名古屋市港区にあるリサイクル企業「アビヅ」の工場(敷地面積約11万平方メートル)では、日々多くの自動車を解体している。バッテリーやエンジンなどを取り外した車体はどうなるのか? 工場内で迫力満点の工程を取材した。
まさかの挑戦!3トン重機でコップにお茶を注ぐ?
バッテリーやエンジンが取り外された車体は、ボディーの解体へ。車は1台1台フォークリフトで運ばれ、集積場に向かう。
ここで待ち構えていたのが、工場の破壊王「ニブラー」だ。全長約12メートル、重さは約3トン。
アームの先端に付いている巨大なハサミが特徴で、動き出すと、高く積まれた車をいとも簡単につまみ上げる。
続いて両サイドの足で挟み込み、細かいパーツを取り外していく。豪快さと繊細さを併せ持つニブラーは車両の解体に欠かせない存在だが、もちろん操作は簡単ではない。
「操作自体は両手両足を使う。慣れるまで大変だった」と話すのは、“社内イチのニブラー使い”村中貴治さんだ。
仕込んだカメラを見てみると、村中さんが両手で2本のスティックを持ち、両足で2つのペダルを踏み、それを同時に動かしている。
ハサミの位置を微調整し、狙ったパーツをつかんでカゴに放り込む。村中さんの操縦に迷いはない。
お次は、車内から細いコードの束を引っ張り出す。もはや大型重機の動きとは思えないが、この繊細な動きは、職人技の賜だ。
そこで取材班が「ニブラーでペットボトルのお茶をコップに注いでもらえませんか?」とお願いすると、「やったことはないが、多分できる」と村中さん。早速、挑戦してもらうことに。
巨大ニブラーに比べて、あまりにも小さいペットボトル。しかし村中さんは、絶妙な力加減でペットボトルをつかみ上げた。
そのままアームを移動させ、コップに向かって少しずつ傾けていく…。わずかにお茶がこぼれたが、見事コップを満たすことに成功した。「難しい! (先端を)回す時に(車体を)動かさないと、的が外れる。しんどかった」と村中さん。
車を押しつぶす!リサイクル効率を高める“驚きの圧縮技術”
ニブラーによって主要パーツが取り外された車体。リサイクルするにはまだまだ仕分けが必要だが、その前に、いまの車の状態から別の形に変形させなければならない。
ニブラーに持ち上げられた車体はボックスの中へ。すると、右側にあるふたが閉じられ、車体をぎゅっとプレスした。
こうして車はブロック状に。この形にすることで、運搬や保管の面で作業効率が上がるという。
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