【15歳の模型職人】名前はポップ、腕はガチ!プラ板から本物の木目を1本ずつ彫り出す「戦車大好きマン(中3)」<ぼくらのちいさな作品展>

極上ライフ おとなの秘密基地

  • 戦車大好きマンさんの作品

    戦車大好きマンさんの作品

ぼくらのちいさな作品展の会場の一角で、物静かながらも自らの作品をまっすぐに見つめていたのは、中学3年生のモデラー・戦車大好きマンさんです 。

ガンプラ全盛のこの時代に、あえて戦車という渋すぎるジャンルに飛び込み 、大人のモデラーも驚く超絶技巧を連発する15歳。彼が放つ圧倒的なこだわりを聞くと、完成品を簡単に買える現代だからこそ、あえて自分の手で生み出すプラモデルの原点の喜びが見えてきます。

映画の正解を求めて15歳が下したメーカーを跨ぐ禁断のドッキングに仰天

  • T-34/76 1941年型

    T-34/76 1941年型

――中3で戦車を作るとは、なかなか渋いセレクトですね!この泥や傷の汚れ具合、めちゃくちゃリアルですが、これが自信作ですか?

「自信作はこれです。作品名は『T-34/76 1941年型』。映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』に出てくるあの戦車を再現したくて作りました」

しかし、一筋縄ではいかないのが彼の執念。市販のキット(組み立てセット)をそのまま作るだけでは、映画のスクリーンで見たあの姿には届かなかったと言います 。

「セットに入っているパーツの形状が、映画の戦車とあまり似ていなかったんです。だから、車体はドラゴン社製、上部はタミヤ社製というように、2つの異なるメーカーのキットを組み合わせました。タミヤの方が映画の形に似ていたので」

――納得いく形にするために、メーカーの壁を超えてドッキング(ミキシングビルド)させちゃったんだ。すごいこだわりだね!

「合わせた方が早いんです」

事も無げに言ってのける姿は、もはやベテラン職人の風格。15歳にして、理想の形のためなら手段を選ばない天才の片鱗がのぞきます。

デザインナイフで一本一本、木目を刻む!買える時代にあえて自作する狂気

  • T-34/76 1941年型

    T-34/76 1941年型

彼の作品の凄さは、戦車本体だけではありません。車体のあちこちに積まれた「荷物」に目を凝らすと、さらに信じられない事実が発覚しました。

――それにしてもこの戦車の上の小物、だいぶいじっていますよね?この後ろについている布袋や木箱は一体……?

「いじっています。布袋とか木箱も自作です。プラスチックの板を切り出して四角く箱組みして、真鍮の針金を使って作りました」

単に四角いプラスチックの箱を作るだけではありません。ここからが戦車大好きマンの真骨頂です。

――四角く組んだ後、どうやってこの本物の木に見せているの?

削り出したり、木目をつけたりして本物に見えるようにしていきます。デザインナイフを使って、筋彫り(溝を彫る作業)みたいに1本ずつ……」

いまやネットを叩けば、リアルに作られた小物の別売りパーツ(レジンパーツなど)が簡単に手に入る時代です 。あえて気が遠くなるような手作業を繰り返すのはなぜなのでしょうか。

――今なら精密な別売りパーツも買えますが、あえて自作するのはなぜですか?

「やっぱり『ないとなあ』と思って作るんです。全然雰囲気が違いますから。一個作れると、自分で作った喜びや『作ったぞ』という満足感があります」

「ないなら、自分の手で生み出せばいい」。そのノウハウについて、横で見守っていた父・TAKAYANさんは「家には僕が買ったプラ板も道具も揃っていて、僕が作業しているのをずっと見ていたのが大きかったのかもしれませんね」と目を細めます。お父さんの背中を見て育った少年は、いつの間にか、1本ずつナイフで木目を刻む本物のモデラーへと覚醒していたのです。

プロも一目置く実力!だけど本人は「優勝なんて興味ない」とバッサリ

  • ドイツIII号突撃砲C/D型

    ドイツIII号突撃砲C/D型

その実力はすでにコンテストでも高く評価されています。YouTubeの有名プラモデル部が主催するコンテスト『モコン』では、並み居る大人たちを抑えてセカンドステージ(上位審査)まで進出。

父・TAKAYANさんによると、「戦車大好きマンっていう名前が結構特徴的なので、プロの審査員の方にも覚えていただいて(笑)。『ここがいいね』と直接コメントをもらえたのが、本人もすごく嬉しかったみたいです」とのこと。

――すごい!層が厚い戦車部門で大人と渡り合っているんだ。今後の抱負として、やっぱり次は優勝というタイトルが欲しいんじゃないですか?

「今のところはまだないかな。優勝したいとかはなくて、とにかく『いいものを作るぞ』という気持ちが一番なので」

どこまでも欲がなく、ただひたすらに良い作品だけを追求するストイックな15歳。しかし、そんな彼にもモデラー活動を一時休止しなければならない巨大な壁が立ちはだかります。

受験という戦場を越えて、再びナイフを握る日が今から待ち遠しい!

  • ドイツIII号突撃砲C/D型

    ドイツIII号突撃砲C/D型

父・TAKAYANさんは、「実は今年、この子は受験生(中学3年生)なんです。だから今はプラモデルを一時封印中。今日ここに並べているのは、去年までに彼が心血を注いで作った作品たちなんですよ」と語ります。

実は今、勉強という別の戦場で戦っている最中なのです。現在はデザインナイフをシャーペンに持ち替え、次なるステージへ向かって全力投球中の戦車大好きマンさん。

手に入らなければ、自分で生み出す。その最高の喜びを知っている彼なら、きっと受験という壁も見事に乗り越えてくれるはずです。サクラ咲く春を迎え、再び彼が白いプラ板を机に広げたとき、次は一体どんな本物の感動を私たちに魅せてくれるのでしょうか。

隣で手ぐすねを引いて待つ最大のライバル(お父さん)と共に、彼の次回作が今から楽しみで仕方がありません!

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