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からくり人形
普段、博物館などの特別な施設でしかみることのできない「からくり人形」。それを趣味で製作する職人がいます。作るのは、どこかで見聞きしたことのある既存のものだけでなく、自らの思い出を元に形作ったオリジナルのからくり人形も。その作品や製作風景をお届けします。
目次
●からくり人形の種類と歴史
からくり人形とは
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酔いどれ親父 2003年 山崎津義作
内蔵された糸やゼンマイなどの仕掛けで動かす人形のこと。歴史は古く、平安時代まで遡りますが、大きく発展したのは江戸時代と言われています。からくり人形でよく知られているのが茶運び人形。人形が持つ茶托に茶碗を乗せると客のほうに動き、茶碗を取ると止まる。再び茶碗を乗せると元の位置に戻るという仕掛けが施されています。
●退職後にからくり人形づくりをはじめたわけ
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茶運び人形
製作者の山崎津義さんは、もともとトヨタ自動車のエンジニアでした。定年後に再びものづくりを行うのに良い題材はないかと思っていた矢先に、テレビで茶運び人形の構造や動きに感動し、1年かけて自身の茶運び人形を製作。定年後の趣味に選んだそうです。
まずは古典的なからくりを
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文字書き人形
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弓曳き童子
最初は既存のからくり人形を製作していた山崎さん。ただ、既存のものだと自分の思い通りに作れないことへのもどかしさに気付いてからはエンジニア魂に火が付き、自分なりのアイデアを盛り込んだからくり人形を作るようになります。
●オリジナル要素を組み込んだからくり人形製作
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流鏑馬
山崎さん作の流鏑馬は、馬に乗って窓を射抜く流鏑馬を再現したからくり人形。もともとあった弓曳き童子という名作を発展させて、馬に乗せて的を射る動きをからくりで再現しています。馬の足の動きは一定ではなくランダム。頭を上下に動かして非常に躍動感があります。
思い出をからくり人形で形にする
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剣道からヒントを得た「奥の手」
その後、自分の思い出をからくり人形にして残せないかと考えて、年に1つのペースで製作し、取材時点で23個の作品を完成させている山崎さん。「奥の手」と呼ばれる作品は、青年時代に嗜んでいた剣道からヒントを得たもの。

向かい合った人物が剣を両手で受け止めると……。

パカンと割れて中から小さい人物が出てきて突きを一閃。ユーモアあふれる作品です。
●からくり人形の製作風景


この年に製作していたからくり人形の題材は相撲。素材は主に木材。立会ったあと、仕切り線が出てきてつまずき転ぶというもの。動作が多く、作業は難航中。

当初の構造では動きと形が両立できず、地面に対して足の裏を水平にすることができませんでした。それを股関節も設けてハの字に開くようにしたことで解決。力士らしいフォルムにもなりました。ここまでたどり着くのにおよそ2ヵ月。1つの作品に1年かかるのも頷けます。

次に直面したのがギミック。想定した動きをからくりでやってみるとうまく倒れてくれません。

そのヒントを得るためトヨタ産業技術記念館へ。紡績機の動きからからくりのヒントを探ります。

ヒントをもとに設計図を描く山崎さん。管巻機と呼ばれる糸を巻き取る機械の構造から着想を得て、力士だけでなく仕切り線も動かして転ばせるという仕組みを考案。形になるのはもう少し時間がかかりそうです。
まとめ
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ユーモアにあふれた作品を手がける山崎さん
山崎さんの作るオリジナルのからくり人形は、新しくも既存のからくりにのっとったものとなっており、ユーモアにあふれたものなのが印象的。作れるのは1年に1つですが、作りたいモチーフはまだまだあるらしく、今後どのようなものが生み出されるのか、今から楽しみですね!
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