-
(左から)ロードブック、梅本さん自筆のペースノート
「ラリー競技ではペースノートが大事」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか? 公道を舞台とするラリーは、道を全部覚えることが難しく、有視界で走行可能な速さにも限界があります。さらに有視界では、次のコーナーが見えないことも多々あるのでリスクが増えるばかりです。
-
梅本まどか
そこで「ペースノート」があれば、次のコーナーや道の状態をイメージできるので、それに合わせた車速やラインで走ることができます。ノートがあるのとないのとでは、出せる速さが違うのです。
私がコ・ドライバーとして参戦を始め、先輩方に「ちゃんとノート読めてるね、すごいじゃん」と初めて褒めてもらえたときは、ホントにうれしかったことを今でも覚えています。
「ペースノート」にはどんな内容が書かれている?
では、実際にペースノートにはどんなことが書かれているのでしょうか。ペースノートには、レッキ*中に「この道はこう伝えてほしい」というのをドライバーが運転をしながら口にし、コ・ドライバーがその言葉をノートに記しています。
*レッキ(下見走行)
ラリー競技の本番前にドライバーとコ・ドライバーがコースを下見走行すること。
タイムアタック中はペースノートに記された情報をコ・ドライバーがタイミング良く読み伝え、ドライバーはそれを聞き、次の道をイメージして運転する! 速く走り切るためには、このペースノートの精度がとても大切になってくるのです。
ノートの精度によってはクラッシュにつながる
ペースノートに正解はなく、ドライバーが聞いてわかりやすい言葉で記します。そしてなるべく短い言葉を使用することで、短時間でも読み切れるように工夫されています。レッキのときに本番を走るイメージができていないと、ノートに記せず、本番にミスをしてクラッシュ……ということも。リタイアした選手は「ペースノートの精度が良くなかった」とよく話します。ノートの精度に対する安心感、そしてコ・ドライバーのリーディング、ドライバーの運転のタイミングがかみ合うと速く走れます。
レッキはラリージャパンだと月曜から水曜、全日本ラリーだと金曜と、本番前に行われます。ですが、ラリーの戦いはもう、このときから始まっているのです。ラリー観戦時にも、このペースノートでどんな言葉を使っているか、コ・ドライバーがどう伝えているかを知ることでより楽しめるので、ぜひペースノートやリーディングにも注目してみてください!
月1回連載「梅本まどかのラリー日和」
「梅本まどかのラリー日和」は、元SKE48のメンバー・梅本まどかさんが、ラリーの魅力や大会での経験などを綴る連載企画です。2018年に開催された「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ」にクスコジュニアラリーチームからコ・ドライバーとしてラリーデビューした梅本さん。ラリーの奥深い魅力や、「コ・ドライバー」として戦う楽しさ、厳しさ、そして尽きることのないモータースポーツへの想いを、等身大の言葉で発信していきます。
●梅本まどか プロフィール
1992年7月17日生まれ。愛知県名古屋市出身。2010年SKE48第4期生オーディションに合格。同年12月に研究生からチームE初期メンバーに選抜され、チームEのリーダーに就任した。
2016年2月にSKE48を卒業し、12月に大型二輪免許を取得。2018年には「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ」にクスコジュニアラリーチームからコ・ドライバーとしてラリーデビュー。8戦中6勝で年間チャンピオンに。WRCラリージャパンでは2022年〜2024年まで3年連続表彰台(2022年RC4クラス3位/2023年JR Car1クラス2位/2024年JR1クラス2位)に登り、XCRスプリントカップ2025ではチャンピオンを獲得した。現在はマルチタレントとして活躍しながら、WRC日本開催のPRも行う。
この記事をシェアする

