ヤマト運輸が運ぶのは「人」 荷物と一緒に運んで企業もメリット 料金はタクシーと同じか少し割高設定に

LBS ローカルビジネスサテライト

  • しまねこワゴン

約2100人が暮らす北海道南部の奥尻島で今、荷物と人を一緒に運ぶ公共ライドシェアの取り組みが動き出しています。手掛けるのは「クロネコ」でお馴染みのあの運輸会社。過疎地の宅配網維持への切り札となるのでしょうか。

目次

宅急便開始から50年、初めて配送車両で人を運ぶ

  • 荷物と人を同時に運ぶ

    荷物と人を同時に運ぶ

日本海に浮かぶ北海道・奥尻島。人口2100人で、バスは2路線あります。タクシー会社は1つだけの「交通困難地」となっています。この日は、ヤマト運輸が荷物と一緒に“人”を乗せて運ぶ「公共ライドシェアの実証実験」を行いました。事業許可がおりれば、荷物と人を同時に運ぶ計画です。

ヤマト運輸は宅急便開始から50年近くで、配送車両で人を運ぶのは初めてです。

  • フェリー到着は1年の大半で午後1回

    フェリー到着は1年の大半で午後1回

こんな試みをするのには、島特有の背景がありました。荷物がフェリーで着くのは「午後の1日1回」という日が大半で、仕分けや配送はそれ以降に集中。通常の営業所では最も忙しい午前から昼すぎまでは業務が少なく、奥尻営業所を活用する必要があったのです。

「ター坊、頼むよ!」島民とドライバーが顔なじみ

  • 車内でドライバーと楽しそうに話す島民

    車内でドライバーと楽しそうに話す島民

乗客:「きのうはね、誕生会やったの~」

ドライバーが島民と顔なじみなのは、長年、宅急便事業を続けたヤマトならではです。

  • 奥尻島の島民

    奥尻島の島民

島民:
「小さいときから、生まれたときから知ってるからね。ここ(隣)の息子だからさ、話もしやすい。性格も覚えているから、小ちゃなころから“ター坊”ってね。『ター坊、頼むよ!』って(笑)」

行先はコンビニや病院などで、ドライバーは荷物の持ち運びなども手伝います。

  • ヤマト運輸 宅急便部地域創生課 奈須川 洋平課長

    ヤマト運輸 宅急便部地域創生課 奈須川 洋平課長

ヤマト運輸 宅急便部地域創生課
奈須川 洋平課長:
「いつも知っているヤマトが来るということであれば、安心感をご提供できるのかな、と。(人を運ぶのは)非常に親和性が高いですよね」

移動区間に応じて、運賃を設定

  • 運賃は移動区間に応じて変動

    運賃は移動区間に応じて変動

現在は実験のため無料で利用できますが、今後は利用者の移動区間に応じて運賃を設定し、島のタクシーの料金と同じか、やや高めにする想定です。ヤマトが見込む運賃収入は1日2万円程度。ただ、奥尻町が国から受けた補助金を車両購入に充て、2026年度から観光客にも利用も促すことで採算性を高めようとしています。

  • ドラッグストアと提携し、営業所で日用品を販売

    ドラッグストアと提携し、営業所で日用品を販売

実はヤマト、奥尻島では以前から独自の取り組みが北海道地盤のドラッグストアと提携し、2021年から営業所内で食品や日用品を販売。また2023年からは、移動販売の専用車両で島を巡回し「買い物難民」問題に対応しています。

地域の持続可能性が高まる、重要な収入源に!

  • 日本経済新聞社 函館市局 浅山章支局長

    日本経済新聞社 函館市局 浅山章支局長

日本経済新聞社 函館市局
浅山章支局長:
「地方では食品スーパーや交通機関など、生活に不可欠なインフラが相次ぎ撤退しています。人口減少で採算が取れず、過疎化に拍車がかかる悪循環です。ヤマト運輸が隙間を埋める事業を始めれば、地域の持続可能性が高まります。企業と地域のウィンウィンの関係構築が必要です」

こうした事業はいまや奥尻営業所の赤字を減らす、重要な収入源。新たな「人を運ぶ事業」にも期待がかかります。

  • ヤマト運輸 宅急便事業統括 櫻井 敏之常務執行役員

    ヤマト運輸 宅急便事業統括 櫻井 敏之常務執行役員

ヤマトの離島にある営業所は35。いずれも奥尻同様、収益確保に苦労しています。過疎地の宅配網維持に向け、ヤマトは奥尻島の例も参考に、島ごとの課題に合わせたサービスを展開する考えです。

ヤマト運輸 宅急便事業統括
櫻井 敏之常務執行役員:
「地域の営業所、1カ所ずつがオーダーメイドでやっていくべきソリューションです。地域課題に向き合いながら取り組んでいく。その1つひとつの積み重ねが、結果的に宅急便ではない(新しい)ビジネスの塊として積み重なります。取り組む価値はありますよね」

「LBS ローカル ビジネス サテライト」番組概要

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日本経済新聞社とTXN系列テレビ5局が共同で企画・取材する動画コンテンツ。躍動する地域経済と企業の取れたてニュースやトレンドを各地のリレー方式で全国に向けて発信しています。テレビ愛知では中部圏の企業のユニークな取り組みを取材し、日経名古屋支社記者のコメントを交えて紹介します。

放送日時:
平日17:00~報道番組「5時スタ」内コーナー
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