クルマの街、愛知県豊田市の自動車部品メーカーが、画期的なカクテルシェーカーを開発し、海外を中心に受注を伸ばしています。
目次
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ギムレット
ジンとライムをあわせたカクテル、ギムレット。名古屋市中区にある「Bar Thistle」のバーテンダー吉田俊也さんは、このシェーカーを初めて振ったときに「ライムとジンが合わさる一体感が非常に滑らかに感じた」といいます。(※吉田さんの「吉」は土に口)
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BIRDYカクテルシェーカー/350ml 1万5840円
プロのバーテンダーをうならせるこのシェーカーは、本場イギリスのトップバーテンダーも認める逸品です。手掛けたのは、豊田市にある自動車部品メーカーの横山興業です。
自動車部品メーカーが手掛けるシェーカー
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シェーカーの内側を磨く様子
豊田市内にある専用の工場をのぞくと、シェーカーのボディを機械で磨いていました。ただ、磨いているのは外側ではなく“内側”です。
横山興業 商品企画部部長 横山哲也取締役:
「容器の中を真っ平にせず、ミクロのデコボコをあえて残すような精密に研磨して、そのデコボコと中の液体が触れ合うときに、細かな泡が生まれて結果的に口当たりが良く、まろやかになります」
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研磨後と研磨前
横山興業 従業員:
「隙間が広いと(磨きが)粗い。これをどんどんわからなくします」
絶妙な力加減でしか残せないわずかな溝。この技術は自動車部品の製造で培われました。
自動車部品の製造で培われた技術を活かす
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自動車のシートフレーム(赤色部分)の製造を行う
横山興業の本業は自動車のシートフレームの製造です。そこで使われる金型の精度を保つには精密な研磨技術が必要で、その技がシェーカーの開発に生かされました。
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ウイスキーの味に変化が起きた
「最初はシェーカーではなく、日本酒用のタンブラーの内側を磨いてみた」と話す横山さん。日本酒ブームがくるといわれていたこともあり、タンブラーを作って飲んでみると、日本酒の味に変化はなかったといいます。
そこで今度はウイスキーの水割りを作ったところ、かき混ぜる動作が劇的な変化を生み出しました。
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横山興業 商品企画部部長 横山哲也取締役
横山興業 横山さん:
「圧倒的に違いました。おそらく、カクテルの歴史的にも中を磨いたら味が変わるというのに気づいたのは、うちの会社が初めてです」
海外の業界関係者を振り向かせた“ある一言”
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自動車部品メーカーと伝えたことで、業界関係者から注目を集めるように
当初、日本の新興メーカーに海外の反応はいまひとつでした。ところが何とか自社製品を知ってもらおうとつぶやいたある一言から、欧州の業界関係者が態度を一変させます。
横山興業 横山さん:
「『ニッポンの自動車部品メーカーです』と伝えました。最初は“自動車部品メーカー”ということを隠していたんです。お酒とクルマは相性が良くないと思っていたので。新興ブランドだけどしっかりした技術がある、という裏付けになりましたね」
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微細な誤差は人間の目と手で行う
今や年間の売り上げは3億円に迫る勢いです。拡大する海外の需要に応えるため、新たに取り組んでいるのは、機械と職人との協働です。
横山興業 横山さん:
「シェーカーのボディは、コップのような部分も同じように見えて微細な誤差があります。そういう機械には任せられないところもあるので、そこは人間の目と手でやっています」
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横山興業は5年以内に、売り上げを5億円に伸ばしたい考え
日本経済新聞社 名古屋支社 石坪真依記者:
「日本では、ニッチな世界と思われているバー用品市場ですが、海外に目を向けると市場規模は今後5年で、3000億円を突破する見込みです。横山興業は、成長が著しいアジアでの販路拡大に力を入れ、その売り上げを5年以内に5億円に伸ばしたい考えです」
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