トヨタが「水素エンジン」に力を入れる理由 日本で100万人の雇用が失われる?

クルマとミライ

  • トヨタ自動車 豊田章男会長

日本経済を支える「自動車産業」。その自動車産業は、今“100年に一度の変革期”を迎えている。クルマづくりの現場で今、何が起きているのか? そしてクルマは未来に向けてどう変わっていくのか?

24時間耐久レースを完走したトヨタの“水素エンジン”。今、「トヨタ自動車」が水素エンジンの開発に力を入れるのは、内燃機関(エンジン)の技術を今後も生かしていくため。完全にEV(電気自動車)に切り替わると、日本では100万人の雇用が失われるという。

これまで培ってきた技術を捨てないため、新たなエンジンの開発に取り組む「トヨタ自動車」の取り組みを追った。

トヨタはなぜ、水素エンジンに力を入れるのか?

  • 水素エンジン車

2021年5月に開催された24時間耐久レースを完走し、注目されたトヨタの「水素エンジン」。水素エンジンは、ガソリンの代わりに水素を燃やしてエンジンを動かすため、エンジン音は出るが、二酸化炭素はほとんど排出しない。

2020年10月、国は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言。次世代エネルギーとして位置づけられているのが水素だ。

カーボンニュートラルに向けて、欧米や中国は走行中に二酸化炭素を出さない電気自動車へのシフトを強めているが、トヨタはなぜ、“水素エンジン”に力を入れているのか?

すべてがEV車になると100万人の雇用が失われる

「トヨタ自動車」の坂本尚之さんは、「自動車業界は、これまで内燃機関(=エンジン)を使って自動車を開発してきた。そこにはたくさんの技術やノウハウがあり、それを完全に捨て去ってしまうのはもったいない」と話す。

  • 豊田会長

「あくまでもゴールはカーボンニュートラル。将来すべてのクルマがEV(電気自動車)になったら、日本では100万人の雇用が失われる。水素エンジン車は、未来のカーボンニュートラル社会に向けての選択肢を広げるための第一歩」(「トヨタ自動車」豊田章男会長 ※当時は社長)。

水素エンジン開発の第一歩となった24時間レースの完走は、トヨタの力だけではなく、部品メーカーや水素を作る福島の施設などの協力があって実現した。

「未来づくりというのは、『トヨタ自動車』1社ではできない。550万人の仲間に加え、それ以外の方々が未来への扉を開き、我々とともに旅を始める準備ができたレースだったのでは」(豊田会長)。

カーボンニュートラル実現のための選択肢を広げる、既存のエンジンを活用することで、日本の自動車産業の雇用を守る…。「トヨタ自動車」が掲げる水素エンジンの開発は、両者をともに確立するための新たな道なのだ。

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