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小品盆栽
人の手によってコンパクトかつ魅力的な形へと作り込み、植物の魅力を凝縮させる盆栽。今回はそんな盆栽の中でも特に規模の小さい「小品盆栽」(しょうひんぼんさい)をピックアップしていきます。ミニチュアだからこそ可能な独特で豊かな世界観をご堪能あれ。
「小品盆栽」とは?
小品盆栽は、20cm以下〜15cm程度の盆栽のこと。一般的に知られる黒松などが使用された盆栽は「大品盆栽」(だいひんぼんさい)。仕上がりによっては非常に高額になることもあります。そして樹高40cm以下〜20cm以上の植物で仕上げたものを中品盆栽と呼びます。
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台湾の植物ハリツルマサキの小品盆栽
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北アメリカ原産の西洋カマツカといった外国産の植物も盆栽仕立てに
小品盆栽は大品盆栽や中品盆栽と比べて小さいぶん、小規模でさまざまな植物の樹形を楽しめます。一方で、鉢が小さくなるため水やりなどのこまめな管理が不可欠。常に植物の世話をしたい人には適した盆栽ともいえます。
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黒松
実はこちらは黒松。太く短く仕立てて、小さくても大樹のように仕立てることが一般的な黒松ですが、小品盆栽ではあえて細く長く仕立てることも可能です。従来とは違った視点からの魅力に気づけるのも、小品盆栽ならでは。
丹精込めて仕立てた小品盆栽のさらなる楽しみ方
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小物と組み合わせて飾る小品盆栽
ある程度育てた小品盆栽は、大品盆栽などと同様に飾って楽しみます。飾り方は人それぞれですが、通常はいくつかの鉢を組み合わせて世界観を作り上げます。
飾る場所として用意したのは、高さ約50cmの床の間のミニチュア。まずはメインとなる主木を選びます。今回は西洋カマツカを用意。樹形が良く、実もつけていて目を引きやすいからです。
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ユキノシタ
そして主木を引き立てる添えの盆栽、ユキノシタを近くに配置。盆栽だけでなく小物も組み合わせて世界観を作り上げていきます。
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床の間飾り
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小物には急須を使用
出来上がったのは、秋の深まりを表現した小品盆栽の「床の間飾り」。西洋カマツカの実の深い色合いと、添えのユキノシタが空間のアクセントになっています。
盆栽と親和性のある急須などだけでなく、動物の小物と組み合わせるのもあり。
鉢を使わずに盆栽を育てる「根洗い」
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山野草飾り
一般的には鉢に仕立てることが多い盆栽ですが、鉢から抜いて仕立てる「根洗い」という仕立て方もあります。根洗いにするには鉢の中でしっかり根を張らせておく必要があり、山野草の寄せ植えであることがほとんど。鉢から解放された姿は自然を切り取った姿となり、愛好者も多いです。
根洗いの魅力を高める「飛び込み」
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苔の一部にロゼット状のゼニゴケが自生
さらに根洗いの魅力を引き立てるのが「飛び込み」です。飛び込みとは、鳥や風など自然減少の影響で思わぬ植物が生えてくること。さまざまな植物を屋外管理していると起こることがままあり、通常は邪魔なものとして排除します。ただ、自然の姿を強調する根洗いにおいては、その状態を活かすのも一興です。
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根洗い
ススキ、ミセバヤ、イタドリを植えたものに、鳥のフンからクロガネモチとタチバナという木が生えた特殊な飛び込みも。このまま育てていけばいずれ風景の一部となって、自然下の雰囲気を高めてくれそうです。
根洗いを使った秋の小品盆栽5点飾り
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主木の姫美好
根洗いを含めた小品盆栽と小物を組み合わせた、秋を表現した飾りを制作。主木は姫美好(ひめびこう)というりんごの木。たわわに実る小さなリンゴが秋の恵みを表現します。
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シノブシダ
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主木の受けには根洗いのシノブシダ。石に活着している姿から年月の長さを感じます。
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添えの砂苔
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添えには根洗いの砂苔を使用しました。上面に石を配して爽やかな山岳風景を表現。
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竹細工の鈴虫
紅葉をあしらった屏風と、竹細工の鈴虫を置いて遊び心をプラス。鈴虫が赤い実を食べているような配置にして、秋の味覚も表現されています。
小規模でさまざまな飾り方もその都度楽しめるなど、表現の幅が広い小品盆栽。まずは部屋の棚でデスクの傍らを彩る一鉢として、盆栽の世界にふれてみてはいかがでしょうか。
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