元サッカー日本代表が開発した【4マスの運動】がスゴい!高齢者の「転倒予防」効果も

人生100年時代――。「平均寿命」と「健康寿命」の差が課題となる中、トップアスリートが取り入れる「ラダートレーニング」が高齢者の健康づくりに活用されている。
転倒予防や脳の活性化にもつながるという、この画期的な取り組みに迫る。

たった4マスで劇的変化!転倒予防効果も

トップアスリートたちが取り入れる「ラダートレーニング」。LADDERとは、英語で“はしご”の意味。地面に並べたはしごのマスを使い、細かなステップを踏むことで「バランス感覚」「素早い反応」「体幹」を鍛えることができる。

サッカー、バスケットボール、テニスなど、一瞬の判断と足さばきが勝負を分ける競技で、広く取り入れられているトレーニングだ。

  • 谷真一郎さん

このラダートレーニングを進化させたのが、元サッカー日本代表・谷真一郎さんが考案した「タニラダー」。

谷さんは、ラダーを高齢者向けの運動教室で使用。背景にあるのは「高齢者課題」だ。

日本人の平均寿命は年々延びてきたが、長生きできる時代になった一方で、「健康に過ごせる時間=健康寿命」が延びていないという課題が。
平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9歳、女性で約12歳。いかにして健康で過ごせる時間を延ばすか……そこで谷さんは、「ラダートレーニング」に注目した。
一般的なラダーは、いくつものマスが連なる長い形だが、「タニラダー」はわずか4マスという短さが特長。

「4回繰り返したら休める。長いと皆さん途中で疲れる。4マス動いて休んでがちょうどいい運動量」(谷さん)。

1セットがたった4マスで終わる短い運動の繰り返しが、高齢者にとって“ちょうどいい運動量”だという。

「タニラダー」のもう一つの特長が、「段差」だ。「すり足で動けないので、絶対に足を上げないといけない。マスの中に足を入れるという認識が生まれる」(谷さん)。
アスリートが使用する一般的なラダーは、素早いステップさえ踏めればいいので、素材が薄くても問題ないが、「タニラダー」は、はしごにパイプを使うことでわずかな段差を作り、足を上げないと進めない仕組みになっている。

この運動を音楽に合わせ、テンポよくやるのが、谷さんが考案した高齢者向けの「タニラダー教室」。「74歳。今までスキップができなかった。それがだんだんできるようになって、生活の励みになっている」と話す参加者も。

「継続している人は、目に見えて変わっていく。どんどん動く、テンポが上がる、可動域が広がる、姿勢が良くなる、話し出す……といった変化を起こす」(谷さん)。

そしてそこには、谷さんが「タニラダー」に込めた真の狙いがあった。
「転倒予防が大きな狙いの一つ。とにかく転ばない体。つまずいても、支える踏み変える回路を形成するプログラムになっている。一つの転倒が原因で骨を折って入院、要介護一直線になってしまうので」(谷さん)。

厚生労働省の調査によると、介護が必要になる主な原因の第3位は「骨折・転倒」。 谷さんは、「転ばない体を作ることが、 健康寿命の延伸につながる」と語る。

この「ラダートレーニング」が、なぜ転倒予防につながるのか――。

「転倒予防にも筋力が必要。神経が信号を筋肉に伝えないといけない。脳(神経)は、使えば鍛えられる。(ラダートレーニングは)歩くより、脳(神経)が使われる。神経信号が伝わり、筋肉が動き、初めて転倒防止できる。効果はあると思う」(中京大学・紙上敬太教授)。

実はこの「タニラダー」教室、谷さんが所属する地元・山梨県のプロサッカークラブ「ヴァンフォーレ甲府」が運営している。

「我々はスポーツ文脈から入るので、運動的にはハードになる。ハードだけど、楽しみながら続けられる。スポーツクラブだからできるコンテンツだと思う。
地域にスポーツクラブがあって、幸せだなと思ってもらえる活動を続けていきたい」(ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ・長田圭介さん) 。

スポーツの力で、いくつになっても自分らしく動き続けられる体に――。
スポーツクラブの社会貢献が、高齢者の健康を守るだけでなく、地域全体を笑顔にしていた。

 

 

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