名古屋市中村区には、“激安価格が当たり前”の青果店があるといいます。ウワサを聞きつけて訪れてみると、1玉100円のキャベツや1パック(3~4個入り)100円の割れトマトを発見! なぜここまでおトクに提供できるのか、激安価格の裏にある青果店スタッフの努力に迫ります。
信じられない激安価格のオンパレード!
名古屋駅から徒歩10分ほどの場所にある「安兵衛青果(やすべえせいか)」。平日でもお客さんで大にぎわいなのは、激安価格が理由です。
ずっしりとした大玉のキャベツ1玉、レタスも1玉、ぎっしり詰まった水菜まで100円で手に入ります。 さらに、ニンジン9本が100円、1本約11円! 8個入りのタマネギは1個13円ほど。物価が高騰する中、驚きの激安特価です。
また蟹江町産の白いちじくなど、珍しいフルーツも取り扱っているほか、シャインマスカットが1パック500円という衝撃のお値打ち品も見つかりました。
店の人に激安価格の理由を聞いてみると、「自分が買ってうれしい価格」をつけているとのこと。通常なら128円などの価格をつけたくなるけれど、レジが並ばないようにキリの良い値付けにしているそうです。
激安でも品質はたしか!名駅近くのプロの料理人も御用達
「安兵衛青果」にはプロの料理人からも注目されています。例えば寿司屋「仙石すし 本店」の大将はこの日、5本で1000円の松茸を仕入れました。
バーナーで炙って香りを立てた後、形の良い部分をシャリと一緒に握って完成する焼き松茸握りは1貫300円。安く仕入れることで高級なネタもお値打ちに提供できるのです。
また「ネパール・インド料理 ゴルカ」の店主も大量の野菜を仕入れ、「野菜フライドライス」を750円で提供しています。名古屋駅近くで1000円以下の料理を提供できるのは、この安兵衛青果があるおかげなのです。
激安こそ命!一家総出で仕入れるからこその激安価格だった
安兵衛青果は終戦直後に始まりました。現店主の泰典さんの祖父母が野菜販売を開始。令和の時代も伝統を受け継ぎ、泰典さん一家全員で協力しながら、激安価格を実現するために日々奮闘しています。
青果店は一般的に後払いシステム。先に野菜を仕入れ、お客さんから得たお金で代金を支払う。売れなければ支払いが滞る自転車操業です。そのため仕入れは激安が命! ということで、店の生命線となっている仕入れを取材させてもらいました。
長野の市場まで遠征!フルーツを激安でゲットできるのか?
長男の泰希さんは週に3〜4回、長野県の市場へ仕入れに行きます。この市場は農家から直接仕入れができるため、流通コストが抑えられ、お得に仕入れることができるんです。
泰希さんのミッションは激安フルーツの仕入れ。お目当ては長野ならではのリンゴですが、このシーズンのりんごは品質が良いものばかりです。
プロたちとの競り合いで苦戦し、高値での競りが続きます。それでも粘り強く挑戦し、最終的にリンゴとナシを30箱以上仕入れることに成功しました。
競りのあとには老舗ラーメン屋台でひと息つくのが定番の流れ。競りがうまくいくと特においしく感じられるそうです。
真弓さんの活躍で激安トマトを大量ゲット!
その頃、名古屋市中央卸売市場・北部市場には、泰典さん一家の次男・将利さんと父・泰典さんの姿がありました。
規模の大きな北部市場からは毎日たくさんの野菜を仕入れますが、ここで泰典さんが電話をかけます。相手は津島市の市場にいる真弓さん。リアルタイムで情報を交換し、より安く仕入れるのが安兵衛流です。
この日は、トマトが割安で手に入ることが判明し、真弓さんがなんと74箱も競り落としました。高温障害で割れているものの、品質は良好。青果店であれば仕入れ後すぐに販売できます。真弓さんは「良いものを廃棄せずに売るのが私たちの役目」とも語ります。
こうして家族が協力した仕入れが終了し、店に集結。真弓さんが競り落としたトマトは1パック100円で並びました。
店頭の激安価格を実現しているのは、徹底したチームプレーの賜物なのですね!
※紹介した食材はすべて仕入れ次第で価格変更の可能性あり
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