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きなこ揚げパン
子どもたちの胃袋を満たす学校給食は、どのように作られているのか。
取材班は、敷地面積約1万3000平方メートル! 東海地方最大級の規模を誇る最先端の施設「半田市学校給食センター」(愛知県半田市 2024年9月オープン)に潜入。
人気メニュー「きなこ揚げパン」ができるまでの工程を追った。
素朴な味わい「きなこ揚げパン」最新設備と職人技
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半田市学校給食センター
「半田市学校給食センター」では、半田市内にあるほぼすべての小中学校と5つの幼稚園に届ける給食、約1万人分を作っている。
この日は、子どもたちの心をつかんで離さない人気の給食「きなこ揚げパン」を作るが、1万人分とあり、運ばれてくるコッペパンはとにかく多い。
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パンを揚げるフライヤー
「揚物・焼物・蒸物調理室」に行くと、調理スタッフがパンを一つ一つ丁寧に180℃の油の中へ投入していた。
パンを揚げるフライヤーは、給食センターの開設に合わせて導入した最新設備。以前は、油で揚げたパンを手作業でひっくり返していたが、このフライヤーは上下のベルトでパンを挟み、全体を油に浸すため、ムラなくきれいに仕上がる。
さらに、温度管理をデジタル制御しているため、180℃を正確に保つことができるのだ。
パンを一気にたくさんフライヤーに入れた方が短時間で調理できそうだが、そうすると油の温度が下がってしまい、逆に効率が悪くなる可能性があるとのこと。
全長7メートルのトンネルの先に向かうと、こんがり揚がったパンが続々と出てきた。
油のトンネルに入ってから出るまでは約3分。1万個を2時間かけて揚げていく。
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作業は3つの工程に分かれている
1万人分の揚げパンを時間内に完成させるには、やはり人の手が欠かせない。
作業は3つの工程に分かれており、まずは熱々のパンにきなこを振りかける。
熱いうちにかけることで香りが立ち、パン全体によくなじむそう。
続いて、きなこをまぶしたパンを食缶に詰める。形が崩れないよう、きれいに並べるのが肝だ。
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ムラが出ないよう、まんべんなく均等に仕上げる
そして最後にきなこを追加。ムラが出ないよう、まんべんなく均等に仕上げていく。
このように、丁寧かつスピーディーなチームプレーで、1万人分の「きなこ揚げパン」が作られている。
最新鋭マシンが支える、調理と洗浄の効率化
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スチームコンベクションオーブン
「半田市学校給食センター」には、フライヤーの他にも最新の給食製造マシンがある。
ボタンやモニターがついた銀色のボックスは、「スチームコンベクションオーブン」。
「スチームを使うことで食材のうま味や水分を逃さず調理できる」(栄養教諭の今井さん)。焼く、蒸す、炒めるといった調理をすべて行う万能マシンで、蒸気を使うため、魚がふっくら仕上がるのだ。
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たった1時間で1万食の焼き魚が作れる
8台の「スチームコンベクションオーブン」をフル稼働させると、たった1時間で1万食の焼き魚が作れるそう。8台も導入している給食センターは、全国的に見ても珍しいという。
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西京焼き
焼き上がった魚にみそダレを絡めれば、「西京焼き」の完成。子どもたちの喜ぶ顔が目に浮かぶ。
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巨大食洗機
給食センターの仕事は調理だけではない。午後1時半に運ばれてきたのは、学校に届けた食缶や食器だ。実は給食センターでは、子どもたちが使った食器の洗浄も行っている。
巨大食洗機にお椀やお皿をセットすると、カゴが水中に潜り、1クラス分の食器を約5分で洗浄してしまった。
この食洗機も最新式で、強力なジェット噴射により、効率的に食器を洗うことができる。
食洗機から出てきた食器を一つずつレーンで運び、さらに細かい汚れを洗い落としていく。
仕上がりはピカピカ! 1万人分の食器の準備もこれでばっちりだ。
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