「ロボット競技大会は、僕らの集大成」ロボット制作に心血を注ぐ高校生たちの絆と努力の結晶

熱闘!ロボットバトル

愛知県下の工業高校生たちによるロボット競技大会「愛知県工業高校生ロボット競技大会」(以下、ロボット競技大会)。

出場する高校生たちはどのような思いを背負い、ロボット競技大会に挑むのか。今回は3校に密着し、それぞれのチームの絆と努力の結晶を取材した。

  • 刈谷市産業振興センター

    刈谷市産業振興センター

ロボット競技大会では、毎年、大会独自のテーマに合わせて、チームで工夫を凝らしたロボットを制作。その技術と操作、チームワークで優勝を目指す。

17回目となる今大会は2024年12月21日(土)に刈谷市産業振興センターで開催。愛知県内の工業高校22チームがエントリーした。予選を通過した上位8チームが準決勝に進み、4チームが決勝に進出する。

今大会のルールは? 難関の1つは「階段」

  • 競技ルールの図

    今大会の競技「Piling Up Towers(パイリング・アップ・タワーズ)」。競技時間は3分

今大会の競技は「Piling Up Towers(パイリング・アップ・タワーズ)」。2台のロボットが協力して、筒型と箱型の2種類のブロックを積み上げてタワーを作る競技だ。

  • 競技ルールの図、筒型と箱型のブロックを交換する

    筒型と箱型のブロックを交換する

まず、ロボットはそれぞれのエリアに置かれた筒型と箱型のブロックを回収。次に元の位置に戻って互いのブロックを交換する。そしてコースの先端に運び、定位置に積み上げたブロックの数が得点となる。予選は2回行われ、高いほうの得点がチームの得点だ。

難関の1つとなるのが、コース序盤に待ち構える「階段」だ。車輪が空回りしてしまい、転倒してしまうロボットも多い。

先輩の“バトン”を受け継ぎ、連覇へ!「名古屋工科高校」

  • 生徒2人

    名古屋工科高校ロボット部3年生の青山未侑雅さんと、部長の明石健吾さん

そんな階段を攻略したのが、前回大会で初優勝を飾った名古屋工科高校のロボット部。3年生で部長の明石健吾さんと、青山未侑雅さんを中心に連覇を狙う。

  • 名古屋工科高校が手がけたロボット

    名古屋工科高校が手がけたロボット

ロボットを手がけた青山さんは、その制作秘話を明かす。

「工業用の重機の車輪をイメージして、どのように操作するかを研究しました。自分の学んだことをロボットに生かせたので、これは僕たちの集大成です」

  • ロボットを触りながら話す生徒

    「ロボットは優勝できる可能性を秘めている」と語る明石さん

もう1台のロボットは、部長の明石さんが1人で制作。少しでも大会の緊張感を感じてもらいたいと、操作は後輩の大橋翔梧さんに託した。

  • ロボット

    ロボットの操作に苦戦する大橋さん

先輩から受け取った大きな“バトン”に、大橋さんは「もう無理…」とくじけそうになることも。しかしロボット操作を練習して磨きをかけたことで、大会前日には苦戦していたブロックの交換に成功した。明石部長は「練習を重ねて、優勝してほしい」と熱いエールを送る。

大会当日、苦戦した操作の成果は?

予選を勝ち抜き準決勝に出場できるのは8チーム。準決勝では2グループに分かれて試合を行い、各グループから上位2チーム、計4チームが決勝に進める。

  • 名古屋工科高校の予選

    名古屋工科高校の予選

名古屋工科高校の予選、大橋さんの操作練習が実を結び、ロボットは順調にスタートする。筒型ブロックを5つ回収し、元の道を戻って箱型のブロックと交換。大橋さんも青山さんも、一連の動きをスムーズに完了させて準決勝に進出した。

  • ロボットの前に座る生徒

    修理が間に合わないまま準決勝へ

順調に見えた名古屋工科高校だったが、予選を終えたあとにロボットの不具合が発覚。修理が間に合わないまま準決勝を迎えることに。

  • 左から・準決勝と予選のロボットの違い

    左から・準決勝と予選のロボットの違い

トラブルが発生しつつもロボットを前に進める生徒たちだったが、ブロックをつかむためのアームが斜めに傾いてしまった。せっかく積み上げて運んだ箱型ブロックも、筒型ブロックと交換する際に崩れてしまう。

結果、名古屋工科高校の連覇の夢はかなわなかった。

  • 生徒が生徒の背中に手をついてうなだれる様子

    明石部長「ごめん。マジでがんばってくれたから」

観客席で試合を見ていた明石部長はすかさず青山さんのもとに駆け寄り「ごめん」と自身が制作したロボットの不具合を悔いた。操縦者の大橋さんは「何もできない自分が悔しい」と涙する。そんな後輩に向けて、青山さんは「来年は、かたきを取ってね!」と奮い立たせていた。

