服を着たまま「シャンプー」できる家電 開発したのは老舗「牛乳石鹸」 介護人材不足に打ち勝て

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  • 福祉イベント「WEAVE! 2025」

    福祉イベント「WEAVE! 2025」

創業100年を超える老舗企業「牛乳石鹸」が始めた新規事業は、一見すると畑違いの異業種でした。新たな挑戦の理由と、その戦略に迫りました。

  • ポータブル洗髪デバイス「SUSUGU(ススグ)」

    ポータブル洗髪デバイス「SUSUGU(ススグ)」

大阪市内で開かれた、福祉イベント。ここで、ひときわ注目されていたのが、服を着たまま頭が洗えるポータブル洗髪デバイス「SUSUGU(ススグ)」。8月に発売を控えていて、新開発の“泡立たない”ミストシャンプーと、電動のミストブラシのセットです。

  • 頭皮にミストシャンプーを吹き付け、汚れを浮かせる

    頭皮にミストシャンプーを吹き付け、汚れを浮かせる

使い方は、まず頭皮にミストシャンプーを吹き付け、汚れを浮かせます。次に、霧状の水が出るブラシで髪の毛をとき、最後に、水と馴染んだ皮脂や汚れをタオルで拭き取るだけ。手間が少ないうえに、使う水はコップ1杯分。浴室の外でも、服を脱がずにシャンプーができます。しっかり汚れが落とせてこの小ささは、例がなかったといいます。

  • 牛乳石鹸共進社

    牛乳石鹸共進社

これを開発したのは「牛乳石鹸」。「赤箱」の固形石鹸でおなじみ、1909年創業の老舗です。会社の売り上げは、赤箱の石鹸が「肌にやさしい」などと若者の間で評判が広がり、着実に伸びています。

ただ、社長の宮崎さんは「牛乳石鹸の名前は広く知られるが、『じゃあ、これからは?』となると、少子化などで先がないような気がする」といいます。そこで2021年に「ススグ」の開発をスタート。シャンプーに悩む人たちに狙いを定めました。

毎日のシャンプーを気軽で簡単なものに

  • 大学生の中井けんとさん

    大学生の中井けんとさん

大学生の中井けんとさんは、脳性マヒの影響で手先の力の調節が難しく、毎日のシャンプーを負担に感じていたそうです。

大学生 中井けんとさん:
「シャンプーは力がかかって、爪で引っかいちゃったりして。普段、ちょっと労力がかかるなと思いながらお風呂に入っています」

  • 介護人材不足が深刻化

    介護人材不足が深刻化

ほかにも、高齢化が進むなか、入浴介助を必要とするケースが多い「要介護3」以上の人が増加。介護人材不足のなか、大きなニーズが見込めます。

「工程が少なかった」と好評

  • 「ススグ」を実際に使用する様子

    「ススグ」を実際に使用する様子

この日は、ユーザーが使ってみて不備がないか、発売前の最終テストを行いました。

中井さん:
「サラサラになった気がする。驚きだったのが、工程が少なかったので、これで普段の難しい髪洗いが簡単に終わるのが良かったです」

  • 新規事業室 江越亮一室長

    新規事業室 江越亮一室長

新規事業室 江越亮一室長:
「(悩みが)深刻な人は、その課題の先進者・パイオニアだと思います。そこで困る人に解決策を届けられるなら、ほかの人にも届けられるなと」

8月のオンライン販売を皮切りに、介護施設などへの売り込みも進め、5年後に1万台の販売を目指します。

日本経済新聞社 下田恵太記者:
「ターゲット層を絞ることで介護・福祉施設などに対し、効率的に商品を宣伝できるので、マス層に向けた商品よりも、少ないマーケティング・広告費用で売上を伸ばせます。さらに、今後市場が拡大した際に、有利な位置を占めることも見込めます」

  • 牛乳石鹸共進社 宮崎信也取締役

    牛乳石鹸共進社 宮崎信也取締役

牛乳石鹸共進社 宮崎信也取締役:
「『洗う』の常識を変えたい。新しいインフラになりたいです」

 

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