名古屋市営地下鉄の運転士は、毎日どんな景色を見ているのか。運転席にカメラを設置して、専門家の話を聞きながらゆらり電車の旅を楽しみます。
今回は地下鉄鶴舞線「丸の内駅」から「赤池駅」の区間をお届け! 午後8時頃の回送列車に乗って、名古屋市交通局の野村正臣さんに解説してもらいます。
目次
■伏見-大須観音
洞窟のようなトンネルが続く地下鉄の世界。伏見駅を通り過ぎると、線路がアップダウンしています。
野村さん:
「地下鉄を通すには深く掘らなければいけませんが、全部を掘り進めるとなると大変です。何もないところは浅く掘るようにした結果、アップダウンができました」
地下鉄は地上から掘り進めて地下のトンネルをつくります。しかし、ホームの部分は改札口などのスペースが必要となるので、深く掘る必要があったのです。
線路のアップダウンは地形によるそうですが、深く掘る必要はないので図のような形になることが多いといいます。
■大須観音-上前津
大須観音駅を通過しました。駅のホームを過ぎると、すぐに急カーブが!
野村さん:
「ここは西大須の交差点の真下になります。左へ曲がる形の交差点なので、地上同様に曲がっているのです。自動車と違って電車の場合は交差点を左折するわけにはいきません。西大須の交差点をものすごく広く使って、左に曲がります」
▼西大須の交差点
鶴舞駅手前に謎の側線
その後、鶴舞駅が見えてきました! 左右に線路が伸びていますが、この先にはモーターカーを停められる場所があるそうです。
野村さん:
「昔は鶴舞駅のこの場所がモーターカーの保守基地でした。今はその機能を移転したので、一時的な置き場所として使われています」
■鶴舞-川名
鶴舞駅を通り過ぎると、トンネルが四角から丸い形に変化しました。
地下鉄の工事は地上から掘り進めるケースが多いそうですが、鶴舞駅~荒畑駅間は鶴舞公園や民家の下に線路を通すため、地上から掘り進めることができません。そこでシールドマシンという専用の機械を使用して、地面の中を横に掘り進めて地下鉄がつくられました。
野村さん:
「シールドとは地面の中を横に掘るマシンのこと。モグラのように横に掘り進めるため、トンネルが丸い形状になるのです」
ちなみに鶴舞駅~荒畑駅間だけでなく、川名駅~いりなか駅間も住宅街の下を通るため丸いトンネルになっています。
■川名-八事
川名駅といりなか駅の間には謎の階段を発見! この階段は何に使うのでしょうか?
野村さん:
「喚気所の出入り口につながっています。地下鉄の換気所には大きな送風機を置いて、常に換気をしているんです。空気を出し入れするための換気口も設けられていますよ」
地上の交差点には地下鉄の換気口を設置。街並みに溶け込むように設置してあるため、パッと見では分からない仕様になっています!
■八事駅手前の側線
上りと下りの間に側線が伸びています。この先には何があるのでしょうか?
野村さん:
「この先には電車を止めておくことができる『留置線』という場所があります」
番組スタッフ:
「上り線・下り線の真ん中にあるのですか?」
野村さん:
「昔、八事駅は終点でした。車両を待っている場所が必要だったので、留置線がつくられています。今でも電車が翌朝出発するために停めておく場所として使われています」
■終点・赤池駅からその先は?
ついに鶴舞線の終点の赤池駅に到着しました! その先へ進むと、線路が二股に分かれています。
野村さん:
「真っすぐの線路は豊田市方面に行くもの、左側にある線路は工場に行くものです。今回の回送列車は日進工場に入っていきます」
■“線路の先”にカメラが潜入!
赤池駅を進んだ先にも、たくさんの側線を見つけました。右に曲がっていく3つの線路は留置線へ。左に曲がっているものは、検車工場に向かう線路になっているそう。今回乗車している回送列車は、検車工場に向かいます。
番組スタッフ:
「ここが“線路の先”ですね。カッコ良いです」
検車工場では列車検査や月検査などをはじめ、さまざまな車両の点検整備が行われています。線路の先にある検車工場があるからこそ、私たちは安心・安全に乗ることができるのですね!
※この記事は2021年9月23日放送のテレビ愛知「線路の先には何がある?」の情報をもとに作成しています。
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