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ロッククローリング
岩が積み上げられたコースを走破する競技であるロッククローリング。ときには1メートルほどあるような岩場を果敢にも乗り越えていくのは、スズキの本格的軽4WDであるジムニーです。ジムニーと岩場を愛し、ボディを傷まみれにさせながらも仲間と乗り越えていく、ひとりの男性に密着します。
目次
●オフロード専用ジムニー
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服部さんのジムニーは昭和57年式のSJ30型
軽自動車のなかでは唯一といってもいいぐらい、オフロード走行に特化した車である「スズキ ジムニー」。もともとは山道などでの荷物の運搬や不整地での災害活動用として開発されました。
一般的な乗用車はフレームとボディが一体型のモノコック構造を採用していますが、ジムニーは格子状の丈夫なフレームにボディを取り付けているので、ボディに衝撃が加わってもフレームに損傷がなければ走行し続けることが可能です。
そんな今回の取材車両のジムニーは昭和57年式のSJ30型で、今となっては貴重な2ストロークエンジンです。
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ロッククローリング専用車であるため、ボディには勲章とも呼ぶべき無数の傷やヘコミが
オーナーの服部さんのジムニーはロッククローリング専用車ということもあって、タイヤとサスペンションを交換し、リフトアップすることで厳しい地形でも乗り越えられるようにカスタムされています。
●ロッククローリングに必要なもの
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いざという時のためにけん引ロープは必須
また、ロッククローリングには欠かせない道具は、数多くあります。まず、絶対に必要になるのが「けん引ロープ」で、身動きがとれなくなった時に不可欠です。
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ハイリフトジャッキは身動きが取れなくなった時の最終手段として効力を発揮
2つ目に必要になるのがジャッキですが、普通のパンタグラフジャッキだと絶対的な高さが足りずジャッキの役目を果たしません。そこで活躍するのが「ハイリフトジャッキ」で、タイヤよりも大きな岩にはまったときに効果を発揮します。
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ナンバーを取得していない服部さんのジムニーはキャリアカーで専用コースに運搬
そして、3つ目が「ハンマー」で、ボディを岩にぶつけることが多いロッククローリングでは、ダメージを受けた時にドアが開けにくくなることもしばしば。そんなときはボディをハンマーで叩きつけて、修復することもあります。
ほかにも転倒した時にキャビンを保護するためにロールバーの装着は必須とされています。
●走る前の準備
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コースに併せて空気圧を調整する
専用コースに到着すると、まずはタイヤの空気を半分以上抜いて、走る前の準備を行います。ロッククローリングなどのオフロード走行では、標準の空気圧だと高すぎてグリップしにくいからです。また、岩場を走行するため、タイヤのたわみがあった方が設置面積が増えて走破しやすくなります。
●岩にハマり仲間と話し合う
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大小の岩をハンドル操作とアクセルワークで攻略するのがロッククローリングの醍醐味
ロッククローリングは同じコースでも、毎回異なった地形になることが多いため、足止めを食らうことが多々あります。そんな時に大事なのが仲間の存在で、ラインどりやタイヤの向きなどを緻密にシミュレーションして攻略に望みます。ロッククローリングのコースはさまざまで、難易度が高いのは当然大きな岩が点在するコースです。
大きな岩だと高さが1メートルを超えるものもあるので、事前の打ち合わせを徹底的に行います。
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コースによっては岩の高さが1mを超えることも
しかし、プラン通りにはなかなかいかなく、大きな岩をクリアしても別の岩に阻まれてついには身動きが取れない状態に。そんなときには仲間に直接押してもらって無事にクリアします。
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仲間に外側からドアを開けてもらったあと、用意したハンマーでサイドシルを叩いて修復
仲間同士で試行錯誤しながら攻略した服部さん。満面の笑みがこぼれますが、今度はタイヤより大きな岩を乗り越える際にサイドシル(ドアの下に位置する敷居部分)をぶつけたようでドアがスムーズに開きません。
●走ったあとはメンテナンス
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服部さんが10年以上大事にしている秘訣が走行後のメンテナンス
そして、服部さんが大事にしているのがロッククローリング後のメンテナンスです。とくに駆動部分は必ず分解して、徹底的に清掃と確認を行います。またホイールハブ(ホイールの中心部)からは泥水が侵入しやすく、放置しておくとサビの発生や動きが鈍くなるだけでなく、最悪ドライブシャフトの破損につながります。
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「この子(ジムニー)が朽ち果てるまでは乗り続けていきたい」と話す服部さん
ボディの凹みやサビは気にしないけど、駆動部のサビは許せないという服部さん。服部さんにとって、凹んでサビてのジムニーは四駆乗りの勲章みたいなもの。見た目はボロボロですが、そんなジムニーを10年以上愛し続けています。
※2017年10月時点の情報です。
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