ホテルやレストランなど全国4000社に冷凍パンを卸している企業があります。1日の生産数は40万個、年間36億円の売り上げを誇ります。町のパン屋さんから一大企業へと成長した理由を取材しました。
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焼成冷凍パン
東京・恵比寿のダイニングレストランでは、冷凍パンが活用されています。オーブンで10分温めるだけで焼きたてのようなパンが楽しめる「焼成冷凍パン」。一度焼き上げたパンを急速冷凍したもので、短時間で焼き上がるため、人手不足の解消にも役立ちます。市場規模は約1800億円で、そのうち2割を占めています。
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ブルーノート・ジャパン・エグゼクティブシェフ 長澤宜久取締役
ブルーノート・ジャパン・エグゼクティブシェフ
長澤宜久取締役:
「手作りで作るというのはすごくやりたいんですけれども、時間と手間もかかりますし、冷凍パンもすごく品質もすごく良くて、これは自家製パンなのと言われるぐらい、お料理ともすごくマッチしているんじゃないかなと思います」
「スタイルブレッド」独自の酵母がこだわり
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スタイルブレッド
群馬県桐生市にある「スタイルブレッド」は、焼成冷凍パンの専門メーカーで、毎日40万個のパンを全国4000社に供給しています。この10年で売上高は3.5倍に成長し、年間36億円を売り上げています。
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桐生酵母
実は、群馬県から「日清製粉」や「築地銀だこ」など、小麦を使った全国ブランドが多く生まれています。
スタイルブレッドは群馬県産の小麦粉を使用し、自社で培養する「桐生酵母」に力を注いでいます。発酵に16時間から18時間をかけ、地元の素材を活かしたおいしさにこだわっています。
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日本経済新聞社 前橋支局 岡田 信行支局長
日本経済新聞社 前橋支局
岡田 信行支局長:
「群馬県は国内有数の小麦の産地で、小麦を使った麺とかパンとか饅頭とか、そういったものの生産が盛んですし、昔からよく好んで食べる文化もありましたので、そういったことが背景にあるのかなと思います」
急速冷凍技術の秘密
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マイナス45度で急速冷凍
焼き上がったパンは、特殊な冷凍庫でマイナス45度で急速冷凍されます。この冷やす時間がは企業秘密。しっとり感と食感を保つ秘訣です。
事業転換と海外展開
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アメリカの焼成冷凍パン工場を視察
スタイルブレッドは、1930年から続く桐生の小さなパン屋から始まり、4代目の田中知さんが事業転換を図りました。きっかけは26年前、30歳のときにアメリカで見た最先端の冷凍技術でした。
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スタイルブレッド 田中知社長
スタイルブレッド 田中知社長:
「これで自分のこだわりのパンを作って全国にご紹介すれば、もしかしたら『ビジネスになるのではないか?』と。衝撃を受けました」
世界展開への挑戦
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焼成冷凍パンに特化した会社を設立
2006年には焼成冷凍パンに特化した会社を設立し、2018年には個人向け商品を発売しました。さらに20億円を投じた新工場を立ち上げ、海外への販路開拓を目指しています。
スタイルブレッド 田中社長:
「冷凍するとやはり物流がフリーになりますので、海外の輸出もできる。今まで輸出って、パンは絶対できなかったと思うんですよね。世界展開の挑戦が可能になるプロダクトを焼成冷凍パンだからこそできる」
日本経済新聞社とTXN系列テレビ5局が共同で企画・取材する動画コンテンツ。躍動する地域経済と企業の取れたてニュースやトレンドを各地のリレー方式で全国に向けて発信しています。
テレビ愛知では中部圏の企業のユニークな取り組みを取材し、日経名古屋支社記者のコメントを交えて紹介します。
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平日夕方17時 報道番組「5時スタ」内コーナー
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