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「カポック」の綿が使用されている
冬に欠かせないダウン。1着のダウンを作るために約30羽分の羽毛が使われるといいます。そんな中、大阪のアパレルメーカーが目を付けた自然由来の素材に迫りました。
目次
新素材「カポック」が生むダウン並みの暖かさ
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カポック素材を使用したコート
今、大阪生まれのアパレルブランドが、ある自然由来の素材で注目されています。道行く人にカポック素材を使用したコートを試着してもらいました。
男性:
「暖かい。暖かいのに、軽い感じはしますね」
女性:
「軽い。すごく軽いです。風を通さない感じ」
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カポックノット
「カポックノット」というこのブランド。例えば、同ブランドのジャケット。一般的なダウンよりかなり薄い設計ですが、中綿が保温力にも優れていて、ダウン並みの暖かさであることが売りです。2020年に実施したクラウドファンディングでは、1,500万円以上を集め、同じ年に始めた一般販売では、累計で約2,000着を販売しました。
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繊維
暖かさと軽さ、理由は使用されている繊維。インドネシアなどの熱帯に自生する「カポック」という植物。その実の中から、白い綿が取れます。その繊維、重さは綿花から取れる綿の8分の1ほど。中はストローのように空洞になっていて、その空洞に空気を含むことで保温、さらに湿気を取り込み発熱する機能があります。
難航した製品化「シート化」で活路
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深井喜翔社長
「カポックノット」を展開するのが、カポックジャパンです。
創業者は実家が大阪のアパレルメーカーの深井喜翔さん。製品化には苦労がありました。
カポックジャパン 深井喜翔社長:
「おもしろい素材だけど、何回も大手さんが事業化をトライして撤退しました」
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シート
カポックは繊維が短いため、糸状にするのが困難。これまでアパレルにほとんど活用されていませんでした。そこで深井さんが思いついたのが、繊維をシートにすること。以前、勤めていた旭化成のグループ会社などと1年かけて共同開発しました。カポックの性能とコスト面を両立できるように、カポック30%、再生ポリエステル70%という配分で自社生産していますが、将来的にはカポック100%を目指しています。このシートを中綿にすることで、保温力と薄さを両立。水洗いも可能になりました。
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自由なデザイン
カポックジャパン 深井社長:
「シート化していることで、デザインの自由度も高いです」
環境負荷の小ささが世界的な注目に
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栽培
そうした機能性に加え、深井さんがカポックで着目したのが、持続可能性です。カポックは自生する木のため、CO2を吸収。綿花などの大規模農業では必要となる農薬や肥料も、基本的には不要で、環境への負荷が小さいといいます。
日本経済新聞社 石川雄輝デスク:
「インドネシアでは木を伐採してしまおうという動きもあった。それをカポックジャパンが、カポックに新たな価値を見出した。それにより、農家の人たちの収入アップや、地域の雇用の創出に貢献できている。アパレル業界では大量廃棄やカーボンニュートラル、これはもう当然課題になっている。環境負荷の小さいカポックという素材は世界的に注目されていて、まだまだ今後の成長余地は大きい」
大手も採用。日本から世界の繊維市場へ
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無印良品やイオン
カポックを採用する動きは、大手にも拡大。無印良品やイオンなどが、綿に混ぜて糸にするという別のアプローチで衣料品を展開しています。カポックジャパンでは、アパレルメーカーへのシートの販売などに、ビジネスの幅を拡大。2026年度の売上高は、2億円を超える見込みです。
カポックジャパン 深井社長:
「東南アジアの人たちと近くて、植物の加工技術があって、それをヨーロッパやアメリカに広げていける存在って、実は日本だけではないでしょうか。こうした開発を通じて、世界の繊維の中心が、もう一回日本に返ってくるような未来を作りたいと考えています」
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