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半田モデラーミーティングに展示された、山本明彦さんによる作品「ロボノイド」
模型愛好家によるオフ会「半田モデラーミーティング」が、愛知県で行われました。会場内の作品で注目を集めていたのが、山本明彦(愛称:あっき~)さんによる作品「ロボノイド」です。一歩一歩踏みしめながらも、倒れそうで倒れない。愛嬌たっぷりのぎこちない動きに、参加者も「すごい!」と絶賛していました。
この最新作へのこだわりや、模型を動かす面白さなどをインタビューしました。
新作「フライングマシン」と「87式自走高射機関砲」のギミック
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アニメ作品「未来少年コナン」に登場する「フライングマシン」
――山本さんが手掛けた非常にユニークな作品が並んでいますが、まずは新作について教えてください。
「今回は新作として、宮崎駿監督の作品『未来少年コナン』に登場する『フライングマシン』や、陸上自衛隊の『87式自走高射機関砲』を展示しました。
『フライングマシン』は、中にジャイロ(こま)が入っていて、これを高速回転させることで自立するように工夫しました。本来は空を飛ぶものなのですが、模型で実際に飛ばすことは難しい。飛んでいるような雰囲気を出せるといいな、と思ってレールの上を漂うような動きにしています」
――ふわふわと漂うような独特の浮遊感が表現されていますね。
「なかなか修理ができず、漂うように飛んでいた、という作品の序盤の雰囲気を表現してみました」
狭いスペースを克服する「からくり」の知恵
――「87式自走高射機関砲」は動きが緻密ですね。
「『87式自走高射機関砲』は陸上自衛隊の車両です。現役で動いている車両で、実車の動きを研究しました。レーダーが180度回転して畳まれる動きや、索敵レーダーの回転などのギミックを仕込んでいます」
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砲身の角度とコマンダーの動きが連動
「砲身の角度に合わせて、コマンダーが双眼鏡を覗き込むように、首を上げるように連動させたのもこだわった部分で。前を向いたままではなくて、機関砲の向きに合わせて首が動くところも、ターゲットを狙っているようでよりリアルな人間を表現できます。
細部も作り込むことで見ている方にも喜んでもらえるので、作った甲斐がありますよね」
――人が連動して動くような複雑な動きは、最新の電子機器で制御しているのですか?
「実は、電気仕掛けばかりではないんです。1/35スケールという限られたスペースでは、基板やモーターを詰め込むのが難しい。そこで、棒で押したり紐で引いたりといった『からくり人形』のようなアナログな技術を駆使しました。そのほうがうまく動くこともあるんですよ。
例えばレーダーの回転も、細い紐が引っ張られることで向きを変える仕組みにして。また、シーソーのような部品で棒を突き上げ、上のパーツを動かす工夫もしています」
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87式自走高射機関砲
――まさに職人芸ですね。設計の段階からかなり作り込まれるのですか?
「設計は大事ですが、実際に作り始めると試行錯誤の連続。作り直しながら正解に近づけていきました。やっぱり『シンプル・イズ・ベスト』で、単純な作りのほうが確実に動いてくれるんですよ」
「ロボノイド」で追求したアニメらしい「人間味」のある動き
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「ロボノイド」
――もう1つの注目作「ロボノイド」についても教えてください。製作のきっかけは?
「この模型をつくり始めたのは、ロシアによるウクライナ侵攻が激化したときでした。『可動戦車模型愛好会』として戦車模型をつくってきましたが、こんな状況でリアルな戦争を想起させるような現用の戦車模型をつくるのってどうなんだろうと。そこでモデラーさんたちと、戦車模型の展示を少し控えたほうがいいという話になりました」
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ロボノイドが歩く様子
――世界情勢をかんがみたのですね。
「そうです。何か代わりになる面白いものはないか探したときに、見つけたのが『ロボノイド』のキットでした。
これなら元がアニメ作品ですし、『ロボノイド』を歩かせてみたら面白いかなと思って。設計に4日、形にするのに12日で静岡の展示会に間に合わせました」
――このぎこちなくも愛嬌のある歩き方は、どうやって実現したのでしょう?
「足のユニットには、円盤とピンを組み合わせた機構を使っています。足を地面に着いて、後ろに送るときはゆっくり、空中で前に戻すときは早く動くように工夫しました。一定のスピードで動かさないようにひと手間加えると、より人間らしく、アニメーションらしい動きになるんですよ」
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戦車用の基板ユニットを、ロボノイドの背中部分に格納
―― 中を拝見すると、驚くほどぴったりとユニットが収まっていますね。
「戦車用の基板ユニットが、まるであつらえたかのように背中のスペースに収まりました。駆動系はL字型に配置し、電池は盾の裏側に取り付けましたね」
機械への愛と、展示会で共有する「動かす楽しさ」
――山本さんにとって、模型を「動かす」ことの醍醐味は何ですか?
「僕らは模型を作っているというより、機械が好きで、それを模型に組み込んで楽しんでいるという感覚に近いかもしれません。かつての1/35戦車プラモデルが、電池で動くのが当たり前だった頃のようなノスタルジーもありますね。
家で1人で動かして喜ぶのもいいですが、やっぱり展示会で皆さんに見ていただき、『面白いね』と言ってもらえることが一番のモチベーションです。完成品を展示会に持ってきて、皆さんの反応を見るのが僕にとってのゴールなんです」
どの角度から見ても精巧かつダイナミックで、素晴らしい可動模型の数々。これからも、山本さんが生み出す驚きのギミックを楽しみにしています!
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