全国の模型愛好家やプラモデラーが自慢のジオラマを出展するイベント「浜松ジオラマグランプリ」が、2025年8月21日から24日、静岡県のザザシティ浜松で行われました。
今回は応募枠を「マスタークラス」と「一般クラス」に分類。過去の大会で1回以上グランプリを受賞した人をマスタークラスとし、従来とは違った得票計算で評価されました。そして、3年間連続でグランプリを受賞したのが青山祐司さん。グランプリを終えた心境や作品に込めた思いなどを聞きました。
「百鬼夜行(ひゃっきやぎょう) ~月光東照号のパレード~」
2025年に青山さんが出展した作品は「百鬼夜行(ひゃっきやぎょう) ~月光東照号のパレード~」。闇夜に妖怪たちが列をなして歩き回る「百鬼夜行」をテーマに、怖さと楽しさを兼ね備えた作品を披露しました。
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目がぎょろっとして、口から牙がむき出しに!
――2025年は新設された「マスタークラス」での受賞となりましたが、心境の変化はありましたか?
「『マスタークラス』になっても、作品の出し方は変えていません。今までと変わらず、好きなものを作りました。ただ、妖怪は『気持ち悪い』『怖い』というイメージがあって、見た人がどんな反応をするのか、不安がありましたね。特に夏休み中のお子さんに見て喜んでもらえたらいいな、と思いながら製作していました」
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多彩な鬼が祭車をひく
――妖怪といえば、『ゲゲゲの鬼太郎』が思い浮かびます。アニメの中の妖怪たちはかわいらしく描かれることが多いですが、青山さんの作品は非常にリアルに作られていますね。
「初めは『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する鬼太郎やねこ娘、ねずみ男、ぬりかべなど有名なキャラクターを作って置いていました。でも、目立ちすぎてしまって本来のテーマである百鬼夜行が負けてしまうと感じたんです。
結局、江戸時代あたりに描かれた『百鬼夜行絵巻』や歌川国芳が浮世絵で描いた『がしゃどくろ』などを参考に、フィギュアを作り上げました」
――製作過程では、どのようなことを意識していましたか?
「インパクトは意識して作っていました。ただ、それだけでは模型作品としてもったいないので、フィギュア1つひとつが『細部まで作り込まれているな』とじっくりと見てもらえるように工夫していましたね」
「怖さ」と「楽しさ」の融合
――月光東照号をひく妖怪たちの動きが印象的です。特に苦労した部分は?
「動きをつけるのに苦労しましたね。『百鬼夜行』として妖怪たちが行進している様子を見せたいので、テーマを活かすために走っていたり、歩いてたりといった動作をつける必要がありました。そうした臨場感を持たせるのが大変でした」
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口元が笑っている「がしゃどくろ」
――ダイナミックなどくろは怖さも感じる一方で、少し笑っているようにも見えます。
「『気持ち悪い』『怖い』だけのジオラマにはしたくなかったんです。妖怪たちが楽しそうにお祭りをしているシーンを具現化したくて、表情豊かに作り込もうと試行錯誤していました。ですが、1/43スケール想定で製作していたので、例えば口を開けて歯を見せるとか、小さなフィギュアに細かな表情をつけるのも難しかったです」
スクラッチだけでなく、プラモデルキットも活用
――妖怪はすべて手作りですか?
「がしゃどくろ以外は全部スクラッチで、粘土やパテ、針金などを使用して作りました。オーブン粘土で大まかな形を作って、細かいところは焼いたあとにエポキシパテを使って仕上げました」
「がしゃどくろは2000円ほどの人体模型を買いました。関節が動くようにパーツを切って、針金でつないでいます。全部スクラッチで製作しなかったのは、プラモデル好きの人に共感してもらいたいという思いもあったからなんです」
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祭車(さいしゃ)は栃木県の日光東照宮のプラモデルを改造。妖怪たちは江戸幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい)の絵などを参考にして、粘土やパテを用いて製作
――プラモデラーさんからの反響はありましたか?
「ありました。日光東照宮の陽明門のプラモデルは、何人かが『あのプラモデルですよね?』と気づいてくれました。『このように工夫したんですよ』と解説して、そうしたやり取りがとても楽しかったです。プラモデラーさんと直接会話できるのも、プラモデルキットを取り入れる醍醐味ですよね」
浜松ジオラマグランプリで「人に見せる喜び」を知った
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浜松ジオラマグランプリの授賞式での青山さん
――グランプリを受賞したときのスピーチで、青山さんはジオラマを「人に見せる喜び」について話していましたね。改めて、どんな思いがあったのかお聞かせください。
「浜松ジオラマグランプリに参加する前は、人に見せようとはまったく考えていなかったんですよ。偶然、静岡旅行に来ていたときに友人に教えてもらって『出展してみたら?』と提案されたんです。最初は『出すわけないよ』と渋っていたんですが、やっぱり参加してみようかな?と。それがきっかけで、たくさんの人に見せる喜びを知ることができました。
あのとき浜松ジオラマグランプリに出合っていなかったら、今のようにだれかに見てもらい、作品について語り合う楽しさに気づけていなかったと思います」
「今後1年間は、この『百鬼夜行』をザザシティ浜松に展示してもらえるので、イベントに参加できなかった人にも見てもらいたいですね」
青山さんが手掛けた鬼気迫る「百鬼夜行 ~月光東照号のパレード~」。ぜひ近くでじっくりと鑑賞してみてください!
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