【激撮】巨大養殖場のハマチ"超速7分加工"と鮮度キープの秘密

工場へ行こう III AMAZING FACTORY

  • ハマチ

    ハマチ

回転寿司チェーン「スシロー」。今回は、巨大養殖場の魚が「スシロー」のおいしいお寿司になるまでに密着。驚きのマシンによるダイナミックな工程も一挙大公開! “活きの良いネタを最高の状態で届けたい…”。繰り広げられていたのは、スピードとの戦いだった。

おいしい魚が育つ「尾鷲湾」

  • 「尾鷲物産株式会社」

    「尾鷲物産株式会社」

古くから、漁業はもちろん、干物などの加工も盛んなことで知られている三重・尾鷲市。
港の船着き場の目の前にあるのが、「尾鷲物産株式会社」(昭和47年創業)だ。

「尾鷲物産」は、魚の養殖から加工・販売までを一貫して行う総合水産会社で、魚の新鮮さを保ちながら加工し、主にブリ・ハマチ・マダイなどを東海地方のスーパーなどに出荷。養殖・加工だけではなく、漁業も行っている。

「スシロー」も「尾鷲物産」の取引先の一つで、付き合いは20年以上。養殖したブリ・ハマチ・マダイを、「スシロー」東海・近畿エリアの一部、約160店舗に出荷している。

  • 尾鷲湾に浮かぶ“いけす”

    尾鷲湾に浮かぶ“いけす”

ハマチの養殖は、尾鷲湾に浮かぶ“いけす”で行われていた。
尾鷲市は、年間降水量が全国トップクラス。降り注ぐ雨水が山から海へ流れ込むことで、海水はミネラルをたっぷり含んでおり、おいしい魚が育つという。
さらに尾鷲湾は、波が穏やかなリアス式海岸で、水深も深いことから養殖が行いやすく、年間約40万匹ものブリ・ハマチを養殖している。養殖にはもってこいの環境なのだ。

  • 6カ所の漁場のマップ

    6カ所の養殖拠点

尾鷲湾に浮かぶいけすの数は350。6カ所の養殖拠点があり、いけすは魚の大きさごとに分けられている。

  • いけす

    エサにもおいしさの秘密が

この日、ハマチのいけすの横に船が到着し、筒の先からエサが発射されると、活きのいいハマチが一気に水面へと上がってきた。このエサにもおいしさの秘密が隠されている。
ハマチ専用に開発された特別な飼料「ハマチEP」は、身がしっかりつくよう高たんぱく。茶カテキンなども含まれているため、臭みも薄くなるのだそう。

  • 海の中を泳ぐ魚

このいけすの中にいたのは、尾鷲ではモジャコと呼ばれるハマチの幼魚で、元気いっぱい! 2年かけて大切に養殖され、ハマチ・ブリになる。
縦、横、深さがそれぞれ11メートルある一つのいけすに入っているのは9000匹で、魚たちはストレスなく、ゆったりと泳げる。この環境も、おいしいハマチを育てる大切なポイントだ。

続いて、ハマチの水揚げポイントへ。水揚げに使われる船にはクレーンが積まれている。
今回の水揚げポイントは、船着場から約20分のところにある「大曽根漁場」で、いけすの周りに船員たちが集結し、網を引っ張っていた。実はこのいけす、中が網で覆われており、海中の網を引き上げることでハマチを水面へと追い込み、水揚げしやすくしている。

  • ロープで引き揚げる様子

船員がタモを取り出して持ち上げると、大量のハマチが。ここで活躍するのが、あのクレーンだ。タモの両側にロープがついており、それをクレーンが引っ張る。タモとクレーンの合わせ技だ。
「クレーンを使うのであれば、もっと大きな網で一気に水揚げした方が早いのでは?」と思いがちだが、1度に大量のハマチを水揚げすると傷がつきやすく、ハマチに大きなストレスがかかってしまうため、あえて少ない数で何度もすくっている。

