【湖池屋】を救った「プライドポテト」の製造工程に密着!驚きの開発秘話

工場へ行こう III AMAZING FACTORY

  • 「湖池屋」の「プライドポテト」

ジャガイモ本来の味わいと食べ応えのある食感が好評! 「湖池屋」のポテトチップス「プライドポテト」は、発売開始から9年で累計販売数約4億5000万袋を記録した大ヒット商品。ここ数年で、さらに売り上げを伸ばし続けている。
今回は、「湖池屋」の新工場に潜入。「プライドポテト」の製造工程からおいしさの秘密を探り、驚きの開発秘話に迫る。

60年以上、国産のジャガイモだけを使い続けてきた「湖池屋」のプライド

  • 「湖池屋 中部工場」

岐阜・海津市にある「湖池屋 中部工場」。総工費約100億円をかけて造った最新鋭の工場だ。

中部工場では、大きく10の製造工程をへて、「プライドポテト」を生産。“ジャガイモ本来の味わいと食べ応えのある食感”はどうやって作られるのか――。

  • 工場には約150tものジャガイモが保管されている

工場には約150tものジャガイモが保管されているが、この量が、たった2日で全てポテトチップスに! 「100%国産のジャガイモを使用している」(中部工場 宮城さん)。
60年以上、100%国産のジャガイモだけを使い続けてきたことが、「湖池屋」のプライドだ。

「プライドポテト」に使用していたのは、北海道で採れた「きたひめ」という品種。身が固いため皮をむきやすく、揚げたときに焦げにくい、ポテトチップスに向いている品種だ。
工場では、「きたひめ」「トヨシロ」「オホーツクチップ」「スノーデン」と、ポテトチップスに適した4品種を使用。さらに、全国各地のジャガイモ生産者と契約し、春は九州、秋は北海道と、旬の産地から仕入れている。

驚異のマシンと職人の目が光る“妥協なき工程”

まずは1tを超える大量のジャガイモを、回転するドラム型マシンへ投入。マシンで表面の泥を落とし、芽を取り除いたジャガイモは、さらに水を流した黒いローラーの上を転がり、細かい泥が落とされる。

  • 2~3割程度の皮を残すのがポイント

きれいになったジャガイモは、工場内に入るとタンクの中へ。ジャガイモ同士が激しくぶつかり合うことで、タンク内のヤスリが皮を剥いていく。
あえて2~3割程度の皮を残すのがポイント。皮と身の間にある“うまみや風味”を取り過ぎないための工夫だ。

お次は、カメラが大きすぎるものや形や色の悪いものを認識し、水色のバーで一瞬にして弾き飛ばす「ゲートキーパー」が大活躍。

ここまでの作業はほぼ自動だが、ここでやっと人が登場! 先ほどの検査で、「基準をクリアしたもの」はメインルートを進むが、それ以外の「弾かれたもの」は別ルートへ。別ルートで流れてきたイモは人の手でカットされてからメインルートに戻る。さらに、ここまでの工程で取りきれなかったジャガイモの芽を人の手で取る。機械ではできない部分を確認し、人の手で行うのだ。

  • タンク内で薄くスライス

タンク内で薄くスライスされたジャガイモは、ついにポテトチップスの形になり、水と一緒に流れていく。その様は、まるでウォータースライダーのよう!

原点回帰!赤字の窮地を救った「究極のポテトチップス」

  • 1953年に創業した「湖池屋」

1953年に創業した「湖池屋」。その歴史は、東京の小さな揚げ菓子の工房から始まった。
創業者・小池和夫が出会ったのは、当時アメリカからやって来たポテトチップス 。そのおいしさに感動した小池は、日本で初めて“イモの味が感じられる”ポテトチップスの量産を始めた。
会社は量産ポテトチップスのパイオニアとして大きくなったが、その先には、数々の困難が待ち受けていた。

 

