人命救助最後の砦、航空自衛隊・小牧基地「地獄の訓練」に密着! 教官から叱責が飛ぶ場面も

愛知あたりまえワールド

  • ロープやストレッチャーを使った救助訓練をする様子

    人命救助の最後の砦になるべく、奮闘する若者に迫る

愛知県小牧市にある航空自衛隊・小牧基地では “地獄の訓練”と呼びたくなる、厳しい訓練が毎日行われています。小牧基地には、迷彩塗装の輸送機を運用する第一輸送航空隊に加え、救難ヘリの操縦士や救難のスペシャリストを育てる国内唯一の部隊が集結。そんな人命救助の砦となる航空自衛隊の訓練に密着! 国防と人命救助の最前線へ潜入させてもらいました。

目次

【地獄の訓練その1】高さ11メートルでの「背負い搬送訓練」

  • 高所から地面に負傷者を運ぶ訓練をする画像

    恐怖心に打ち勝ち、負傷者を確実かつ迅速に運ぶ訓練

訓練が行われるのは、高さ11メートルの訓練。人間が最も恐怖を感じやすいとされる高さです。ここで行われる「地獄の訓練・その1」が「背負い搬送」。1本のロープだけを頼りに、崖上に取り残された負傷者を背負い、安全に地上へ降ろす救助方法です。

悪天候や極限状態の中では、わずかなミスが命取りに。背中に人命を背負い、11メートル下まで無事に降ろせるか、それは実戦そのものです。

  • 訓練生5人が並んだ様子

    強い覚悟をもって救難訓練に挑む、5人の訓練生たち

全国から集まった訓練生はわずか5人。彼らが目指すのは、全国10カ所の基地に配属される救難隊員。「人命救助最後の砦」と呼ばれる存在として、ほかの救助機関では対応が難しい災害現場や、広い範囲に及ぶ捜索任務に立ち向かう覚悟を持って、訓練に臨んでいます。

選ばれし者だけが立てる場所、日本最高峰の救難訓練

  • 海難事故を想定したダイビング技術訓練の様子

    海難事故を想定したダイビング技術訓練も

選抜試験合格後、1年間で陸・海・空すべての救難スキルを徹底的に叩き込まれます。訓練開始時は10人いた訓練生も、取材時点で残ったのは半数の5人のみ。各分野に厳しいテストが設けられていて、合格までの道のりの厳しさは日本最高峰の救難隊と称される所以です。

【地獄の訓練その2】筋力だけを頼りに橋を渡る「ロープ橋」

  • ロープを渡る訓練生

    精神力も体力も問われる、高所での訓練が続く

ここで待ち受ける「地獄の訓練・その2」が「ロープ橋」。対岸にいる救助者を想定し、命綱と自らの筋力だけを頼りに橋を渡ります。連日の訓練で体力は限界寸前。それでも一切の妥協は許されません。

束の間のランチタイム、まず口にするのは野菜

  • おぼんに置かれたごはんやおかずなどの昼食

    ご飯とお汁はおかわり自由で、ガッツリエネルギーを補充

午前中の訓練が一段落すると、訓練生たちは昼食へ。実は食べ方にも救難員としての心得があります。血糖値の急上昇を防ぐため、必ず野菜から口にすることです。

そして朝5時に起床し、1日の大半を「国民の命を守るためのスキル習得」に費やす日々。食事すらも、任務の一部となっているように感じられます。

【地獄の訓練その3】チームワークが試される「ストレッチャー上昇訓練」

  • ロープを使って高所から地上に降りる様子

    個人の力とチームワークが試されるストレッチャー上昇訓練

昼食後に始まったのは、「地獄の訓練・その3」「ストレッチャー上昇」。負傷者を担架に乗せ、引き上げる訓練で、滑落事故やヘリへの収容時に不可欠な技術です。

求められるのは完璧なチームプレー。迅速な装備準備と的確なコミュニケーションが、生死を分けます。しかし救助者の状態確認で致命的なミスが発生しました。

  • 地面にストレッチャーを置いた様子

    目標から大きくタイムオーバー。チームとしての先読み力が課題に

現場では決して許されない失敗に、教官から厳しい叱責が飛びます。通常30分ほどで終える工程に、今回は1時間20分を要したのです。教官は「個々の役割理解だけでなく、チームとして先を見据えた判断が重要」と課題をフィードバックします。

  • チーム全員で訓練を復習する様子

    訓練での失敗を繰り返さないよう、チーム全員で復習

一刻を争う救助現場を想定し、ストレッチャー訓練は4時間にわたって休みなく続きます。日が暮れた午後6時、訓練生たちはようやく宿舎へ戻ります。

5人が同じ部屋で疲れを癒やしますが、身だしなみへの意識も徹底しており、常に清潔で心地よい香りを保つことも救難員として欠かせない心得だといいます。

それでも訓練生の1日は終わりません。「国民の命を守りたい」という強い思いで、教官から指摘された課題を2時間かけて振り返り、復習していました。

復習の成果もあり全員合格!人命救助最後の砦まであと一歩

  • ストレッチャーを使った訓練をする様子

    なんと実技テストを見事全員でクリア!

そして翌日に待ち受けていたのは実技テスト。課題をクリアできなければ、次の実践訓練へ進むことはできません。挑むのは、前日に大幅なタイムオーバーとなったストレッチャー上昇救助。合格条件は30分以内です。

「人命救助最後の砦」となるため、越えねばならない壁ですが、見事な連携により、目標の30分以内で救助を完遂! 5人揃って無事テストに合格しました。

航空自衛隊・救難員。今月の最終試験では、5人揃って雪山での訓練に挑みます。

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