世界シェア80%以上!「フジミ」半導体専用研磨材とは?新型センチュリーとの意外な関係

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世界シェア80%以上! 今回は、精密研磨剤のパイオニア「株式会社フジミインコーポレーテッド」の研究開発センター(岐阜・各務原市)内部に、カメラが潜入!

フジミが開発した研磨材の威力

フジミインコーポレーテッドは1950年、名古屋市に「不二見研磨材工業所」として創立。以来74年間にわたり、研磨材を中心に事業を展開。現在は愛知県清須市に本社を置く老舗メーカーだ。
業績はこの10年間右肩上がりで、アメリカや台湾などにも拠点を広げ、研磨材の世界シェア80%以上! 現在は研磨材以外の開発にも取り組んでいる。

スマートフォンやパソコンなどの機能を実現するために欠かせない半導体。
その製造過程では精密な研磨が求められ、フジミの研磨材が重要な役割を担っている。
早速、専用の無じん服に着替えて、フジミが開発した研磨材の性能テストが行われている「Siクリーンルーム」の中へ。

「Siクリーンルーム」で磨かれていたのは、シリコンウエハーと呼ばれる半導体の基板。実際に研磨材を使って研磨し、シリコンウエハーがどう変わるのか見せてもらった。

ロボットがシリコンウエハーをキャッチし、研磨材を注入。回転させながら基板を磨いていく。その後は洗浄され、数時間で研磨作業が終了。

ナノレベルで磨き上げられた基板は、まるで鏡のような仕上がりに! この上にさまざまな配線が施されて、半導体が完成する。
この半導体基板を磨く研磨剤でフジミは世界シェア80%以上を誇っている。

「この基板を野球の球場に例えると、(野球場に)髪の毛の太さほどの段差があってもダメ」と話すのは、このスゴイ研磨材を生み出したシリコン開発部 部長・土屋公亮さん。半導体は非常に精密で、基板に少しのゴミや凹凸があるだけで不良品になってしまうという。

 土屋さんは、大学時代にJAXAと共同研究を行った経験もある理系男子で、「化学に関わる研究・開発をしたい」という理由でフジミに入社。なんと入社1年目で新しい研磨材用の材料を発見し、それまで研磨材には使われてこなかった材料を使って、従来よりも精度の高い、よりきれいに磨き上げる研磨材の開発に成功した。

この研磨材は今やフジミの主力商品になり、土屋さんは社長賞などを受賞。「研磨材の技術や製品を保護していかなければいけない」との思いから、国内外合わせて200件以上の特許を取得している。

最先端の研究設備が充実!

続いて、若手社員が多く働く「CMP実験室」に潜入。

フジミは、売り上げに対する研究開発費の割合が高いのも特徴で、最先端の研究設備が充実。半導体業界で研究や開発を志す若者が多く集まるという。CMP開発課の村冨樹大さんは、「先輩社員とはディスカッションができて、ささいなことも報告し合える関係性」と話す。

社員の楽しみの一つが昼食。研究開発センターの社員食堂では、ボリューム満点の日替わり定食が、なんと一食180円で提供されている。しかも食事代は給与から自動的に天引きされるため、現金を用意する必要がない。

さらに、仕事と子育てを両立できる支援が充実しているのもフジミの魅力。バスケットボールなどのサークル活動も盛んで、若手からベテランまで働きやすい環境が整っている。

半導体以外の分野にも進出

そんなフジミでは、半導体以外の新規分野にも進出している。自動車メーカーやコーティング業者などに向けて、車のボディ専用の研磨材を開発。その研磨材が、トヨタの最上位モデルに位置付けられる「新型センチュリー」のボディの鏡面磨き用として採用された。

研磨ソリューション開発第二課の課長・堀田和利さんによると、新型センチュリーのボディは、鏡のように磨き上げることで高級感を演出するだけでなく、乗る人がボディを姿見として使うこともあるそう。そのための鏡面磨き用として、独自に開発した研磨材が採用されたのだ。フジミの躍進はまだまだ続く。

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