遠方への移動に欠かせない新幹線。多くの人が利用する新幹線は、一体どのように作られているのか? 製造工程は驚きが詰まっていた! さらに「見ると幸せになる」と言われている「ドクターイエロー」の知られざる内部に迫った。
シルバーの新幹線が空中へ? 製造工場ならではの激レアな瞬間!
車両の検査や修繕を行う「JR東海 浜松工場」(静岡・浜松市)。取材班が工場内に入ると、新幹線の先端が外されていた。
中の連結器を引き出し、けん引車と合体させて工場内を移動するためだ。
車両が運ばれた先は解体場。
重さ約44トンの車両をジャッキアップし、車両の下にある2台の台車を同時に切り離す。かつては車両をクレーンでつり上げて切り離し作業を行っていたが、作業効率の見直しもあり、この方法が採用された。
こちらが、新幹線を製造している「日本車輌製造 豊川製作所」(愛知・豊川市)。
新幹線の側面となるアルミ製のパーツがクレーンで運ばれる。床部分と側面をつなぎ、ボディーを組み立てると、一気に車両らしくなった。
組み立てた後は継ぎ目を溶接し、仕上げ作業を行う。先頭車両は流線形で複雑な形のため、高い技術力が必要。仕上げ作業には、職人の匠の技が必要不可欠だ。
シルバーの新幹線が空中に! 製造工場ならではの激レアな瞬間!
3カ月かけて作り上げたボディーは塗装の工程へ。下地を塗り終えた後の最後の仕上げも手作業で行う。新幹線は青いラインが特徴だが、白色に塗った上から青色を重ね塗りするわけではない。実はボディーの下地は青色。青のライン部分をテープで覆い、白色を塗った後にはがしているのだ。
テープをはがすと、青と白の鮮やかなコントラストが! 新幹線のシンボルともいえるデザインが浮かび上がった。
「見ると幸せになる新幹線」気になる内部
毎日370本以上運行している東海道新幹線だが、実は10日に1回しか走らない車両がある。線路や架線に異常がないかを調べる車両、通称「ドクターイエロー」だ。レアな車両のため、ちまたでは「見たら幸せになれる」と言われている。
しかし、「ドクターイエロー」は老朽化などにより2025年1月中に引退(※JR東海所有のみ)。間もなく見納めとなってしまう「ドクターイエロー」の車内に潜入し、内部を撮影した。
向かったのは「JR東海 大井車両基地」(東京・品川区)。新幹線のメンテナンスなどを行う重要拠点の一角に「ドクターイエロー」(正式名称:新幹線電気軌道総合試験車)の姿が。10日に1回程度、東京~博多間を走り、線路や架線に異常がないかを調べている。
入り口は普通の新幹線だが、奥に進むと座席の代わりに大型モニターやテーブルがある。
こちらの軌道検測室では、レールの上下方向、左右方向の歪みを確認。モニターには、集まった歪みのデータがリアルタイムで表示されていた。
歪みは車両の下に取り付けられたレーザー装置で測定。
レールにレーザーをあて、歪みがなければ、レーザーは一定間隔で反射、歪みがある場合、反射の角度や強さが変わる。
さらに奥に進むと、車両の真ん中に階段と椅子が1脚。
こちらは「観測ドーム」で、階段を上ると、車両の屋根に設置されている「パンタグラフ」が見える。パンタグラフとは架線から車両へ電気を送る装置で、観測ドームでは、このパンタグラフが架線になめらかに触れているかなど、状態を目視で確認できる。
「ドクターイエロー」に設置されているパンタグラフは全部で4つ。通常の新幹線より2つ多く、うち2つは通常用、もう2つが架線の測定用。この測定用のパンタグラフで架線が消耗していないか、正しい高さにあるのかをチェックしている。
「ドクターイエロー」の引退後、こうした検査機能は一般の車両に引き継がれる予定だ。
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