バリエーションに富んだ楽しみ方で、老若男女問わず幅広い層に親しまれている釣り。今回は既製品ではなく、こだわり抜いた釣り竿を自ら作り上げ大物を狙う“フライマン”の楽しみ方を紹介していきましょう。
フライフィッシングとは
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63cmのシーバス(スズキ)
釣りの楽しみ方はさまざま。大きく分けて生き餌を使った方法と、生き餌を使わずルアーなどの疑似餌を使った方法があり、今回紹介するフライフィッシングは後者に当たります。ルアーとの違いは、フライフィッシングは主に虫をモチーフにした毛鉤(けばり)を使うため軽いこと。竿を動かした魚へのアプローチの仕方も独特です。
フライフィッシングの歴史は古く、欧州では15世紀から使用されていた手法と言われています。主に渓流釣りなどで用いられていることが多いですが、海釣りでも行われ、シーバス(スズキ)やシイラ、カジキといった大型魚を狙うことができます。
ルアー
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(写真上から)フライフィッシングの疑似餌と、ルアーの疑似餌
フィッシュイーターと呼ばれる小魚を捕食する魚を狙うためのものなので、魚をモチーフにしたものが多いです。仕掛けに重さがあるため遠くのポイントまで仕掛けを飛ばしやすいなど、初心者でも扱いやすく、また釣り人口が多いため関連商品が多く、初心者でも比較的始めやすいジャンルといえます。
フライフィッシング
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ひと振りでポイントへ投げる
虫を捕食する魚からフィッシュイーターまで、さまざまな魚を狙うことのできるフライフィッシング。仕掛けが軽いぶんフライラインと呼ばれる重い釣り糸を使用し、糸に力を伝達させるような竿の操作を行って狙ったポイントに仕掛けを運んでいきます。
ルアーと比べて釣り人口は多くないので、初期投資はそれなりにかかりますが、仕掛けの毛鉤は安価で自作することもできるので、ランニングコストはルアーよりも安めです。
フライフィッシングで大物を狙うためのガイド選び
フライフィッシングにおいて重要な役割をもつガイドを選びます。
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赤丸で囲った金属の部分がガイド
●ガイドとは?
釣り竿につける糸を通す部品のこと。フライフィッシングでは釣り糸に力を伝達させて仕掛けを飛ばすため、その糸が通るガイドに何を選ぶかも重要です。
ガイドの種類
ガイドは、スネーク、シングルフット、SiC(エス・アイ・シー)の3つが主。それぞれに特徴があり、自分にとってしっくりくる操作のしやすさや狙う魚の種類などによって選びます。
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(左から)スネーク、シングルフット、SiC
今回はSiCを選択しました。ガイドの中では比較的高価で、リングの内側にセラミックが施されているのが特徴。これによって糸が滑りやすく、大きいシーバスがかかった際にもスムーズに糸の操作が行うことができ、より安全で確実釣り上げることが狙いです。
ガイドをセッティング
購入したガイドを取り付けます。ガイドの数で竿のしなり具合が変化するので、仮止めを行い検討していきます。
仮止めしたガイドに糸を通し、負荷をかけてみてしなり具合をチェック。約2.7mの竿に11個のガイドを取り付け、大型のシーバスがかかっても竿への負担が和らぐように設置しました。
仮止めのまま屋外へ。しなり具合だけでなく、フライフィッシングのキモといえる操作性もチェックしないといけません。広い河川敷を訪れ、実際に竿を振ってチェックします。
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糸が曲がってしまうと、釣果に影響を及ぼす
操作性に違和感が。フライフィッシングでは狙ったポイントまで糸をまっすぐに飛ばせることが重要なのですが、現状では糸の動きに歪みが生じており、このままだと釣果に影響してきます。
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ガイドをSiCからシングルフットに変更
ガイドに選んだSiCが想定よりも滑りが良すぎることが原因だと考え、11個中8個をSiCよりも摩擦抵抗のあるシングルフットに変更することに。自作の釣り竿ならではのオリジナルセッティングです。
グリップの制作
大型のシーバスのためにグリップにもひと工夫。力が入りやすくなるように親指を置くグリップを少し細めに調整。
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(左から)加工前、加工後
アールが深めのメリハリのあるフォルムに仕上げられています。これだけで力の入り方がかなり変わるそう。
デザインにもこだわる
釣果を追求した操作性は重要ですが、あくまで趣味。デザインにもしっかりこだわります。釣り竿に施す塗料を準備。調色した塗料はすぐには使わず約4時間ほど放置して粘度を高めます。
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引き抜きを行う
塗装は「引き抜き」と呼ばれる方法で行います。引き抜きとは、穴の空いた容器に竿を通して引き抜きながら塗り上げていくというもの。引き抜く動きで仕上がりが変わるため、一定のスピードでスーっと容器を抜いていきます。その具合が難しいそう!
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塗装を施した釣り竿
引き抜き成功。うまくいくと、引き抜きならではのムラのないきれいな塗膜が形成されます。
部品を固定する
ガイドは接着剤などではなく、0.1mmにも満たないスレッドと呼ばれる糸で固定します。強度を考えるともう少し太いものがいいのですが、細いもののほうが竿との一体感がでて、仕上がりの良さがまったく異なるといいます。
巻き上がったら仕上げにエポキシ樹脂を塗ります。強度を増すためもありますが、美しさも段違い。非常にシンプルな竿が、操作性、ビジュアルといった独自のこだわりの詰まった、美しい竿に生まれ変わりました。
80cmオーバーの巨大シーバスを狙う!
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柱のそばでフライフィッシング
いよいよ目標を釣り上げるために、自作の釣り竿とともに釣り場へ。
狙うは柱のそばです。シーバスは影が好きで、影に潜んでいることが多いそう。こうした狙う魚の習性を知り、利用するのがフライフィッシングでは特に重要です。
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ストリーマーフライ
使うフライはストリーマーフライという水に沈むタイプのもの。ちなみにこのフライも達人の手作りです。
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魚がかかった!
作った竿の操作性は良く、狙ったポイントにフライを泳がすことができ、いよいよ手応えのあるヒットが! 釣り竿のしなり具合も非常に美しく、魚との競り合いにも十分対応可能です。
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釣り上げ成功!
見事釣り上げに成功! 40cm後半のシーバス。目標のものよりも小さいですが自作の釣り竿がしっかり結果を残してくれました。
達人いわく、釣り上げる最中に自分が手がけた釣り竿が美しくしなる姿をみるのがたまらないとか。ガイドのセッティングがうまくいっていたことなども再確認できて、報われる瞬間だそうです。
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釣り上げたシーバスは40cm後半。80cmオーバーを釣るまで、達人の挑戦は続く
結局この日は最初に釣った40cmオーバーが一番の大物で、目標の80cmオーバーには出会えませんでしたが、いつかこの釣り竿で釣り上げたいと意気込んでいた達人。釣り竿は自作するだけでなく、実際に使って釣り上げることで魂が入ると語ります。
釣りは一生モノになってくれる趣味のひとつ。手塩にかけて自作した釣り竿を相棒に、大物釣りに挑戦する、そんなロマンあふれる楽しみ方に注目してみてはいかがでしょうか。
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