「ブラックサンダーあん巻き」が窮地の「お亀堂」を救う...㊙誕生秘話!

工場へ行こう III AMAZING FACTORY

  • ブラックサンダーあん巻き

愛知県豊橋市に工場を持つ「有楽製菓」と、同じ豊橋市にある創業75年の老舗和菓子店「お亀堂」がコラボした「ブラックサンダーあん巻き」が大ヒット! 累計約500万個を売り上げ、スイーツ好きの間で話題となっている。
和菓子離れが進む今、経営危機に瀕していた「お亀堂」。そんな窮地を救ったのが、異業種コラボから生まれた「ブラックサンダーあん巻き」だった。
常識を覆す商品開発の裏には、30年以上、和菓子一筋で歩んできた職人の苦悩と挑戦があった――。

老舗の危機を救った異色コラボ「ブラックサンダーあん巻き」開発の舞台裏

  • 「お亀堂」会長・森愼一郎さん

大ヒット商品「ブラックサンダーあん巻き」。実は開発当時、「お亀堂」は経営的に厳しい状態だったという。会長の森愼一郎さんは、「10年前に比べて、豊橋市の和菓子店は3分の1に減った。時代の流れで和菓子離れが進んでいる。お客様のニーズも『あんこ』ではなく『クリーム』や『ケーキ』に流れている」と話す。
これまでと同じやり方では未来はない――。そこで思い切って、「有楽製菓」にコラボを持ち掛けてみたところ、「東三河を盛り上げよう」とこれを快諾。見事、コラボが実現した。
「ブラックサンダー」の特徴を最大限生かした「あん巻き」は、どのように作られているのか。

2種類の小麦粉に卵黄やハチミツを投入した生地を使用。ダマができないように、小麦粉を少しずつ足しながら混ぜていく。
ざるでこすと、生地が立っているのがよく分かる。粘りが強い特殊な小麦粉を使っているため、生地は通常よりも固め。これにより、「お亀堂」独自のモッチリ食感に仕上がる。

  • 3つの穴から生地を出す

一晩冷蔵庫で寝かせた生地を機械に投入すると、あっという間にだ円形になって出てきた。3つの穴から生地を出すと自然とこの形になるため、成形する必要はない。

鉄板に乗った生地がトンネルをくぐると、上下ともにこんがりと焼かれている。
鉄板で下から焼くと同時に、トンネルの上からも直火であぶっていたのだ。これで、香ばしいモチモチの生地が完成した。

生地は通常の「あん巻き」と同じだが、懸念材料は中の“あん”をどうするか。
開発担当の石川さんは、「(開発当時は)和菓子にチョコレートを使っていなかった。全然チョコレートの特性がわからなかった」と話す。

そもそも、和菓子の「あん巻き」にチョコレート菓子の「ブラックサンダー」が合うのか、また、最大の特徴であるザクっとした食感をどう生かすか、課題は山積していた。
「最初はブラックサンダーをそのままあんこに入れて食べて、『これは無理だぞ』と。次は半分に切って『やっぱりおかしいよね』と」(石川さん)。
そんな試行錯誤の末、ある方法にたどり着く。

  • 「ブラックサンダー」を粉々に

まずは機械に投入し、「ブラックサンダー」を粉々に。かけらの大きさが不ぞろいなのが狙いで、あえて大きなかけらを残すことで食感が保たれるという。

  • 実は「ブラックサンダーあん巻き」は、あんこを一切使っていない

混ぜるのは、あんこではなくなめらかなチョコレートで、粉々になった「ブラックサンダー」のつなぎ役に。実は「ブラックサンダーあん巻き」は、あんこを一切使っていない。
「最初は『ブラックサンダー』と白あんを混ぜるという発想だったが、『有楽製菓』に持っていくと『全然チョコレート感がない』と。最終的には『ブラックサンダー』とチョコレートを混ぜるという…もう吹っ切れて、あんこをやめてチョコレートのみでという発想に変えた」(石川さん)。

  • イナズマの焼き印

自慢のモチモチ生地にあんを包み、トレードマークのイナズマの焼き印をつけたら完成!
苦難の末に生まれた「ブラックサンダーあん巻き」は、発売開始からすぐに話題となり、大ヒット。石川さんは「和菓子1本で30年以上やってきたが、チョコレートと和菓子(の組み合わせ)がお客様に納得してもらえるんだと。『お客様がつく』というのはそういう事だと考え方が変わった」と話す。

  • 「ぴよりんあん巻き」

大ヒットの勢いをそのままに、今度は人気の名古屋土産「ぴよりん」とコラボした「ぴよりんあん巻き」を発売。さらに、規格外のイチゴを活用した「スイーツ大福」なども開発。
「お亀堂」は、「見た目は洋菓子、食べると和菓子」といったユニークな商品を次々と世に送り出している。

若き才能が開花した「エディブルフラワー」の和菓子

そんな「お亀堂」の開発現場に潜入すると、ベテランの石川さんに加え、若手の姿が。
すでに、入社2年目の芝波田紗恵奈さん(21)が開発した和菓子があるという。

  • エディブルフラワーを使った和菓子

それは、豊橋市が全国シェア1位を誇る食べられる花・エディブルフラワーを使った和菓子。あんこを入れた蒸しカステラの上に一輪一輪丁寧にしつらえ、桃味の寒天でコーティングしたもので、まるで宝石のような見た目だ。
芝波田さんは、「小さな花が集まってブーケに見えるようにデザインした。ドーム状にすることで花が広がって見える」と、そのこだわりを教えてくれた。

伝統を守りながら革新的な挑戦を続ける「お亀堂」。これからも、私たちを笑顔にする“新たな和菓子”を生み出してくれるだろう。

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