全国の模型愛好家やプラモデラーが自慢のジオラマを出展するイベント「浜松ジオラマグランプリ」が、2025年8月21日から24日、静岡県のザザシティ浜松で行われました。2024年に同イベントでグランプリ大賞を受賞した大嶋了さんも参加。今年はどんなジオラマ作品を出展したのか、詳しく話を聞きました!
山を登った先にある「祠」がモチーフ
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バイクの汚し表現が見事
――「浜松ジオラマグランプリ」への参加のきっかけは何でしたか?
「数年前から気になっていて、毎年『見に行きたい!』と思っていたんです。山田卓司さんは、『TVチャンピオン』(テレビ番組・テレビ東京)でも拝見していました。ダメ元でも良いから作品を作ってエントリーしよう、と思い立って。
出展する作品は『キャラクターよりも、自作したもののほうが良いよ』とアドバイスをもらったので、今回の『祠』を作りました」
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「新人賞」を受賞した、なえなえさんによるジオラマ作品「祠」
――初参加で「新人賞」を受賞しましたね。どんな作品でしょうか。
「自分の身近にある物をジオラマに落とし込みました。本来は、祠の近くに作品のような樹木やガードレール、灯篭などはありません。でも、自分の身近な物を形にしたほうが、説得力が増すんじゃないかと思って製作しました」
――自宅の近くにある「祠」をイメージして作ったのですか?
「地元にある山の上にある祠を参考にしました。僕は健康のために地元の山を登るんですが、そこで見つけて『良いな』と。道中に根をはった樹木の迫力にも驚いて。自分の身の回りにある素敵な物を、作品に昇華しました」
「リアリティーを追求したい思いも…」製作過程での苦悩
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祠と灯篭
――なえなえさんの身近にある素敵な物を詰め込んだのですね。
「実際にはない景色を表現しているので、リアリティーのある作品を作りたいという葛藤もありましたね。山田卓司先生の作品や受賞者の作品を見ると、イメージがぶれていないんですよ。この作品を通して何を伝えたいのか、自分でもまだ模索している部分があります」
100円ショップの素材やスタイロフォームを用いて製作
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ワイヤーで製作した樹木
――どのような素材を使って作り上げましたか?
「ジオラマのベースはスタイロフォームを使いました。樹木は100円ショップで販売されているワイヤーをひたすらねじって、そこに粘土をくっつけて何回も塗り重ねていきましたね」
――立派にはった木の根も粘土で?
「そうです。ワイヤーに粘土を付けて作りました。祠の下の石段はスタイロフォームを削って再現しています。実はスタイロフォームを使って石段を作るのが好きなんですよ。あんな柔らかい素材が硬い石に見えるのが楽しくて(笑)」
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なえなえさんが注力したという「祠」の石段
――たしかに、硬そうな質感ですね。ジオラマ作品とは思えないほどリアルに表現されています。
「祠はプラスチック素材なんですが、木材に見える加工をするのも面白いんですよね。木目はカッターナイフで傷をつけて、エナメル塗料などを流し込みました。立体感を出すためにドライブラシをしたり、ウォッシングをしたり。塗料乾いたら、再度ドライブラシをかける、といったエイジング表現を何度も繰り返しました」
朽ちたガードレールがリアルすぎる!
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上から下に向かって塗装された、ガードレールのサビ
――サビ付いたガードレールの汚し表現が見事でした。審査員の山田先生も、このガードレールに注目していました。最初からジオラマに入れようと考えていたのですか?
「最初はジオラマのことはまったく考えずに、ガードレールだけを塗装していました。2つで100円のガードレールを見つけて『面白いな』と思って、塗り進めたのがきっかけです。ガードレールって、縦にサビが入るんですよね。雨だれのように見えて素敵だったので、模型に落とし込もうと決めました」
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使い古されたバイク
――新人賞とのことで、審査員の金子辰也先生からは、たくさんアドバイスをいただいていましたね。
「『バイクいらないんじゃない?』と、とても参考になりました。バイクと祠が結びつく理由が曖昧だったな、というのは僕自身も感じていました。もっと技術があれば、祠の前で祈っている人を作りたかったですね」
――そうしたアドバイスを含めて、来年への参加意欲は湧きましたか?
「そうですね。とはいえ、年齢的にもすぐ疲れてしまうので……体力勝負ですね(笑)。『グランドマスター』を受賞した青山(祐司)さんは、毎年まったく違う作品を出展されていて尊敬します。青山さんのように本作にとらわれず、自由に新しい作品を作り続けたいです」
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