作ったプラモデルに世界観を加えてくれるジオラマ。本物そっくりな情景を作るのはとても難しく思いがちですが、今は便利なジオラマ専用の材料が100円ショップでも売られており、初心者でもほぼ1日で完成させられるほどお手軽に挑戦することができるんです。
模型雑誌で活躍するプロモデラーによる、誰でも完成させられるジオラマ製作法をお届けします。
100均で展開されるジオラマ専用素材でベースを作る
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ジオラマ粘土
まずはベース作りから。黒く色を塗った小さい木の板を用意します。どんな景色にして、そのためにどのような地形にするかなどを考えておきましょう。
使うのは100円ショップで販売されているジオラマ粘土と呼ばれるもの。紙粘土や樹脂粘土を活用するのが一般的ですが、それらを使う場合は地面の色を塗装する必要があります。
ジオラマ粘土はすでに地面に合った色が着色されており、砂の粒も練り込まれているので、盛り付けるだけでそれらしい雰囲気になってくれます。
使い方は木の板に押し付けるだけ。後から整えるので板からはみ出したってかまいません。木の板に定着してくれないときは接着剤を使いましょう。
今回は小丘を2つ設けた立体的な地形にしました。デコボコを意識しながら盛るだけであっという間に地面の雰囲気に。別の色のものを混ぜるとより雰囲気が馴染みやすいです。
これくらいアバウトな雰囲気で充分し、作業工程もおよそ7〜8割終了です。
ベースに草を生やして風合いを良くする
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草を生やす
粘土の完全乾燥にはおよそ1週間かかりますが、1時間程度で表面が触れるくらいには乾燥するので、触れるようなら草を生やす作業へと移ります。
あらかじめはみ出した粘土はカッターなどで整えておきます。
草や砂の表現用の部材も100円ショップで売られています。こちらを木工用ボンドでベースに定着させます。木工用ボンドを直接ベースに乗せます。大胆に乗せたボンドを指で伸ばしていきます。
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砂表現用の部材をふりかける
塗り拡げたボンドに砂表現用の部材をふりかけます。その際、模型の箱などを活用すると作業場以外に部材が飛び散りにくく、掃除もしやすいです。
草を生やしたいところにボンドを落とし、筆で塗り拡げます。砂表現の部材が混ざって荒れたりしますが気にせずに進めます。
ボンドが塗り広がったら草表現の部材をふりかけていきます。ボンドの塗られていない部分以外は定着しないので、大胆に行います。
余分な部材をふるい落とせば、盛りすぎて大げさに見えていたところも落ち着きます。
水で溶いた木工用ボンドを使って細かい部分に部材を接着し調整していきます。接着剤を流す→部材を振りかける→本体を持って定着していない部材をふり落とすを繰り返します。
想定よりも草を生やしてしまいました。また、地面と草の見え方もはっきりしているので、馴染ませていきます。まずは、水溶きボンドを調整したいところに塗り、そこにベースに撒いた部材をミックスしたものをふりかけます。
草、砂表現、あえてベースを残した部分すべてが上手く調和した仕上がりとなりました。これでジオラマを完成としても良いのですが、臨場感と立体感を強めるためにさらに部材を追加します。
植栽を加えてよりリアルな雰囲気に
こうしたミニチュアの木が100円ショップで販売されているので、ベースに植え込んでいきます。別の木の素材を使って、情報量を増やします。
植え方は爪楊枝などでベースに穴を空け、ミニチュアの木の根本に木工用ボンドを塗布し差し込むだけです。
これは鉄道模型商材を展開しているKATOがリリースしている天然素材樹木という部材。別の木の素材を使って、情報量を増やします。
塊をほぐすと細かい木の枝が出てきて、選り分けると1本の木のようになります。枝に付く葉を間引いたり、枝の長さをカットするなどして高さやボリュームを好みに合わせて調節しましょう。
違う形の植物を植栽したいときや木を差し込んだ部分を隠して、よりリアルな雰囲気にするのに便利なのが、藪用の部材。これも鉄道模型メーカーなどからリリースされています。
取り付け方は裏面にボンドを付けて置くだけ。
植生に階層が生まれリアルな雰囲気になるのでおすすめです。
最後に、KATO製の天然素材樹木を使用したときに出た葉の端材を活用して、藪よりもさらに低い階層の植物を表現し、植栽全体の調和を図ります。
細かい素材1つひとつにボンドをつけるのが大変な場合は、置きたいところにあらかじめホンドを塗布しておいて、そこに散らすといいでしょう。ボンドは乾燥後に透明になるので、違和感はなくなります。
完成したジオラマはこちら!
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ジオラマ
実際に製作したのはこれがジオラマ製作が初の女性アナウンサーで、プロモデラーが同じ工程で作ったものと並べても遜色のないリアルな情景が感じられる仕上がりとなっています。
今回の製作時間は、ベースの乾燥時間を除けば約1、2時間ほど。こうしたベースに飾られるだけで、一生懸命作った模型の魅力が数十倍にも跳ね上がります。模型本体の製作後やその息抜きとして、ぜひジオラマ作りに挑戦してみてください。
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