【ガンプラ道】「今のガンダムは細すぎる!」20年前の衝撃を自力で具現化、面とエッジに命をかける大人の妥協なき美学<ぼくらのちいさな作品展>
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RX-78 ガンダム
愛知県常滑市からやってきたモデラー、TAKAYANさん。彼の展示テーブルには、一見すると市販のキットのようでありながら、明らかに普通ではない密度と完璧なプロポーションを纏ったモビルスーツたちが鎮座しています。
「既製品が自分の理想と違うなら、自分で作り直せばいい」。そんな大人だからこそできる贅沢なこだわりを詰め込んだTAKAYANさんの制作秘話を聞くと、ガンプラが単なる趣味を超えた、一人の男の理想を追求する旅であることが見えてきます。
20年越しの回答!あえて古いキットをバラバラに刻んで作った理想のガンダム
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RX-78 ガンダム
――このガンダム(RX-78)、市販のものより妙にドッシリしていて、ものすごく強そうですね!
「これは僕が学生時代に雑誌で見て衝撃を受けたカトキ版というデザインなのです。『いつか手に入れたい』と20年間思い続けていたんですが、いざ発売されたメーカーの完成品を見たら、僕の理想のバランスとちょっと違っていて……(笑)」
TAKAYANさんが選んだのは、なんと20年ほど前に発売された古いキットをベースに、自らの手で理想の形に整形する茨の道でした。
――今のガンプラをそのまま組むのとは、何が違うんでしょう?
「今のバンダイさんのガンダムって、ちょっとスリムすぎるというか、細すぎる気がするんです。だから、太ももやお腹を伸ばし、体全体の厚みも数ミリ単位で広げて、実在の兵器のようなボリュームをつけました。あと、このロボットの足元(スリッパ)の形状も、メーカーのものとは全然違うので徹底的に作り替えています」
模型の知識がなくても、写真を見ればその凄まじい立ち姿の美しさに圧倒されます。ブレのない直線、ピシッと尖ったエッジ。まるでプロのモデラーが雑誌の表紙用に作ったかのような、清潔感あふれる完璧な仕上がりです。
他の誰の真似でもない!ゼロから脳内で構築したシャア専用のもしも
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Hi-ν ガンダム
――お隣の真っ赤なモビルスーツ、これはシャア専用のHi-ν(ハイニュー)ガンダムですか!?
「これは他の人の作例を参考にしたりせず、ゼロから自分の感覚だけで作ったオリジナルの作品です。元は手のひらサイズの小さなキット(HG)なのですが、どこをいじったのか分からないくらい、もう全部に手を入れています(笑)」
アニメの設定には存在しない「もしもシャアがこの機体に乗っていたら」という妄想を具現化した世界に一つの作品。頭部や肩のサイズを大きくし、ネオ・ジオンの総帥にふさわしい威厳を持たせています。
特に注目してほしいのが、この背中のバックパック。
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Hi-ν ガンダム
「元々こんなパーツは売っていないので、別のプラモデルのパーツをベースにしつつ、違和感なく背中にフィットするように、ほとんどプラスチックの板から手作り(スクラッチ)しました。一兵卒ではない強さをイメージして、ギチギチにディテールを詰め込んでいます」
この精密なメカ感と、ムラ一つない美しい赤のグラデーション塗装。大人の本気の遊びがここに極まっています。
パーフェクトグレードをミキシング!大型キットだからこその計算と執念
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制作中のザク
――続いてお隣の作品はまた一段と大きいですね!
「これは1/60スケールのパーフェクトグレード(PG)のザクと、旧キットの高機動型ザクをミキシングしています。当然、そのままではパーツ同士がフィットしないので、違和感なく繋がるように調整しながら制作を進めています」
制作中のザクが目指すのは、映画『ククルス・ドアンの島』に登場するシャア専用高機動型ザク。しかし、なぜあえて大変なPGという大型キットに挑戦したのでしょうか。その理由を尋ねると、モデラー視点ならではの意外な答えが返ってきました。
「たまたまPGのザクが手に入ったからというのもあるのですが、大きなキットはパーツが一つひとつ大きい分、細かい部分までしっかり見えて実は作業がしやすいんですよ。ただ、その代わりに完成した時にアラが見えやすい。そこだけは最後まできっちり、丁寧に仕上げようと思っています」
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制作中のザク
――制作途中ということで、工作の跡がハッキリ見えて面白いですね。オリジン版ならではの特徴はどのように再現しているのでしょうか。
「分かりやすいのは胸の形状や、中央のダクト、そして上部のバルカンですね。ただ、一番苦労しているのはバランス調整です。高機動型の特徴であるバックパックやスネ部分は旧キットから持ってきているのですが、ボディに対するサイズ感が全然合わない。バックパックは真ん中を詰め、さらに両端も詰めて、タンクや飛び出た四角いパーツまで、とにかく全体を詰めて、詰めて、小型化してフィットさせています。あとは形状が異なるバズーカも改造中ですね」
――締め切りはもうすぐ(取材当時)ですが、間に合いそうですか?
「9月1日が締め切りで、8月頭には写真撮影をしないといけないので、塗装を考えるとスケジュールはギリギリです。あとは足りないディテールを詰めたり、全体のバランスを合わせるためにパーツを作り替えたりしていく段階です。普段は戦車も作りますが、その時々に自分が本当に作りたいと思ったものを形にするのが僕のスタンス。今はありがたいことにガンプラの評判が良いので、自分もその気になって頑張っています(笑)」
隣に並ぶ一番身近で一番負けたくないライバルはなんと息子さん!?
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TR-1 ヘイズル・アウスラ
――普段からガンプラ一筋なんですか?
「いえ、実は戦車も作ります。本当にその時々に自分が作りたいと思ったものを雑食で作るスタンスなんです。今はたまたまガンプラの評判が良いので、自分もその気になって頑張っていますが(笑)」
そんなTAKAYANさんの展示テーブルのすぐ隣には、これまた驚くほどリアルで泥臭い戦車の模型が並んでいました。それを作ったのは、なんとTAKAYANさんの中学3年生の息子さん。
「息子は戦車、僕はガンプラとジャンルは違いますが、お互いにいいものを作ればそれが刺激になる。今では一番のライバルですね」
キレイで洗練された美を追求する父と、泥にまみれたリアルな質感を追求する息子。 手法は違えど、「ないものは自分の手で創り出す」という熱いDNAは、確かにこの場所で響き合っていました。
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