地方で働く外国人が増え、企業は宗教や文化の多様性に対応する必要に迫られています。そんな中、社員食堂向け事業に乗り出した企業があります。新ビジネスモデルを取材しました。
目次
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スズキの社員食堂
浜松市に本社を置く、自動車メーカーのスズキ。食堂をのぞくと、ベジタリアンカレーのコーナーにインド人が集まっていました。食堂で提供するカレーは全部で13種類。インド人の口に合うよう、インドのコメを取り入れる工夫もされています。毎月、1000食以上が食べられているといいます。
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カレーは全部で13種類
スズキ社員:
「おいしい、本当においしい」
「時々、うちのお母さん(の味)を思い出した」
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故郷のインドの味を日本でも食べてもらえるように試行錯誤
インド人にはベジタリアンが多く、インド人の雇用を推進するスズキは、2024年から本社の食堂でベジタリアンカレーの提供を始めたのです。2~3年前に働くインド人の困りごととして挙がってきたのが「故郷で食べていた味が食べられない」「どうしても食の環境に馴染めない」との声。そこで考案されたのがベジタリアンカレーでした。
挙式が行われない平日にカレーを調理
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結婚式場がカレーを調理
スズキが頼ったのが、地元の結婚式場でした。厨房からスパイスの香りが。挙式が行われていない平日、月曜と火曜の2日間、カレーを作っています。
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ル・グラン・ミラージュ 松下敦祐料理長
ル・グラン・ミラージュ
松下敦祐料理長:
「どうしても土日が忙しくて平日が落ち着いていることもあって、結婚式の事業とインドベジ事業を二毛作のような形でやっていくこと、平日にもちゃんと人を雇用できるので」
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宗教や文化に配慮した食事のニーズが高まっている
カレーは、肉や魚を使わないベジタリアンカレー。2年前にメニュー開発を始め、月に4〜5000食を作っています。スズキでの評判をもとにヤマハ発動機やソフトバンク、ホテルなどにも取引を拡大しています。外国人社員や観光客が増え、宗教や文化に配慮した食事のニーズが高まっているのです。
インドカレーを手掛けるのは、明治元年創業の老舗
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明治元年創業の鳥善
このインドカレーを提供しているのは、明治元年に浜松で創業した鳥善。ブライダル事業を中心に、レストランなどを展開し、2024年の売り上げは12億円です。
鳥善の6代目社長、伊達善隆さん。社長就任直後にコロナ禍に見舞われました。
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鳥善6代目社長 伊達善隆さん
鳥善 伊達善隆社長:
「当初、弊社の売り上げの7割が結婚式事業だったので、大打撃。やはり新しい事業の柱を立てる必要があるだろうと思いました」
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「やらまいか精神」が根付いている
毎月安定した収入が見込めるうえ、外的要因にも左右されにくい社員食堂向け事業に挑戦することにしました。
日本経済新聞社 浜松支局
勝見莉於記者:
「ホンダやヤマハ、そしてまたスズキっていうような世界的なメーカーが輩出されてきた浜松市には、“まずはやってみよう”という挑戦心を示す『やらまいか精神』が根付いています。それが鳥善のビジネスの拡大や、浜松地域経済のコアコンピタンス競争の競争力の源泉みたいなところにつながってきているのではないかと思います」
「インドの母の味」を再現することに注力
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インド人の家庭を訪問して「インドの母の味」を研究
フランス料理を得意とするシェフは、インド人の家庭を訪問し、カレーに欠かせないスパイスの調合など味の研究を続けてきました。
ル・グラン・ミラージュ
松下料理長:
「一番求めているものは、インドの方のお母さんの味を再現したいというふうに思って開発してきました」
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レトルトカレーを販売
インド人も絶賛する故郷の味は、2025年6月、レトルトカレーとして販売を開始。日本に滞在するインド人は5万人を超え、今後も増加が見込まれる中、鳥善は売上の1割をこの事業で稼ぎたいと考えています。
鳥善 伊達社長:
「われわれの商材が働く環境の環境づくりに寄与できる部分として、全国の企業や社員食堂、インバウンドの方に向けて徐々に増えていくことで、さらなるシェア拡大をしていきたいと思っています」
「LBS ローカル ビジネス サテライト」番組概要
日本経済新聞社とTXN系列テレビ5局が共同で企画・取材する動画コンテンツ。躍動する地域経済と企業の取れたてニュースやトレンドを各地のリレー方式で全国に向けて発信しています。テレビ愛知では中部圏の企業のユニークな取り組みを取材し、日経名古屋支社記者のコメントを交えて紹介します。
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平日17:00~報道番組「5時スタ」内コーナー
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