木で作る模型「ソリッドモデル」とは? 木製飛行機の作り方を解説

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  • ソリッドモデル

    ソリッドモデル

プラスチック製のパーツを組み立てるプラモデルが登場したのは1958年。それ以前は木で立体物を作る「ソリッドモデル」が主流でした。とはいえ、プラモデルによってソリッドモデルが完全に消えたわけではなく、現在も楽しんでいる愛好家はたくさんいます。ソリッドモデルとはどのように作られるのか、細かく解説していきましょう。

目次

●ソリッドモデルとは?

  • 戦時中に識別用模型として用いられた「ソリッドモデル」

    戦時中に識別用模型として用いられた「ソリッドモデル」

ソリッドモデルとは、木材の削り出しで作る模型のこと。プラモデルのように中空になっていないことからそう呼ばれています。

戦時中に識別用模型として用いられたことで一般化し、プラモデルが台頭するまでは、模型メーカーからソリッドモデルの組み立てキットがリリースされていました。現在はそういった製品はなく、モチーフの図面を参考にイチから作っていく楽しみ方が主流となっています。

●ソリッドモデルのパーツを作る

モチーフの「A-7E コルセアⅡ」

  • 「A-7E コルセアⅡ」

    アメリカ海軍の艦上攻撃機「A-7E コルセアⅡ」

1960年代に登場しベトナム戦争にも使われた、アメリカ海軍の艦上攻撃機。機首の下に大きなエア・インテークがあるキャッチーな見た目が特徴です。ギリシャ空軍でも導入され、21世紀に入っても現役運用されていました(現在は退役済み)。

図面からパーツを作り出す

  • 木材が並んだ様子

    図面を模型用に縮尺し、木材のホオノキを切り出して制作する

もちろんソリッドモデルのキットは存在しないので、自作しないといけません。専門書などに掲載されている図面を模型用の縮尺にし、それを素材となる木材に当てて下書きをします。使う木材は加工しやすいホオノキ。

パーツごとに切り出し形を整える

  • 木材

    切り出した木材を、パーツごとに分ける

下書きをもとにノコギリなどで切り出し、パーツごとに分けます。ここからはパーツそれぞれの形状を整えていきます。

●パーツの成形を行う

  • 翼を薄くする

    翼を薄くするためにかんながけ

流線型な形状の飛行機は徹底したパーツの成形が必要です。特に翼の薄さをどこまで再現できるかが鍵になってきます。

  • ノミを使って成形する様子

    ノミを使って成形

コルセアIIの翼の薄さを再現するには大部分を削る必要があります。かんなを使って大まかに削ぎ、曲線部分はノミを使って成形します。

  • 凸凹を確認

    凸凹を確認

光に当てて見える凸凹で形状変更の具合を確認。

  • やすりがけ

    やすりがけ

1ミリくらいの厚みになったらやすりがけに変更し、約0.5ミリの厚さに調整していきます。

●エアインテークの再現

コルセアIIで最も特徴的なエアインテークを再現します。胴体は3つのパーツでできており、真ん中のパーツに作ったガイドをもとに、両側のパーツを成形していきます。

  • 工具を使って切削する

    左右のバランスと、深くえぐれている形状を再現するために様々な工具を使って切削

  • パーツを合わせる

    パーツを合わせて満足の行く仕上がりになったら完成

  • パーツを仮組みする様子

    そのほかのパーツも仮組みし、主翼や尾翼の角度チェック

  • 図面と本体を重ねる動作

    図面と本体を重ね合わせるとわかりやすい

●塗装で飛行機らしい質感に変える

そのまま色を塗り始めると木材に染み込み木目が目立ったまま。まずは、木材感を消すための下準備必要です。

  • 下地材のサーフェイサーを使用

    下地材のサーフェイサーを使用

使うのはサーフェイサーという下地材。これをエアブラシなどで吹き付けることで、木材表面の凹凸を埋めて滑らかにすることができます。

  • 紙やすりを使用する様子

    紙やすりで表面を滑らかに仕上げる

サーフェイサーの塗膜はザラザラしているので、目の細かい紙やすり(耐水ペーパー)で均します。水をつけながら行うことで、削り粉で紙やすりの目が埋まりにくくなります。

ようやく土台が完成!

  • 下地材を塗り付けたソリッドモデル

    プラモデルと同じような質感に

これらの作業でプラモデルと同じような質感になったのがおわかりいただけたはずです。ただし、これでまだ土台ができただけに過ぎません。ここから機体全体のディテールを掘ったり、コクピットの内装も新造しないといけないので、完成はまだまだ先の話。

戦前からある古の組み立て文化ですが、クオリティーは現代のプラモデルのそれと大きな差はありません。見かける機会があったらぜひともじっくりその仕上がりを堪能してみてください。

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