素材を削って塗装し、まるで本物のような魚の模型を作り上げるフィッシュカービング。釣りの記録として取る魚拓のように、釣りを通して出会った魚たちをフィッシュカービングを用いて立体物にして仕立て、残し続けている達人を紹介します。
フィッシュカービングとは?
その名のとおり、木材などを削って魚を作り出すもので、日本ではあまり知名度は高くありませんが、海外では競技化されており、世界大会なども行われています。達人がフィッシュカービングを作るようになったのは、趣味の釣りで釣り上げた魚を立体物で手元に残したかったからだといいます。フィッシュカービングをはじめて13年で170匹ほどの作品を作り上げました。
こちらはマダイ。釣りをしていることもあってリアルなディテール追求と動きのある姿で形作られています。
イシダイはサザエを食べる食性を活かしてサザエを狙っている姿を表現。
クロダイはギョロリと目線を送る表情が本物そっくり! 濡れたような質感も非常にリアリティがあります。
ヒラメは海の底面にいるようなスタイルで。わからないところがあれば、図鑑などで調べて作品に反映させることあるそう。
アマゴ制作に密着
釣り師にはおなじみの渓流魚・アマゴを題材にした作品作りとともに、フィッシュカービングの制作工程をお届けしていきましょう。
素材に横からのアウトラインを描きカットする
実際の写真をなぞって大まかなアウトラインをトレースし、躍動感重視で口を開けた状態を制作します。
上からのアウトラインを描き、最終的なポージングも決定
上からのアウトラインは横からとはうってかわって、フリーハンドで描きます。これは、標本のような姿ではなく、尾を動かした躍動感のあるものにしたかったからです。
尾びれ側を左右対称ではなく、片側に少し角度がつくようにカット。
電動の彫刻刀を使って角張った部分を均し、丸みをもたせます。
ある程度形ができました。特徴的な尾びれ部分は最後に行います。せっかく仕上げてもその後の作業で欠けると台なしになってしまうからです。
細かな鱗の表現造形
魚を表現するのに重要な鱗づくり。アマゴの細かい鱗をどうやって表現していくのかがキモとなります。
ナイフを使って格子状に傷を付けることで、細かい鱗を表現します。簡単そうに見えて、曲面に細かく均一にナイフを入れるのは非常に困難。この作業に約3日かかりました。
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3日かけて彫った鱗
3日かけた地道な作業によってできた鱗。これが木彫りの魚を生きた魚へと近づけてくれます。
さらに口元をカットし、内側を彫刻刀で丁寧に彫り込んで口の開いた状態を再現します。
尾びれの仕上げへ
終盤に取っておいた尾びれの成形に着手。まずはグラインダーを使ってできる限り薄くしていきます。
尾びれに筋を入れていきます。尾びれの厚さは薄いところで約1mm。通常の彫刻刀を使うと力が入って破損する恐れがあります。そのため作業には電動の彫刻刀を使用します。電動の彫刻刀であれば尾びれに力をかけることなく切削作業が行えるからです。
別途作っておいたヒレや目のパーツを接着すれば造形は完成
造形が出来上がったら塗装の工程へ。アクリルガッシュを使用します。
白からだんだんと濃い色を塗り重ねていきます。細かい鱗のディテールが消えないように注意しながら薄く乗せます。
特徴付けるパーマークと呼ばれる青い模様。釣りを嗜み、何百も釣ってきた達人には塗装表現もお手の物!
目には金色のラインを描き、魚らしい瞳表現を加えます。目に色が入ると一気に表情が生き生きとしてきます。
これで本塗りは完成。このままだとカサカサとした雰囲気なので、最後の仕上げにラッカー塗料の光沢を全体に塗装します。
スプレー缶で全体に光沢を帯びさせると魚特有の濡れた質感を出て本物さながらの雰囲気になるんです。
川を訪れて採取してきた石と組み合わせれば、臨場感あふれるアマゴの木製モデルが完成。現地へ行って実際に釣りあげている釣り人だからこそ、表現できる自然な姿となりました。
既存のキットを使用せず、自由な発想で楽しめるフィッシュカービングの世界。水族館、図鑑、自然など、参考にできるものも身近に多いので、魚好きでものづくりの好きな方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
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