中日ドラゴンズのレジェンド・田尾安志と宇野勝が登場! バッター・落合博満の凄さと、バッティング論について熱く語り合う!
田尾、宇野が語る三冠王・落合の打撃の凄さ
三冠王を3回獲得した落合博満のバッティングの特徴に関して、田尾と宇野は、落合ならではの間合いの取り方を挙げる。
「独特の間合いの取り方って言うんですかね。(ピッチャーマウンドからホームベースまでの)18.44mの間で球が何秒で来て、自分の間合いをどう取るかという時に、早めに準備をして、バットを振る準備ができている」と分析する宇野。
田尾も「いいバッターは始動してミート(投球にバットを当てる)までの時間がたっぷりあり、その中でいろいろなボールを見極める。落合選手の場合は、スーッとゆったり動き出して打つまでの時間をたっぷり取っている」と解説。
さらに田尾は、落合のバッティングフォームについても「やや左足をオープンにして右軸にして、右軸の方が逆方向に大きいのが打てる。後ろの重心の中で、いろんなボールを拾っていく。だから、自分から向かっていくという感じがあまりない。全部呼び込んで振る感じ」と分析。
宇野も「足は開いても、肩は開かない。バットを持っている腕は肩につながっているので、肩さえ開かなければバットは動かないんですよね、腰は開いても」とコメント。“ゆったりとしながらも安定しているのが落合の構え”だと語る。
宇野は現役時代に見ていた落合の練習法が印象深かったようで、「(落合は)緩いボールをフリーバッティングで打つ。なぜかと言うと、自分のミートポイントを確認しやすいから。バッティングには必ず自分のポイントがある。それを確認するためにフリーバッティングをする」と明かす。田尾も「速い球でやっちゃうと、なかなかフォーム作りができない。(落合は)スイングだけ見たらそんなに速く感じないけど、実際のヘッドスピードはすごいと思う」と語った。
落合のフリーバッティングの話から、宇野は今の日本のバッターに対する懸念も。
「不安に思っているのが、ボールを体の中に入れて逆方向に打つ。これはフリーバッティングにならないと思う。バッティングって自分のポイントがあるので、それをいかに確認して、実際のゲームで2ストライク取られた時はそのポイントから我慢する。自分のポイントから我慢するから、少し右方向に飛んだり、回転ができたら左方向に飛んだりする。解説の方がたまにこういうことを言うんですよ。『前でポイントを捉えろ』とか『後ろで捉えろ』と。そんなことあるわけないじゃないですか(笑)。必ず、自分のポイントがあるんだから」と鋭く指摘。
これに対して田尾は、「バッターって、何も考えずに速い球が来た時にどうなるかというと、やっぱり向かっていくのが習性。それを抑えようということで『体の中に呼び込みなさい』という言葉になっているのかもしれない」と付け足した。
バッティング指導法でついつい熱くなる宇野
田尾と宇野は指導者の目になり、バッティング指導法で白熱したトークに。
「僕は、小学生ぐらいであれば、強く速くバットを振ることだけやれば、後はどうにかなるかなと感じている」(宇野)、「僕が子どもたちに指導する時は、ダウン(上から下に振る)じゃなくて、ややアッパー(下から上に振り上げる)から練習させる。そうすると、ボディのスイングになりやすい。アッパーのままだと速いボールには対応できないので、だんだんレベルスイング(地面と平行に振る)に戻していく」(田尾)と、スイングについての持論を展開する2人。
宇野も田尾の意見に深くうなずき、ダウンスイングだと肩が下がって開いてしまいがちだと説明。「(ダヤン・)ビシエドの悪い時のフォームだね。あの形になると、インサイドはまず打てない。そういうものを矯正していくと、一気に変わってくる」と田尾。
宇野は「こういう言い方をすると、子どもたちにはよくないかもしれないけど…」と前置きしつつ、「バットって腕で振るんですよ。実際には腕だけでは打てないけど、腕で打つイメージを持って体を回転させると、肩が開きにくい。そういうイメージを持ちながらやるといい。バッティングは体の回転なので」とアドバイスを。
さらに宇野は、「ピッチングマシンで打つ時は、上半身と腰と肩が一緒のタイミングでも打てる。球が一定で出てくるから。18.44m、0.4秒の中で変化球も来るバッティングでは、ある程度待ってリラックスしながら、下から振っていった中で変化球があったら、少し我慢する感覚で打つ。そこでストレートが来た時は、まっすぐ振っていけばいい。それをボールが投げられてから約11mの所で判断しないと間に合わないから、早めに準備しないといけない」と、ピッチャーからの距離や球が来るまでの時間にもこだわる打撃理論を熱弁。「それは考えたことない(笑)。なるほどね」と田尾も納得した様子だった。
最後は、バッティングにおける“トップ(スイングを開始する位置)”の話題に。
トップをどう作るかを語るバッティング論が多い中、宇野は「トップからバットは振れない。車のハンドルのように、トップにいってから“遊び”があって初めて、スイングにスピードが出る」とコメント。
田尾も「トップというのは、止まっちゃいけない。例えば、ボールを上に投げて落ちるまでの間で、一番高い所がトップだとすると、その時一瞬、ボールは止まったように見えるが、実は動いている。それはバッティングにも共通することで、(打つ時に腕を引いて)一番遠い所に持ってくるけど、どこかは動いている。そういう一連の動きの中でトップを作る。宇野が言った“遊び”の中で打ちやすい形ができるということと同じ」と分かりやすく解説し、「そうですね!」と大きくうなずく宇野。
一流を極めた2人だけに、濃いバッティング論が交わされた。
この記事の番組を動画配信で観る
この記事をシェアする





