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岡田武史さん
サッカー日本代表元監督・岡田武史さんがオーナーを務めるプロサッカークラブ「FC今治」。
実は今、このクラブが、地域の高齢者たちに絶大な熱狂と“生きがい”をもたらしている。
「10周年セレモニー」で岡田さんが感極まった涙の背景には、市民とともに歩んできた感動のドラマがあった――。
「支えられる側」から「支える側」へ――「FC今治」が与える生きがい
プロサッカークラブ「FC今治」の本拠地「アシックス里山スタジアム」(愛媛県今治市)。クラブのオーナーは、サッカー日本代表元監督の岡田武史さん。2014年にチームを立ち上げた。
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「FC今治」の観客年齢層は、Jリーグ平均より5~10歳高い
この日は「FC今治」の試合が行われ、観客席をよく見ると、そこかしこに高齢者の観客が。実は「FC今治」の観客年齢層は、Jリーグ平均より5~10歳高く、多くの高齢者が観戦を楽しんでいるというデータがある。
「孫と話が合うようになった。もう少しで85歳になるが、この歳になると体も悪くなるし、何か楽しいことがないと乗り切れない。楽しみがあったら、また観に来たいと思うから、それまで風邪をひかないように、元気でいようと思える」(観客)。
今治では、サッカーの試合観戦が、高齢者の心の健康に大きく貢献している。
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「Voyage(ボヤージュ)」のスタッフ
高齢者の観客が多い理由は、他にも。取材班が密着したのは、ホームゲームの準備・運営を手伝うボランティア活動「Voyage(ボヤージュ)」。
試合の準備には多くのスタッフが必要で、「Voyage」の担当者は「とてもありがたい。結構な重労働なので」と話す。
「2年前に初めて試合を観に来て、試合前にボランティア活動があることを知り、いいなと思った。支える側になりたい」(「Voyage」のメンバー)。
支えられる側から支える側へ――。通常、高齢者は支えられる機会が増えていくものだが、「Voyage」では、高齢者も支える側に回ることができる。
参加者の木村重光さん(74)は、この活動に生きがいを感じる一人。
「出身は今治だが、仕事で転々として、2019年3月末に退職し、今治に帰ってきた。帰ってきたら、会社の仲間もいないし、暇で暇でしょうがない。サッカーを通じてコミュニティーができた。今治一色の生活リズムになっている」。
そんな木村さんは今、 シニアサポーターのまとめ役を務めている。
「アンダースタンド」の精神――岡田会長 涙のワケ
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阪谷 進さん
一方、「Voyage」の阪谷 進さん(77)が支える側に回ろうと思ったきっかけは、クラブのオーナーで「今治 夢スポーツ」代表取締役会長・岡田武史さんの言葉だった。
「スポーツの力で地方創生をする――。私が生きた時代は70年間戦争がなく、高度成長期という最高の時代を生きてきた。そんな自分たちがどういう社会を残すのか? 本当にこのままで良いのか? 自分にできることは何かないのか?」。
阪谷さんは岡田さんの言葉に胸を打たれ、その夢を手伝いたいとボランティアに参加。ボランティア歴は今年で10年目に入り、可能な限り参加している。
実は阪谷さん、チームの活動や今治の観光情報をSNSで発信。撮影した動画は、その日のうちに自宅で編集する。
自分も今治のために何か役に立ちたい――地方創生を担う、その生きがいがあるからこそ、明日も頑張れるという。
2024年に開催された「FC今治10周年セレモニー」で、岡田さんは発足当時をこう振り返っている。
「当初は全く受け入れてもらえなかった。『どうせ有名人が来て、ちょちょっとやって帰るんだろう』『こんなことする必要があるのか?』『お前、今治のこと分かっとらんのじゃ。今治はそんなこと無理なんじゃ』と、散々言われた。そんな中にも、数少ないが、僕のホラ話を信じてくれる人がいた。僕はその時、誓った。僕を信じて集まってくれた社員・スタッフ、そして信じて支援してくれた……」。
感極まり、思わずこぼれた涙――。今治の未来のために、本気で頑張る人がいる。だからこそ「FC今治」を支えたい、応援したいと思う。
今治のために――その思いが、 高齢者の心の健康をつくっていた。
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