黙ってバイク通学する女子高生のリアルを表現! 木や枯葉、フェンスなど細部まで拘った作品!〈半田モデラーミーティング〉
-
saruruさんの作品
女子高生とホンダのバイク、シャネルの香水に女優とバイク、そして欧州の石畳にレザースーツに身を包んだ女性ライダー。プラモデル愛好家による模型展示会で、ひときわ目を引いていたのが、モデラーのsaruru(サルル)さんの作品です。1/12スケールの小さな世界に凝縮されていたのは、独自の物語とそれを成立させるための工夫の数々でした。
放課後、自宅ダッシュしたい!
-
「最速の帰宅部II」
――saruruさんの作品は、バイクとともに素敵なフィギュアを配置しているのが印象的です。「最速の帰宅部II」は、ヘルメットをかぶった女子高生が、今まさにバイクに乗り始めようとしていますね。
「2024年にタミヤの新製品だった『Honda Dax125』を組み立てました。授業が終わり、放課後にスカートを折り込んでミニスカートにする様子を描いているんです。
1作目は『最速の帰宅部I』として、スーパーカブのカスタムバイクと靴下をブーツに履き替えている女の子を配置していました」
-
よく見ると、スカートをたくし上げている
――“最速の帰宅部”ということは、バイク通学をしている女の子ですか?
「実は、学校には黙ってバイク通学をしている高校生を表現しているんです。校舎の裏にバイクを止めて、学校のチャイムが鳴るとすぐにバイクのもとへ向かう。『さぁ、どこへ行こうかな?』と、ちょっぴり悪さするようなシーンに仕立てました」
――たしかに、木やフェンスがあって、枯れ葉が落ちていて。どこか懐かしい裏庭の雰囲気が見事に表現されていますね。こうしたジオラマは自作ですか?
「自作です。外の歩道と、女の子が背にしているフェンスの向こう側、それぞれの雰囲気の違いを出したいと思って、制作しました。フェンスを支えるブロック塀があって、歩道やガードレールがあって。そして学校という場所を象徴するような桜の木がある。校内と外側の境界線を表現しています」
-
落ち葉を散らす
――フェンスの近くにある木がとてもリアルですが、もしかして本物?
「本物です! 庭に落ちていた桜の木を拾って、ジオラマに取り入れました。落ち葉も身近に落ちている赤色や黄色、緑色など色とりどりのものを拾って、地面に散らしました。ただ本物の落ち葉なので、全部色あせてしまいましたね(笑)」
1/12スケールで、 “左官”に挑戦!
-
ブロック塀も自作
――本物だからこその風合いですね! ちなみにフェンスを支えるブロック塀は、どのように作られたのでしょうか?
「ブロックは1つずつ積み上げました。1つ原型を作って、シリコンゴムで型を取って、20個並べて、パテを持って積む、という“素人左官”を1/12スケールで行いました」
――桜の木の根元がきちんと盛り上がっているのも、ものすごく精細に表現されていますよね。
「桜の木の根っこの力に押され、ブロックそれぞれが違う姿勢になっていく。この様子を表現するには、ブロック塀をバラバラにして地道に積み上げていくことが大事で。少し手間のかかる作業でしたが、こうしたリアルさを表現できてよかったです」
-
やすりで作ったアスファルト
――1/1スケールの本物と、やることは変わらないんですね! アスファルトはどうやって作ったんですか?
「200番ぐらいの紙やすりの一部を破って、破り跡がのひび割れに見えるように仕上げています。誰でも簡単にできるので、試してみてほしいですね」
テレビから飛び出た!シャネルの香水のCM
-
「遅れてきたヒロイン」
――そうしたアイデアが素晴らしいです。「遅れてきたヒロイン」という作品では、香水が置いてありますね。どういった意図があるのでしょう?
「『ココシャネル』の香水のCMを参考にして作りました。女優のキーラ・ナイトレイさんがヒロイン役で出演していて、劇中に出てくる衣装、登場人物を模型で再演しようと思って。撮影現場でなかなか主役の女優が来ないのをカメラマンが待ちかねている、というシーンが印象的なコマーシャルなんです」
-
タミヤのキット『DUCATI 900SS』を使用
――バイクのデザインがおしゃれですよね。
「コマーシャルに出てきたのは『DUCATI 750SS』でしたが、この作品はタミヤで20~30年前に発売されたキット『DUCATI 900SS』を使用しています。ただ、細かい部分が違うので、DUCATI 750SSになるように改造しました」
-
ジオラマの石畳
――石畳の質感もリアルですね!
「欧州の風景にありそうな、石畳まで作ったんですよね。これも1枚ずつ割って並べました。
石の雰囲気がほしかったので、石壁風の壁紙を1枚買って。すると、厚さが5ミリぐらいあって、ハサミが通らないんですよね。石の表面の質感は良かったので、レジンを流して石壁風のパターンをレジンに転写してパキパキ割りながら、規則性を持たせないように乱雑になるように貼っていきました」
「完成」はシャッターを切った瞬間
-
アオシマのキットを使った「萌黄色の相棒」
――saruruさんは屋外撮影にも力を入れているそうですが、屋外で撮影すると作品の魅力がさらに引き立ちますよね。
「そうなんです。僕の中では、写真撮影が最終ゴールですね。1/12スケールは、模型の中では比較的大きい部類に入ります。そのため、外で撮影すると影の落ち方が本物に近くなるんですよ。それだけで一気にリアルになる。屋内にディスプレイするだけでなく、ぜひ外で写真を撮ってほしいですね」
――もしかして、休日は模型を持って写真撮影に出かけるのが趣味ですか?
「季節が変わると写真映えする背景が変わってくるので、常に撮影場所を探しています。運転中も『あそこは撮影に向いていそうだな』『朝イチなら光がこっちから入るな』と。そうした撮影したい場所に合わせてジオラマを作ることもあって、落ち葉を散らしたり、砂浜の背景作ったりして持っていくこともありますね」
光の向きを計算し、最高の舞台を用意するsaruruさん。小さなバイクとフィギュアが織りなす「1/12の物語」はこれからも続きます!
この記事をシェアする




