大阪にある老舗ミシンメーカーが、縮小する市場の中で快進撃を続けています。ヒット商品を生むきっかけは、市場調査よりも「目の前の1人のニーズ」でした。
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MIRAIミシン
8月、大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」で来場者の注目を集めていたのが「MIRAIミシン」です。MIRAIミシンは立体物に縫製できるミシン。大阪市・生野区に本社を置く家庭用ミシンメーカー「アックスヤマザキ」が手掛けました。
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立体物に縫えるミシン
アックスヤマザキ 山崎一史社長:
「サドルが破れたりしたら、上からダダダッと縫って治すとか、今までできなかったけど、この技術があればできるようになります」
「タグステッチ工法」の技術で自転車のサドルも縫える!
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オレンジ色の丸で囲んだ部分が「タグ」
「MIRAIミシン」は、下糸の代わりに“タグ”を使って縫合する「タグステッチ工法」という技術を用いています。
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タグステッチ工法
縦に連なったプラスチック製のタグ。その1つひとつがT字型になっていて、このタグを糸と共に打ち込むと、T字の部分が生地に引っかかり、糸が固定されるという仕組みです。
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裏にはタグがびっしり!
縫った裏側を見るとタグがびっしり。元は、自動車の内装をステッチで飾る、トヨタ車体の特許技術でした。それを消費者にも活用してもらおうと、無償供与されたのです。
2026年の発売を目指し、「縫いの強度」を高める開発を進めます。
娘・ママ友に聞き取り、“目の前の1人のニーズ”に注力
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アックスヤマザキ 山崎一史社長
アックスヤマザキ 山崎社長:
「日曜大工のように、電動工具のような感じで使っていただきたいです」
もともとサラリーマンだった山崎社長。跡継ぎとして会社に入った2005年頃、会社は利益がほとんど出ていませんでした。当時は大手メーカーの受託製造が中心で、利益率が低かった市場の縮小が直撃したのです。
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娘やママ友は何に困っていて、どのようにすれば解決するのかを考えた
新たな市場の開拓に参考にしたのは、市場調査より“目の前の1人のニーズ”でした。娘やママ友など、身近な人にとことんヒアリング。
アックスヤマザキ 山崎社長:
「小学校の時にミシン習って難しくて、『もうあれで苦手になって…』と。そこをなんとかもう1段・2段下げたものを作れば、子どもに楽しんでもらえるんじゃないか。どういう背景があってその言葉を発しているのか? そういうのを感じ取りました」
上糸を引っかけるだけ!「毛糸ミシンHug」が大ヒット
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「毛糸ミシンHug」
そうして得たアイデアから生まれたのが、「毛糸ミシンHug」。上から糸を、ぐるっとひっかけるだけ。下糸もいらない簡単さで、発売2カ月で2万台を売る大ヒットに。
日本経済新聞社 岡村真帆記者:
「山崎社長は、大勢を対象とした市場調査ではなく、身近な1人の人物を徹底的に掘り下げることで、潜在的なニーズを炙り出し、まったく新しいマーケットを開拓しました。これが小さなメーカーが、大手と競合せずにヒットを生んだ秘訣だと思います」
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「子育てにちょうどいいミシン」
さらに、必要な機能に絞ってコンパクトにした「子育てにちょうどいいミシン」は、15万台以上を売り上げるベストセラーに。ほかにも、レザーなど厚地が縫えるミシンなど、新たな需要を呼び起こす製品を次々開発。かつての赤字は解消し、利益が出る体質になりました。
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「『一家に一台』の世の中にできたらいい」と話す山崎社長
アックスヤマザキ 山崎社長:
「自分で作る喜びや感動、ぬくもりは、やっぱり買って味わえるものではないので、この文化をミシンメーカーの端くれとして、使命感を持って広めていきたいなと思っています。結果、一家に一台の世の中にできたらいいですね」
※山崎社長の「崎」は「たつさき」
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