全国の航空機モデラーが一同に介するUAMC2024を取材。1000機以上の航空機モデルが集結するなか、ドイツの珍兵器として知られる「ミステル」を組み立てた永井敏さんに密着します。
目次
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航空機プラモデルの分野でスペシャリストの永井敏さん(左)
2024年7月に岐阜県各務原市で開催された、航空機モデラーが集うUAMC2024を取材。数多くのモデラーのなかでも、航空機のエンジンを美しく見せることに注力する、永井敏さんに話を聞きます。
永井さんの手法はエンジンが搭載されている機体の前部をあえてカットし、海外から取り寄せたエンジンパーツを流用して取り付けるという独自の手法。エンジンのオリジナルパーツが存在しない場合は、資料を基にパテなどを用いて再現するほどのこだわりぶりです。
ドイツの珍兵器「ミステル」とは
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製作には普通の戦闘機の2倍以上の時間がかかることも
今回の永井さんの出展作品は「1/48 ミステル」という旧ドイツ軍が採用した爆撃システムで、小型機の下に大型機を連結させる珍しい戦闘機です。
製作においては、親機と子機の2機を製作する必要があるので、完成品が少ないというのが現状です。
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上が操作する戦闘機で下が爆撃機の役割を果たす
ミステルは、有人の小型母機の下に無人の大型子機が連結され、目標に到達すると子機自体を切り離して爆撃機として使用していました。
ただし、大型機を連結した母機という特異な形態だったため、機動性が悪いだけでなく操縦も非常に困難。実戦ではほとんど活躍できなかったのです。
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子機の機首に弾道が搭載されることも
世界的なプラモデルのクラブで金賞を受賞
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IPMSにおいて金賞を受賞した力作
今回の永井さんのミステルは、世界中のモデラーが加入しているクラブ「IPMS」において、日本国内で金賞を受賞した作品になります。
整備中を想定したミステルの剥き出しのエンジンは、配線や配管までも加工して取り付けられており、戦闘機の静と動を感じさせる姿といえるでしょう。
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「ないものは作る!」配線や配管は自作することも
エンジンを見せる楽しみ
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エンジンの塗装も焼け具合まで再現するこだわりぶり
永井さんは、とにかく航空機のエンジンを作ることに喜びを得ており、いかにエンジンを美しく見せるかに重きを置いています。そのため、エンジンを見せたいがために構想を重ねて、最終的にはジオラマに落ち着きました。
永井さんはプラモデルのなかでもエンジンに特化することで、リアルさだけでなく当時の情景までも再現するほどの凄腕モデラーでした。
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整備工場のジオラマを選んだのはエンジンを見せるため
※この記事の掲載内容は更新当時の情報です。
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