-
(左から)テレビ東京のプロデューサー・大森時生さん、ホラー作家・梨さん
行方不明展名古屋実行委員会は、「行方不明展」の名古屋巡回記念として、展覧会の企画者であるホラー作家・梨さんと、テレビ東京のプロデューサー・大森時生さんを迎えたトークイベントを3月22日(土)テレビ愛知第一スタジオにて実施しました。
会場には、プレミアチケットを手にした約80人が集合。2人の話に聞き入っていました。本リリースでは、トークイベントのダイジェストをお届けします。
"顔出しナシ"の梨さん、テレビ愛知の紙袋をかぶり登場
-
顔出しナシの梨さん
大森:本日はよろしくお願いいたします。
梨:(会場が)かつてない"不穏な照明”…ですね。一応、私は顔を出さないということでやっているので、(顔を隠すための)紙袋を持参してきたのですが、先ほどスタッフの方から「テレビ愛知の紙袋もありますけど、どうですか?」って。紙袋に穴を開けているのは、宣戦布告とかではないですよ。
「行方不明」をテーマとして選んだ理由は?
-
かつてない"不穏な照明”の中でのトークイベント
大森:確か、2回目の会議ぐらいには出てきた印象です。
梨:「The Backroom(※1)」や「リミナルスペース(※2)」といった、人の存在が曖昧な空間って面白いよねという話が出て、その延長線上で喪失や不在というテーマに発展していきました。
※1インターネット上で話題を呼んでいる都市伝説や、その都市伝説に登場する場所のこと。
※2 簡素で不気味、超現実的な空間をいうインターネット・ミーム。
なぜ若者を中心にヒットしたのか
-
若い世代が多く訪れた行方不明展 名古屋
大森:「ヒットの理由」の答えとして求められている話とは違うかもしれませんが、TikTokって本当にすごいんだなとは思いましたね。展覧会に来た人のTikTokの投稿をたまたま見て、面白そうだから見に行きたいっていう感覚。
大学生のデートスポットになっているのを見て「なんかめちゃめちゃいいことしてるな、その夏の思い出を僕たちが作ってるんだ」みたいな(笑)。
僕と梨さんの作品を今まで見てくれたファンの外に行ったというか、いわゆるホラーファンとか、何となくそういうものが好きっていう壁を完全に越えた世界に届いてる感じがしましたね。
-
積みあげられたガラケー
梨:そうですね。いわゆるホラー的なものの楽しみ方だけじゃない、開かれた楽しみ方になった。例えば、行方不明展のガラケーが積まれた展示とか、ボロボロの鏡とか、ちょっとノスタルジーを感じるようなもの、あえて言えばY2K(※3)的な需要であるとかいうか。ホラーっていうものだけじゃない、ただ恐怖するだけじゃない楽しみ方が開かれてたっていうところが、より若い層、つまりホラーが苦手で、お化け屋敷などにも行けないような層にも刺さることができた理由なのかなと思っています。
※3 2000年代初頭に流行したファッションやカルチャー全般を指す言葉。
「ここではない、どこかへ」という感情
-
「行方不明展 名古屋」1階の様子
大森:行方不明展の『行方不明』は、『その本人が「どこかに行きたい」っていう気持ちがあって、その前に扉みたいなものがあって、その世界へと行く』という世界観がベースになっているんですけど、「ここではないどこかへ行きたい」っていう感情は誰でも持つというか、特に若い人は持ちやすいんじゃないかなと思うんですよね。
僕も、10代20代のころは、何か不満があったり不条理だと感じることがあると「ここの環境が自分にとってミスマッチだから、ここじゃないどこかに行ったら自分はもっといい感じになるはずだ」って思っていましたから。
梨:私は、旅行がとても好きなので遠出もするのですが、1人で旅行してる時に、ふと「今、私がスマホをこの海に投げ捨てて、全てから放たれたらどうなるんだろう」みたいなことを思うときがあるんです。 私も大森さんも、何か「解き放たれたい」というか、そういう願望があるような気がしています。
初出し制作秘話 名古屋会場と新作「犬小屋」
-
名古屋会場新作「犬小屋」
梨:名古屋会場で新規に追加した展示物で「犬小屋」というものがあるんですが…なんか急に「犬小屋があるんですけど」と言われて。
大森:もともと、今の会場ではない場所が、行方不明展名古屋の会場候補になっていたんです。そこは店舗兼住居にもなっているビルで、和室とかもあって…。めちゃくちゃええやん、みたいなことを話していたのですが、諸々の事情でその会場ではできなかった。
でも、どういう流れか、そこにある犬小屋をゲットできたみたいな。それ自体がもう本当に行方不明展っぽいというか、謎に放置されてる犬小屋。
梨:結構年季が入った。それがそのまま新作として展示されています。
大須商店街の空気感がハマった
-
「行方不明展 名古屋」外観
大森:大須は今まで来たことがなかったんですけど、すごく面白い土地だなと。平成初期の匂いがする。東京って、なんというか…どの街も結構同じになってきている感じがするんです。そんな中で、東京で言えば表参道的な雰囲気がある名古屋の繁華街・栄から徒歩10~15分ぐらいなんですけど、大須商店街は超オーセンティックな空気がある。それが、行方不明展の空気にハマったと思うので、大須商店街で開催できたのはすごく良かったと思います。
梨:良かったですよね!
大森:大須商店街中にポスターも貼ってあって、ありがたいなと思いました。
-
大須商店街の店舗とコラボした行方不明展の半券企画
梨:大須商店街のいくつかの店舗が、行方不明展の半券を持って行けばお得になるみたいなキャンペーンをしていて、それもすごく良い。商店街にあるコンカフェの何かが安くなるんですよ。
大森:コンカフェまで、すごい! 全面協力いただいてありがたいです。
今後の展覧会の構想
梨・大森:2人で関わる企画は、今後もやっていきたいと思っています。来たるべき日が来たら。またぜひお越しください。
イベント概要
「行方不明展 名古屋」
会期:2025年2月14日(金)〜3月30日(日)10:00〜19:00(最終入場18:30)
会場:大須商店街 仁王門ビル(仁王門通り 大須ういろ本店 西隣)名古屋市中区大須2丁目18-45
主催:行方不明展名古屋実行委員会
後援:ZIP-FM
企画:梨、株式会社闇、大森時生(テレビ東京)
入場料:大人2200円、小中高生1600円(税込)※未就学児無料
※初日の2/14(金)および期間中の土日祝休日は「時間指定制」です。
公式サイト:https://tv-aichi.co.jp/yukuefumei_nagoya/
公式X:https://x.com/missingexngy
公式Instagram:https://www.instagram.com/missingexngy/
※展示作品はすべてフィクションです。
この記事の番組を動画配信で観る
この記事をシェアする