ロボット部OBが生徒たちを応援!「名古屋工業高校」

  • 生徒たちがロボットを作る様子

    ロボット制作に励む名古屋工業高校ロボット部のメンバー

一方、名古屋市昭和区にある名古屋工業高校ロボット部は、1年生・2年生のみで大会に出場。経験の少ない1年生と2年生ということもあり、ロボット制作の作業が進まない状況だった。

  • ロボットのパーツ

    3Dプリンターで制作。筒型と箱型、両方のブロックをしっかりとホールドできるようなパーツ

  • ロボットのパーツを見る男性

    同校OBで大同大学大学院生の白山太一さんも、生徒たちが手がけたロボットのパーツを絶賛する

そこで大会2週間前にはロボット部のOBが集まって生徒たちを応援。3Dプリンターで制作したパーツを褒めながら、さまざまなアドバイスをしていた。ようやく完成したものの、ほとんど練習ができないまま大会当日を迎えた。

会場では思わぬトラブルも…

  • 観客席から見守る男性

    早川部長の父・早川誠さん

観客席から生徒たちを見守るのは、部長の早川宗一郎さんの父・早川誠さん。ロボット部出身の誠さんは「うまくいかなかったときの焦りも分かる。ただ応援するしかない」と背中を押す。

  • ロボットを調整する生徒たち

    ロボットを調整する生徒たち

だが試合直前、ロボットのサイズが大会の規定に合わないという思わぬトラブルが発生。やむを得ず予選1回目を棄権し、2回目までにサイズを調整して再チャレンジすることになった。

  • ロボットがコースアウトした様子

    名古屋工業高校のロボットがコースアウト

予選2回目にはなんとか出場できた名古屋工業高校だが、後輪がコースアウトしてしまいタイヤが空回り。ロボットをスタート地点に戻して再スタートするも、今度は早川さんのロボットがバランスを崩して転倒してしまう。

なんとか仕切り直したが、無念の予選敗退となった。

  • 生徒を励ます先生

    生徒たちを励ます毛利正先生

生徒たちを支えた毛利正先生は「君らは落ち込むことはない。最後までこだわりを捨てなかったよね。足りなかったのは練習量。それが分かれば、君たちは来年優勝できる。自信を持ってください」と生徒たちの健闘を称えた。

初優勝を目指す!「豊橋工科高校」

  • インタビューに答える男性

    電気工事士として働く、豊橋工科高校OBの赤坂彰紀さん

「みんなで1つのものを作るのが初めてで、めちゃくちゃ面白かった」。そう語るのは、電気工事士として働いている赤坂さん。前回のロボット競技大会で、豊橋工科高校のロボット操縦者として3位に入賞した経験を持つ。当時のことを楽しそうに振り返る赤坂さんだが、いまでも「1位になれなかったのは悔しい」と話す。

今大会は観客席から、後輩の勇姿を見届ける。

  • 豊橋工科高校のロボット

    豊橋工科高校のロボット

そんな赤坂さんが通っていた豊橋工科高校も、序盤の階段の上り下りに苦戦していた。タイヤを4輪から6輪にすることで上れるようになったものの、スムーズとはいえない。

  • 豊橋工科高校 伊藤明先生

    豊橋工科高校 伊藤明先生

同校の伊藤明先生は「ロボット作りの楽しいのはここから。自分たちで作ったものを改善して製品を磨き上げ、完成度を高めていく」と、生徒たちが試行錯誤する様子を温かい目で見守る。

  • 決勝に進出した豊橋工科高校のロボット

    決勝に進出した豊橋工科高校のロボット

大会当日には苦戦していた階段を攻略し、予選を2位で通過した豊橋工科高校。準決勝で筒型ブロックを落としてしまったが、得点を少しでも上げようと挽回。箱型ブロックを追加で運び、見事決勝に進出した。

  • 先生とOB

    生徒たちを優しい眼差しで見守る伊藤先生と赤坂さん

決勝では「落ち着いて、確実にいってほしい」と固唾をのんで見守る赤坂さん。そのとき、筒型ブロックを落としてしまった。豊橋工科高校は惜しくも10点差で準優勝。優勝は愛西工科高校だった。

  • 川原颯真さん

    豊橋工科高校3年生の川原颯真さん

優勝まであと一歩だった豊橋工科高校だが、3年生の川原颯真さんは「次は後輩がこのロボットよりもいいものを作って、優勝してほしい」と目を輝かせる。

そして赤坂さんは「3位、2位ときているから、来年は優勝ですね」と未来に期待を込めた。

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