好きなバンドのドラムセットをミニチュアで再現するという、異彩の趣味家をご紹介します。ミニチュアドラムを製作して5年の原浩一さん。1/35スケールとは思えない細部にわるディテール表現と、使用感まで取り入れた仕上がりは必見です。
目次
●世界的に有名なロックバンド「TOTO」
1976年に結成し、4thアルバム『TOTO IV〜聖なる剣〜』でグラミー賞も獲得。その後の音楽シーンに大きな影響を与えた世界的ロックバンド。オリジナルメンバーを2人残し、現在も活躍を続けています。
バンド名がトイレでおなじみのTOTOを連想させるため、来日時にリップサービスで「TOTOからとったんだ」と発言しましたが、実際には映画『オズの魔法使い』の登場する犬の名前が由来とのこと。
再現するのは1982年のジャパンツアーのドラムセット
初代ドラマーで、TOTOのリーダーであった故・ジェフ・ポーカロが、ジャパンツアーで使用したドラムセットを1/35で再現。今回は、過去製作したものとは別の場所で組まれたドラムセットを再現していきます。
●資料はライブ映像や楽器メーカーのパンフレット
再現したいセットが使われているライブ映像を探し、楽器の数、配置、角度を確認。パンフレットで実際のサイズを確認し、縮尺の参考にします。
過去の雑誌の記事なども参考にして出来上がった設計図をもとに製作をスタート。
●シンバルの製作
定規で直径を測り、真ちゅう板を切り出します。切り出す際は金属用のハサミを使います。形を抜くように切り出すよりも味わいが出るそう。
真円に近づくようにハサミの跡をヤスリで整えます。
シンバルの微妙なアールは、おたまをゲージにして再現します。
ハンマーで軽く叩きつけてアールを描いたら完成!
シンバルの中央部分の盛り上がりを作ってさらにリアルにしていきます。金具で盛り上がりを作り、磨いて、メーカーのデカールを貼れば完成!
シンバルのスタンドは針金や釘の組み合わせで製作。極小ですが、スタンドに設けられている位置調節用のナットも設けるとクオリティーは段違いだそう。
●バスドラムの製作
2ミリ厚の銅板を切り出し筒状に。
はんだで接合していきます。
ドラムの革にテンションをかけるテンションボルトを再現。
TOTOのロゴが入った正面側の革を貼れば完成。
●個性を引き出す仕上げのひと手間とセッティング
各楽器やスタンド類が揃ったらいよいよセッティング。ただその前に、このままだと新品状態なので、より臨場感を高めるために使用感を与えます。
スティック跡の具合をライブ映像などから確認します。
スティック跡の表現にはタミヤ ウェザリングマスターを使います。
実物そっくりのスティック跡を施すことができました!
楽器のセッティング。奏者によってシンバルやタムの角度が異なるので、映像をもとにもっとも具合の良いところで固定します。
最後に、真ちゅう線をモーターツールで削り込んで同スケールのドラムスティックを作れば……。
TOTOのミニチュアドラムが完成!
密度感のある楽器の配置と、角度に整然さがないのでリアリティーのある仕上がり。タムやスネアドラムの革に施されたウェザリングもいい味をだしています。完成後は由来のバンドの曲を聞きながら眺めたり、写真を撮るのが楽しみとのこと。
こうして、ほかに同じような楽しみ方をしている人はおらず、完成度を比べ合えたら……と話していたので、楽器好き、バンド好きで、手先の器用さに覚えのある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
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