国内外から注目を集めるワインを核に、地域を元気にしようとする動きが出てきています。仕掛けるのは、元外交官の北海道の町長です。
“ワイン一点突破”戦略で町を活性化
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ラフェト(農園開放祭)
北海道の余市町といえば、ニッカウヰスキー創業の地。余市蒸溜所が有名ですが、年に一度、まちが特別にぎわう日「ラフェト」があります。ラフェトとは、町のワイナリーを巡り、ワインと食を楽しむイベントのこと。日本全国だけでなく、海外からも客が集まります。
中でもお目当ては「余市ワイン」です。
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余市町 齊藤啓輔町長
余市産のワインである「余市ワイン」を仕掛けたのは、2018年から町長を務める齊藤啓輔さんです。町の活性化のためにとったのが、「ワイン一点突破」戦略。
余市町 齊藤啓輔町長:
「ワインは、国際的な共通言語です。余市で作られるワイン用ブドウは非常に素晴らしい。世界で勝てるパワーがあります」
世界で人気のワインに使われるブドウへと品種転換
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ピノ・ノワールなど、特定品種の栽培面積が2倍に
余市町では1980年代から、ワイン用ブドウの栽培を行ってきました。ただ齊藤町長は、より世界で人気の高いワインに使われるブドウへの品種転換を図ります。
特定の品種を作る農家への補助金を、それ以外の1.5倍に増やしたことで、ここ5年でピノ・ノワールなど、特定品種の栽培面積は2倍に増えました。
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1本数万円の値がつくワインも
「世界で戦える」ブドウが増えると、高い技術の醸造家も流入しました。その結果、余市ワインの質は向上。ヨーロッパの有名レストランで提供されたり、一部は1本数万円の値がついたりと、世界的な評価を得ます。
また以前外交官だった齊藤町長はトップセールスも展開。フランスの名産地「ジュブレ・シャンベルタン村」と親善都市協定を結び、余市の国際的な知名度を高めました。
ふるさと納税の返礼品としても人気に
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余市町のふるさと納税額
ブランド力の高まった余市ワインはふるさと納税の返礼品としても人気に。納税額は急増し、「保育料の免除」や「給食無償化」で住民に還元されました。人口が減少する中でも、総所得は1割増えています。
そして強いブランド力は「投資」を呼び込みます。
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ワインセラー付きのコンドミニアムを建設
2021年に開業した「フィールドオブドリームス・ワイナリー」は、ワイナリーだけでなく、余市駅前にホテルを開業したり、町を一望できる場所にワインセラー付きのコンドミニアムを建設したりしました。
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フィールドオブドリームス・ワイナリー 井内由佳代表
フィールドオブドリームス・ワイナリー
井内由佳代表:
「本社は福岡にありまして、余市には数十億は投資しています。すべてワインがキーワードになっています。ポテンシャルは無限だと思います」
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日本経済新聞社 札幌支社 濱野琴星記者
日本経済新聞社 札幌支社
濱野琴星記者:
「地域の食文化や歴史を学びながら、名産品を味わう『ガストロノミーツーリズム』が注目されています。食材とのペアリングを楽しむワインは、その観光コンテンツとしても活用。都市圏札幌や多くのインバウンドが訪れるニセコエリアからも、人とお金を呼び込む武器になっています」
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「サステナブルに地域の所得を維持する」と話す、齊藤町長
余市町 齊藤町長:
「人口が減ったとしてもサステナブルに地域の所得を維持する。ワインを核として“一点突破”で、地域を未来に残していきます」
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