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卵
1人あたりの年間消費量が320個と、卵は日本の食卓には欠かせない存在です。その卵で1億円のビジネスを生み出そうとしているスタートアップが、岡山県の過疎の村にあります。持続可能な地域づくりに向けた取り組みを追いました。
目次
限界集落から売上1億円へ、耕作放棄地を活用した新たな挑戦
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点々
岡山県北東部、西粟倉村の40人ほどが暮らす集落。移住してきて11年目の羽田知弘さんは、この集落からビジネスを生み出そうと、2024年、点々を創業しました。
点々 羽田知弘COO:
「一定のスピード感を持って事業をやらないと、本当に町や地域が無くなる段階にもう入ってきているので。まずは、この20世帯40人の集落から、いい事例を作るべく」
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1個 約100円の卵
その拠点は耕作放棄地に建てられた鶏舎。1,200羽のニワトリが元気に走り回り、卵を産んでいます。白身がぷっくりとしたこの卵、なんと1個100円ほどでレストランやスーパーに売れます。一般的な卵の3倍程度です。
点々 羽田COO:
「耕作放棄された田んぼに鶏舎を建てると、売り上げは約1,200万円作れるようになるので、お米の100倍ほどの売り上げになります」
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眞鍋正巳支局長
日本経済新聞社 岡山支局 眞鍋正巳支局長:
「羽田さんは、人口減少が進むいわゆる限界集落で、耕作放棄地も生かしながら資源を循環させて、1億円の事業を生み出すというモデルを築こうとしています。ほかの過疎地にとっても大きな希望の光になるのではと思います」
1個 約100円の価値を生む、健康的な「平飼い」とプロが認める品質
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茶わん蒸し
その卵はプロの料理人も高く評価。ミシュランガイドに掲載された東京の日本料理店「野田」では、人気メニューの一つ「茶わん蒸し」をあえて卵とだしだけで作っています。
野田 野田雄紀オーナーシェフ:
「あっさりしているが、味わい深さがある。卵だけでも一品としてきちんと成立するようなポテンシャルのある卵だと思っています」
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平飼い
プロに評価され高く売れるこの卵。どうやって生み出されているのでしょうか。最大の特徴は、健康的な飼い方。昔ながらの「平飼い」です。国内のほとんどの養鶏場が採用する狭いケージがないため、ニワトリたちは自由に動いてエサを食べ、羽の汚れを落とすための砂浴びをし、毎朝のように卵を産みます。
点々 羽田COO:
「しっかり運動しているので、ニワトリが健康な体になりやすいことが美味しい卵を産むところにつながっています」
地域の未利用資源を「宝」に変える、循環型農業と雇用の創出
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耕作放棄地
そしてもう一つ、卵の価値を高めているのが、未利用のものを生かす「循環型農業」というストーリーです。鶏舎の土地は地元の人から買い取った耕作放棄地、建物は地域の間伐材などを活用し、エサには地域の未利用資源を取り入れています。
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かす
例えば近くのクラフトビール醸造所から譲ってもらっている、麦芽などのかすです。他にも近隣から集めたくず米、おから、しょうゆかすなどを自社の倉庫で配合しています。
点々 羽田COO:
「季節とかニワトリの体調に合わせて調整しながら、エサを作っています」
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清水茂樹さん
さらに鶏舎に敷き詰めたオガクズやニワトリのフンは、肥料として近隣の田畑へ。こうした循環型モデルへの共感も、卵の付加価値となっているのです。地域経済にも貢献しています。現在は4人を雇用。
パート従業員 清水茂樹さん:
「次々と鶏舎の方も増えているので、ますます雇用が生まれてくるのではないでしょうか」
2026年には黒字化へ。地域の課題を強みに変えるビジネスの横展開
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マヨネーズ
できた卵は、地元のスーパーや全国50カ所の飲食店などに販売。2026年、鶏舎を増築し、生産する卵を今の2倍に増やして、黒字化を目指します。さらに今後、宿泊施設も作る計画。マヨネーズなど加工品の販売も含め、全体で売り上げ1億円を実現する考えです。
点々 羽田COO:
「規格外の果物とか、漁港で上がる未利用魚とか。そういったものをエサにすることで、地域の課題を地域の強みに変えられる。毎日必ず売り上げが作れるような農業ができる。そういった点を踏まえながら他の地域にも展開したいと思っています」
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