一見、おいしそうなステーキだけど、その正体は肉ではなく「エノキ」。エノキを巨大化して活路を見出した農家の戦略に迫りました。
目次
-
「加藤えのきの月見ステーキ」968円
東京・新宿にある居酒屋チェーン「塚田農場」。秋の名物メニュー「加藤えのきの月見ステーキ」は、2カ月間に6000食(37店舗)を売り上げるほど人気です。
道の駅でステーキ用エノキを販売
-
「かとうの厚切りステーキえのき」180円
焼いていたのは、宮崎県産のエノキ。宮崎では、道の駅でステーキ用エノキが販売されています。価格は1つ180円。売り場には、手のひらを覆うほどの大きなエノキ(550グラム)も並んでいます。
-
550グラムの巨大エノキ
このエノキを作っているのが、宮崎市にある加藤えのきです。
工場の室温は、成育状態に応じて4度から14度ほどに保たれています。エノキダケの原料をボトルに詰めて菌を培養。そのボトルで2カ月間育てると、550グラムの巨大エノキが出来上がるといいます。ほとんどの同業者がつくるサイズと比べ、約2倍です。
「ボトル大型化」で独自路線を開拓
-
業界標準よりも大きい、加藤えのきのボトル
加藤えのきが栽培に使うボトルを業界標準より大きくしたのには、あるワケがありました。会社を継いだ2005年ごろ、大手の大量生産によってキノコ市場全体で値崩れが続いていたのです。
-
加藤えのき 加藤修一郎社長
加藤えのき 加藤修一郎社長:
「今までの延長線でキノコを作り続けていたら、ジリ貧になるのは分かったので、やっぱり大きく何かを変えないといけないというタイミングだったんです」
-
「ボトル大型化」によって、生産効率が2倍に
そこで当時の売り上げの5倍、5億円の投資を決断しました。工場はゼロから設計し、棚などの設備は一新。そこまでしてようやく、異例の「ボトル大型化」を実現させることができました。
扱うボトルの数が減り、生産効率は2倍になりました。また「売り方」にも独自の戦略があるといいます。
大きなエノキの株を“小分け”に
-
5つのサイズを用意
業界では200グラムか300グラムが一般的ななか、5つのサイズを展開。消費者ニーズの多様化に応えたことで、スーパーに置かれやすくなり、ミールキットにも採用されました。
-
パスタ用のエノキ
そして新たな用途も開拓。「ステーキ用エノキ」だけでなく、パスタのように食べてもらおうと、エノキを長めに栽培したのです。
加藤えのき 加藤社長:
「エノキって鍋需要とか、食べ方が凝り固まったような商品だと思いますので、エノキの魅力をもっともっと広げていって、エノキの需要拡大にもつなげていきたいなと」
長野に新工場が完成予定
-
新工場を建設し、生産量を倍増させる
今では社長就任前と比べて、生産量は16倍、売上は19倍に。全国で最大規模のエノキ生産者となりました。 そして10月には長野に新工場が完成。生産量を倍増させる計画です。
日本経済新聞社 宮崎市局
曽我真粧巳支局長:
「規模の大きい首都圏の市場に進出することになり、加藤えのきの全国的な存在感は増すことになると思います。将来の成長戦略としてはきのこに絞りながらも加工品などの分野に幅を広げることになると思いますが、M&Aなども駆使していく考えがあるそうです」
-
アメリカでのシェア獲得を目指す
加藤えのき 加藤修一郎社長:
「長野工場が安定的に回り出した先には、海外で勝負したいと思っています。今すでにアメリカのほうで法人はつくっています。現地でシェアを増やしていき、その先に世界でシェアを取れるような会社にしたいですね」
「LBS ローカル ビジネス サテライト」番組概要
日本経済新聞社とTXN系列テレビ5局が共同で企画・取材する動画コンテンツ。躍動する地域経済と企業の取れたてニュースやトレンドを各地のリレー方式で全国に向けて発信しています。テレビ愛知では中部圏の企業のユニークな取り組みを取材し、日経名古屋支社記者のコメントを交えて紹介します。
放送日時:
平日17:00~報道番組「5時スタ」内コーナー
LBSclub中部 詳細はこちら!
この記事をシェアする