  • 「カラムーチョ」

1975年、他社が安い値段でポテトチップスを大々的に売り出し、大ヒットを飛ばす。
「湖池屋」が苦戦を強いられる中、1984年、今までにない刺激的な辛さのスナック菓子として誕生したのが「カラムーチョ」だった。当時アメリカで流行っていた「チリ味」に目を付け、この斬新なアイデアが話題となり、売り上げは徐々に回復した。

「カラムーチョ」が話題になると、さらに新たな商品開発を進めた「湖池屋」。
その際、力を入れたのが広告だ。「ポリンキー」や「スコーン」など、消費者に少しでも名前を覚えてもらうため、ユニークなCMで商品名を連呼。この戦略で商品の認知度が上がり、苦境を脱した。

  • 広報部 小幡さん

しかし2000年代前半になると、今度は安売り競争に巻き込まれ、2期連続赤字に。
窮地に立たされた「湖池屋」は、「原点に立ち返る」という大きな決断をする。

「創業の原点に返り、ジャガイモのおいしさにこだわって、新しい『湖池屋』として再出発しようと2016年にリブランディングをした。その象徴となる商品として、2017年に『湖池屋プライドポテト』を発売した」(広報部 小幡さん)。

少々コストがかかっても、素材も製法も一切妥協せずに開発を進める――。こうして生まれたのが「プライドポテト」だ。

「スナックの市場で年間20億円を超えるとヒットと言われる中、初年度で40億円を記録する大ヒットになった」(小幡さん)。

創業の原点に立ち返ったことが、会社の窮地を救ったのだ。

  • 「プライドポテト」はジャガイモの味をより残すため、湯通ししない

「湖池屋」の“一切妥協しない”という決断は、現場の工程にも革命をもたらした。
実はスライスされるまでの工程は、普通のポテトチップスも「プライドポテト」も同じで、ここから違いが生じる。
普通のポテトチップスは、約70℃のお湯で焦げの原因となる「糖分」を洗い落とすが、「プライドポテト」は「水」を使う。ジャガイモの味をより残すため、湯通ししないのだ。

  • 工場長の脇淵さん

さらに重要なのが揚げ方。「プライドポテト」を開発した一人、工場長の脇淵さんは「実は失敗から生まれた食感」と明かす。商品の生産効率を上げるため、普段使わないフライヤーでポテトチップスを揚げてみたところ、歪んだ形の失敗作ができたそう。しかし食べてみるとイモの味が濃く、軽快な食感で、脇淵さんは「これは面白い」と感じたという。
そこから、揚げ時間や揚げる量を変えるなど試行錯誤を重ね、ついに「プライドポテト」が完成した。

  • 「プライドポテト」の揚げ時間は、通常の倍ほど

「プライドポテト」の揚げ方のこだわりは温度にある。最初は高い温度で揚げ、その後、低温でゆっくり水分を抜き、イモの味を凝縮。最後は再び温度を上げて表面をカラッとさせる「3段階方式」を採用。“イモ本来の味わいと食べ応えのある食感”を生み出すことに成功した。

ちなみに「プライドポテト」の揚げ時間は、通常の倍ほど。温度を変えて揚げることで、おいしさがアップ! これこそ「湖池屋」が原点に立ち返った末に生まれた、こだわりの製法だ。

 

 

揚げ上がった「プライドポテト」は、マシンに付いたセンサーが黒く焦げたものを一瞬で見抜き、ラインから取り除く。さらに人の目で見て、色が悪いもの、焦げが混ざっているものなどを取り除く。

最後は、回転するタンクの中で味付け。計量マシンに入れられ、一定の重さになると自動で落下し、袋詰めされる。

  • 中部工場の敷地内には物流会社「トランコム」の倉庫が併設

中部工場の敷地内には物流会社「トランコム」の倉庫が併設されており、箱詰めされた商品は、ベルトコンベヤーに載って「トランコム」の倉庫へ。これにより、効率的に出荷できる。

「湖池屋」の製造工程へのこだわりと、失敗をチャンスに変える情熱――。
最新鋭の中部工場では、国産ジャガイモのうまみを100%引き出すため、あえて手間のかかる製法を貫いていた。

 

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