っていますね」

「もっさり」を削り出す。古い金型との格闘こそが醍醐味

  • ミニクーパーと風景

    ミニクーパーと風景

――今回展示されている「マツダ・キャロル」や「ミニクーパー」といったカーモデルは、かなり個性的なラインナップです。

「今日は、アリイのオーナーズクラブのマツダ・キャロルや、ハセガワの1/24ミニクーパー、アメリカAMT社のダッジ・チャージャーなどを持ってきました。このうちミニクーパーとダッジは『ホビージャパン』誌に掲載してもらった作品です。特にキャロルは1/32スケールで、数十年も前の古い金型を使ったキットです。普通に組もうとすると形がどこかもっさりしていて、本当に大変な組みにくいキットなんですよ」

――あえてその組みにくい古いキットを選ぶ理由はどこにあるのでしょうか?

「実は、そこが一番面白いところなんです。最近の最新キットは精度が高く、誰が組んでもピタッと合います。でも、古いキットはパーツの合いが悪かったり、ディテールがボヤけていたりと、そのままでは正解が見えない。だからこそ、自分の手で一つ一つ削り込み、手直しをしてシャープに仕上げていく……。その試行錯誤のプロセスがたまらないんです。このキャロルも、かなりの部分に手を入れています。効率を求めるのではなく、不自由なものを自分の解釈で正解へと導いていくことこそが、モデラーとしての最大の楽しみだと思っています」

10センチ角の宇宙に宿る共感の力

  • 意外と高さのあるマツダ・キャロル

    意外と高さのあるマツダ・キャロル

――10センチ角という非常にコンパクトなジオラマ(ヴィネット)も圧巻の密度です。

「これは仲間内で『ベースは10センチ四方、題材はキャロル』という制限を設けたコンペで作りました。実際に置いてみると、車だけでスペースの3分の2が埋まってしまいます。普通なら『何も置けない』と諦めるところですが、残りの3分の1にどんな風景を盛り込み、どんなレイアウトにするか。要素を極限まで厳選し、配置をミリ単位で考える作業は、空間構成の非常に良い勉強になるんです」

――鮮やかな彼岸花と灯篭がどこか懐かしい雰囲気を感じさせます。

「僕は日本の風景、特にみんなが一度は目にしたことがあるような昔の風景が大好きなんです。誰もが知っている情景には、強い共感力が宿りますから。今回の彼岸花は、ある方が販売していた3Dデータを見て『これは絶対に彼岸花を植えたい』と直感して制作しました。ネットで見つけた灯籠のある美しい写真を参考に、季節感を詰め込んでいます。作品を見た方が『あ、これどこかで見たことある』と寄ってきてくれる。そのやりとりこそが制作の励みになりますね」

  • スズキ・フロンテの模型の箱

    スズキ・フロンテの模型の箱

――最後に、創作を続ける上で最も大切にしていることは何でしょうか?

「昔の車には、メーカーの職人が手で生み出したような個性的な形の魅力があります。私は実車をあまり見たことがない世代ですが、その独特な造形美には強く惹かれます。何十年経っても色褪せないその魅力を、自分の手でどう表現し、現代の観客に届けるか。世のモデラーのみなさんに偉そうなことは言えませんが、これからもこの不自由を楽しむ面白さをストイックに追求し続けたいと思います」

選手権でのドラマチックなデビューから20年。takaさんの指先は、今もなお一本の線、一つのパーツとの対話を楽しみながら、見る人の心に深く届く共感の情景を削り出し続けています。

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