愛知県の設楽町には、なんと客を寄せ付けない温泉旅館「塩津温泉 秀山荘(しゅうざんそう)」があるのだとか。さっそく“秘境”とウワサの秀山荘に車で向かうと、驚愕の理由と、それを知ってでも訪れたい唯一無二の魅力がありました!
客を寄せ付けない第一の理由は、アクセスの困難さ!
噂の「塩津温泉 秀山荘」がある設楽町が位置しているのは愛知県の北東部。豊かな森に囲まれたエリアです。車で温泉宿を目指していると、北と南の両方向が通行止めと判明。
旅館の女将によると、温泉への迂回路があるそう。旅館のホームページにも女将手書きの地図が掲載されています。地図によると旅館に通じる県道はどちらも工事中。この状況はすでに10年近く続いており、迂回路が客を寄せ付けない理由の1つです。
道幅はハイエース1台分で、ハンドルを切り損ねれば崖に落ちてしまいます。さらに魔のヘアピンカーブや高さが足りないガードレールのつづら折りなど、難所が続きます。ハイエースで向かったことを後悔したくなる険しい道のりです。
悪路を越えた秘境には、温泉マニアが通う「お肌すべすべ温泉」があった!
ようやく設楽町の山あいに佇む「塩津温泉・秀山荘」に到着! わずか4.5キロの迂回路を通り抜けるのに30分かかりました。平成3年に開業した秀山荘は、西島さんご夫妻が旅館を買い取り。築75年の建物ですが、館内はきれいにリフォームされています。
道路工事による通行止めで秘湯中の秘湯となった塩津温泉郷。かつては4軒あった旅館も、今や秀山荘を含めて2軒のみ営業しています。目の前を流れる川に湧く源泉は泉質が抜群で、温泉通が密かに訪れる「お肌すべすべ温泉」として有名です。
客を寄せ付けない理由はほかにも
ここで、「客を寄せ付けない」秀山荘の注意事項が! 冬場は道が凍結し、急勾配が非常に危険です。そして夏場には冷房設備がなく、扇風機のみで対応しています。また、Wi-Fi環境や温水洗浄便座は整備されておらず、一部のキャリアの携帯電話はまったくつながりません。
アクセスの難易度が高いだけでなく、お客様にとって不便な点も正直にお伝えしています。しかし、この「不便さだらけの宿」にもかかわらず、家族のように迎えてくれるアットホームな雰囲気も相まって、自然とお客様が集まってくるのが秀山荘の魅力です。
※営業していないこともあるので、必ず電話やホームページでお問い合わせを。
釣りや暗闇のワイルド体験も!
とにかく自然が豊かな秀山荘。宿から徒歩30歩でご主人・正和さんのレクチャーのもと釣りが楽しめます。川魚のハヤが釣り放題です。
また、宿を出れば電灯1つない塩津温泉の夜。この町ならではの体験は暗闇ドライブです。出発してわずか100メートルでシカに遭遇。その後も何度も道路を鹿が横切りました。時にはハクビシンが出現することもあるそうで、まるで“天然のサファリパーク”のようです。
秀山荘ならではのぜいたくな夕食に舌鼓
自慢の夕食の目玉は、設楽町で養殖されるアマゴなどの淡水魚。川魚特有の泥臭さがなく大好評の逸品です。季節を感じる甘栗や秋ナスなど、秋の味覚のオールスターが揃います。
客を寄せ付けない注意事項を理解していても、何だか足を運びたくなる魅力がある「塩津温泉 秀山荘」。緊張感あるアクセスも含めて、愛知の秘湯体験に出かけてみてはいかがでしょうか。
※この記事の掲載内容は更新当時の情報です。
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