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トヨタの水素エンジン車「GRカローラ」
5月に静岡県の富士スピードウェイで開かれたスーパー耐久24時間レース。トヨタ自動車の水素エンジン車を運転するのは、自らレーシングチームを率いている近藤真彦さんだ。「ガソリンエンジンに匹敵するぐらいのパワーとバランス」と近藤さんも絶賛する。スーパー耐久24時間レースの結果を取材した。
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近藤真彦さん
開発4年目を迎えたトヨタの水素エンジン車「GRカローラ」。ドライバーとして参加したのは、“マッチ”こと近藤真彦さんだ。最新の水素エンジン車について近藤さんは、「1年〜2年前の開発は、相当ご苦労されたのではないかと思います。完成度の高い、ガソリンにも匹敵するくらいのパワーとバランス。『マッチ、水素のクルマだよ』って言われなかったら、分からないぐらい」と話す。
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何度も改良を重ねてきた水素エンジン車
トヨタの水素エンジン車はこれまで、水素燃料を気体から液体にして搭載量を増やしたり、重点速度を上げたりと、さまざまな改良を重ねてきた。そして今回、新たに改良を加えたのが燃料タンクだ。
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(左)改良型の楕円形タンク
燃料が気体から液体に変わったことで、タンクの形をこれまでの円筒形から変更。その結果、気体燃料のときから換算すると、2.5倍も水素量が増えたという。
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約50キロメートルも走行距離を伸ばした
過去のレースでは2022年は1回の水素の充填で平均12周、2023年は平均20周だ。今回は過去のペースを上回る力強い走りを披露し、1回の充填で31周を記録した。距離にして約50キロメートルも伸ばしている。
そして進化したのはクルマだけではない。トヨタ自動車 GAZOO Racing カンパニーの高橋智也プレジデントは、「スタッフの目つきが変わった」と明かす。
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トヨタ自動車 GAZOO Racing カンパニー 高橋智也プレジデント
トヨタ自動車 GAZOO Racing カンパニー
高橋智也プレジデント:
「2023年11月から5月までの期間にここまで進化できたのは、大きな進歩です。クルマだけでなく、スタッフの目つきも変わってきていて。与えられてやる、ではありません。『今やらないと、未来は変わらない』というモチベーションで、みんなが動いています。僕の立場として、ものすごくうれしいです」
水素エンジン車の成長と共に、働くスタッフの技術や精神も日々進化しているのだ。
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