全国各地に多い身近な神社。運営は初詣頼みというところも多いようですが、ビジネスの視点を生かして、しっかり稼ごうという取り組みが広がっています。
本州と九州を繋ぐ関門海峡の橋のたもとにある「和布刈(めかり)神社」は、1800年の歴史を誇ります。経営危機にありましたが今、意外な形で再建を果たしているのです。
目次
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船内で神主が祝詞をあげる
神社近くの港から人々が船に乗り込みました。船内では、神主が祝詞をあげて、榊の枝とともに水に溶ける紙袋を海に投げ入れ、そして黙祷。実は「海洋散骨」のデモンストレーションです。
参加者:
「神社で管理していただけるということなので、安心してお任せできると思って」
和布刈神社再建の柱になっているのが、この「海洋散骨」です。
「海洋散骨」で神社を再建
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和布刈神社 高瀬和信 禰宜
和布刈神社 高瀬和信 禰宜:
「(2009年に)奉職したとき、年間で500万円の収益だったんですけど、500万円で神社を維持管理していくっていうのは本当に難しいんです」
そこで、小舟に遺体を乗せて海に流していた地域の歴史を知り、海への散骨に乗り出しました。
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海洋散骨は7万円から
最も安いのは、遺族に代わって神社が散骨する7万円のプラン。新たな顧客を呼び込み、11年間で散骨は3700件に。神社の収入は3.4倍の1億7000万円に増えました。
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2022年に葬儀会館を新設
さらに葬儀所も新設。海をイメージして水を張り、小舟を見立てた棺による「舟葬」も打ち出しました。散骨のフランチャイズ展開にも着手し、宗教活動である神社とは分けて、「株式会社SAISHIKI」を立ち上げました。
収入の課題を解決するために参入する神社も
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(右)株式会社SAISHIKI 伊藤紗会さん
北九州市内にある「日峯(ひのみね)神社」。SAISHIKIの社員が訪れました。
株式会社SAISHIKI 伊藤紗会さん:
「水溶性の紙袋でできていて、故人様が最後に入る袋です。ここの名札の部分はご遺族様に書いてもらってください」
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日峯神社 波多野 総嗣宮司
日峯神社 波多野 総嗣宮司:
「(収入の)問題点を解消するために、SAISHIKIがFCで行っているというお話を聞いて、参入するようになりました」
漁協との交渉や散骨の証書、広報戦略などをサポート
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地域の漁協と交渉を行う
和布刈神社は国のガイドラインに沿い、独自のノウハウを積み重ねてきました。まず、散骨の理解を得るため、地域の漁協と交渉します。散骨に応じてくれる船を探すのもひと苦労。和布刈神社でのこれまでの実績をもとに、説得します。
さらに散骨に向けた証書やアイテムも供給。ホームページの作り方や広告の打ち方など、広報戦略も助言します。
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全国7神社が加盟
ロイヤルティーは散骨の成約1件につき15%。全国で現在、7つの神社が加盟しています。SAISHIKIを合わせて和布刈神社の従業員は、1人から12人に増加。2030年に加盟神社35社、ロイヤルティー収益だけで3億7000万円を目指しています。
和布刈神社は散骨だけでなく、神社のブランド化にも力を注ぎます。
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神社のブランドを強化
工芸品の「中川政七商店」の指導も受け、お守りや授与所を改装。散骨のFC先にも提案します。
日本経済新聞社 木下修臣 北九州支局長:
「神社はコンビニより多く、全国に8万社もあるといわれていますが、地方の人口減少により、2050年には3分の1がなくなるとの試算もあります。維持するためにはビジネス的な視点も磨き、自ら稼ぐ知恵も必要になりそうです」
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