  • 活〆

    活〆

水揚げしたハマチは、マシンに入れてすぐに“活〆(鮮度を保つために素早く血抜きを行う)”。水揚げ作業は、開始から約15分で終了した。すべての作業は、鮮度を保つためスピーディーに。その日の注文に合わせて水揚げしている。

夜の水揚げ、港での“神経〆”が生む驚異の鮮度

「スシロー」に届ける魚には、さらにこだわりがあった。
なんと、夜に水揚げ作業を行い、すぐさま加工、朝までに各店舗に届けるというのだ。その秘密は「尾鷲物産」の加工場にあり、夜まで泳いでいた魚が、次の日には食べられるという。

  • ハマチを水揚げする様子

    「スシロー」約160店舗分、460匹のハマチを水揚げ

午後10時に出航した船は、午後10時30分にいけすに到着。今回は、「スシロー」約160店舗分、460匹のハマチを水揚げする。
作業内容は昼間とほぼ同じだが、「スシロー」用に水揚げしたハマチは、生きたまま水槽に移す。昼間の水揚げではすぐに活〆を行っていたが、「スシロー」はそれをしない。

  • 神経〆する様子

    神経〆

午前0時、船が戻ってきた。タモを使ってハマチを隣の船へと運び、ここでやっと活〆する。そして活〆の直後に行うのが、魚の神経を取り除く“神経〆”。これを行うことで、鮮度の低下を大幅に遅らせることができる。
神経〆は、活〆の後すぐに行う必要があるため、夜の水揚げでは、港に戻ってきてから活〆をしていた。鮮度にこだわる「スシロー」ならではのオーダーだ。

午前0時30分、「尾鷲物産」の加工場に神経〆を終えたハマチが運ばれてきた。なんとハマチを加工し、真空パックにするまでの時間は、約7分だという。

  • カマや内臓などを取り除いた魚

驚きのマシンたちによるハマチの加工がスタート。鮮度を保つため、時間との勝負だ。

1つ目のマシンは、わずか30秒でカマや内臓などを取り除く。仕上げは人の手で行い、最小の手数で正確にカット。ここまでで、1分30秒経過。

  • 洗浄された魚がマシンから出てきた

2つ目のマシンで洗浄されたハマチは、3つ目のマシンできれいな三枚おろしに! ここまでで、3分経過。

  • マシンで袋詰めされたハマチ

    マシンがシートを被せて袋詰め

次の工程では、加工のプロ集団が骨を取り、さらに半分に切り分けていく。
そしていよいよ、最後のマシンへ。ハマチの切り身2つを1セットにし、パックの上に置くと、マシンがシートを被せて袋詰めする。

  • タコのような動きをする驚きのマシン

    タコのような動きをする驚きのマシン

袋詰めされたハマチが進んだ先には、タコのような動きをする驚きのマシンが! 
ふたが閉まると袋の中の空気が抜かれ、わずか10秒で真空パックに。最後は、店舗ごとに箱詰めされて完成だ。ここまで、圧巻の流れ作業で7分!
「尾鷲物産」ではマダイの養殖と加工も行っており、こちらも「スシロー」に卸している。

深夜3時15分、トラックは新鮮な魚たちを乗せて「尾鷲物産」を出発。配達時間を短縮するために車を分散させ、東海エリアと近畿エリアの一部、「スシロー」約160店舗へと向かう。

  • 皿に盛られたスシローの「活〆真鯛」

    スシローの「活〆真鯛」

午前6時30分、一台の車が「スシロー 名古屋駅桜通口店」(名古屋・中村区)に到着した。さらに「スシロー」では、店舗についてからも鮮度を保つための秘策が。

到着したばかりのマダイの切り身は、店舗のキッチンで皮を剥ぐ。血合いの部分は鮮度が落ちやすいため、ギリギリのタイミングで“皮引き”と呼ばれる作業を行うのだ。
シャリに乗せたら、完成!

夜まで悠然と尾鷲湾を泳いでいた魚たちが、数時間後には「スシロー」の店舗へ。そこには、徹底的に鮮度にこだわり、時間との戦いに挑む人たちのプロ意識と、驚くべき技術の融合があった。

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